アイデンティティー

2002年04月27日(土) It's real.




私の部屋の灰皿に


この部屋には見慣れない


フィルターが茶色い煙草が


3本。







どこかで


こうなると


判っていました。











酔いに任せて


友達と冗談混じりに吹き込んだ


留守番電話が


1回。









寂しくて


寂しくて


堪らず押した


青いボタン。




2回のコール音で切った


着信履歴だけが残る


私のシグナルが


1回。












寮に


そっと招き入れた


午前1時。










声を潜めて

交わす言葉達。






訳も解らない緊張が

私の手を

髪の毛ばかり触らせる。






空いていた

1ヶ月を埋めるように

喋る彼。








消えないように

印しておこう。






例え、

何ヶ月も電話すら出来ない時が

来ようとも

私の中の確信を

荒廃させないように。











おまえの留守電、スグ近くで聴いてたんだ。






今すぐにでもおまえんとこ行きたかったんだ。





ずっと一緒にいたんだ。




俺の奥さんになる人とね。




もう俺の母さんとも仲良くてさ。




ずっといるんだ。








俺、もうおまえに電話するの


やめようと思ったんだよ。






ずっと我慢してたんだ...






















…でも掛けちまった。











俺って道徳ないよな 苦笑








おまえもおかしいと思うだろ?






結婚控えてる男が何してんだよって


そう思うだろ?











…おまえがベラベラ喋るような女じゃないこと

解ってるから

余計に、余計に、辛いんだよ。


















電話越しに聞いた彼の気持ち。


私の確信以上の気持ち。


不器用な人。


焦る心とは裏腹に


言葉が出てこないみたい。


勢いに任せて

一気に彼は話した。







1時間近く掛けて


ココまで来てくれたのに


車の中では


目すら合わせられない。








スタンドの柔らかい光の中で

これまでの事を

私の重荷にならないように

笑いを混ぜて話す彼。









嘘のような本当の話。








いいかげんなようで

何よりも家族を大事にする彼。




2人の弟を小馬鹿にしながら話す顔は

優しいお兄ちゃんの顔で。




お母さんとお父さんの話をするときは

少し自慢気な顔で。





ぶっきらぼうに愛情を表現する彼。




そんな彼が選んだ当然の事。




家業を支えていた彼のお父さんが倒れたこと。



お金にならない後始末の仕事をしていること。



近々、友人の元へ同じ職種ながらも

新人として就職すること。





いつか大黒柱が欠けてしまう自分の家族を

支え、自分が保とうと

全て彼が選んだ事。





全ては当然の事で、

彼が選ぶ道も見えていた。


何も引っ掛かりはなく

受け入れた。



口には出さず、

うん。うん。

と彼の瞳を見ながら

頷いた。




めんどくさいと言って

ロクに食べなかった彼の頬は

少し線が柔らかくなっていて

あぁ、ちゃんと彼女が作った御飯食べているんだろうな

なんて思ったりして。




灯りを消して、

潜り込もうとした

彼の隣。



自然と出された左腕。




素直に、

頭を預けて眠る。





潜り込んだ彼の横。




必死にしがみつく私。

優しく撫で

髪の間を通り抜ける彼の指。






何も変わらずに。






唇をなぞる指は煙草の薫り。







何も変わらずに。







暗闇で見つける彼の唇。








扉1枚隣の住人を

気にする私を無視した

荒々しい彼。





耳元で囁かれた

短い言葉。





彼が心を決めた一言。






突如進入してきた彼。







小さな声が漏れる。













私の部屋の灰皿に


この部屋には見慣れない


フィルターが茶色い煙草が


3本。








私の胸には

紫に満たない

薄い桜色が

3つ。






彼がこの部屋に残した

香りを抱きしめた。






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カシスさんタグ教えてくれてありがとーございます☆
舞はカシスさんの復活待ってますよ♪
もひとつの日記でございます。
読書日記(仮)



2002年04月24日(水) If



暗い空気に

煌々と光る

小さな

紅い火。



外の生の空気に

触れられるのは

一日の内、

煙草を燻らせる

ほんの15分。



ベランダの縁に座って

違和感を感じる

暗い風景を眺める。


初めて煙草を吸ったのは

あのクラス会の時で、

煙草はアルコールと共に

止まることはなかった。



何故か、

白い煙が

上気する心臓を

抑えるかのように思えた。



今は

冷めすぎる心が

それでも息づいていることを

吐き出す白い煙で

確認させるための煙草。



そのせいで

箱の半分を過ぎた頃には

既に湿気た味。




いいかげん慣れた街だけれど、


どこか噛み合わないような。




別に

地元が恋しいわけじゃない。

バイクで帰れる距離で

何も困ってる事はない。








単調すぎる仕事は


余計な事ばかり考えさせる。




















あの時何故

彼と一緒に行かなかったんだろう。






幹事なんて事に

拘る必要はなかったかもしれない。














あの時


一緒にいたら


今も


一緒にいられたかもしれない。










幾つも

ifを並べて

紡ぐ

叶わない未来。


















何?

コイツの彼女?





あ。いい女だ。



17か18くらいか?



16?

あーそんくらいだろうな。



舞?

桜木舞?











君、足ちっちゃいなぁ(笑)















んなゴチャゴチャしたことは

解んねえよ。




俺はただ

君が好きだから

俺の彼女になって欲しいって

言ってんだよ!








なあ、

キスしていい?













急に停まった車。




視線を運転席に移す。







どうしたの?






…君はいい女だからさ。











あの時の

私を真剣に見つめる

彼の顔を

忘れる事は

生涯ないだろう。
















止まらない思考。


鮮やかすぎる思い出。




それなりに時間を

重ねたはずなのに

一番強い想い出は

出逢った日のこと。







初めて私の視界に入った彼も、


初めて交わした言葉も、


初めて触れた手も、


初めて触れた唇も、


初めて抱きしめた彼の身体も、


初めて感じた彼の臭いも、


ただの雑音にすぎなかった


虫の声さえも、


5感が全て覚えている。




胸を痛めつけるほどに。










微かな夏の匂いが漂う。







この街が

合わないんじゃない。


地元に居たって

きっと何も今と

変わらないんだろう。







彼が


いなきゃ


私はどこに居たって


足りない。










胸の隙間を


埋める術が


見つからない...







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更新してない間も見に来てくれた皆様、すみませんでした。

こんなしょーもない人間でごめんなさい。

日記もまともに付けられない

しょーもない人間のくせに

もう1コ日記書き始めちゃいました(汗)

しかも、ちゃんと書けてないです(泣)

読書日記(仮)読んだ小説の覚え書き程度です。

タイトル募集です♪

こんなんですが、これからもよろしくでございます。

ではでは☆

あ。誰か別窓で開くタグ教えて下さい!



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桜木 舞 [MAIL]