日々あんだら
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今日、届いた荷物の中の防水袋を開けたら、中の空気がしっとり湿っていた。 うおー、屋久島の空気、やっぱり湿度高いんやなぁ!
山に入ると当然もっと湿っていて、レンズやフィルターがすぐに曇ってしまう。 こまめに拭きながらじゃないと、ソフトフィルターみたいな写真になる。 一度、ズミクロンの中玉が結露してしまって、青ざめたこともある。 本当に大切なレンズ(ズミクロンは形見なのだ)は、屋久島の山には持っていかない方が良い。
でも、この湿度が他の森にはない苔の密度を生み出してるんだと思う。 切り株や倒木や岩や、生きている木の表面にまで、苔がびっしり生えている。 そこに他の木の種子が着床して、芽を出し、成長していくのも見られる。 それらに着床した種子は、光や養分の点で地面に着床した種子より有利で、成長が早いらしい。 そしてその木も、いずれ倒れて次の生命へ繋がっていく。
いろんな山に登ってきて、生命力に溢れた素晴らしい森もたくさん見てきたけど、 この島の森ほど「生命の循環」を感じる森にはまだ出会ったことがない。 おれが何回も屋久島に通うのは、それも理由のひとつのような気がしている。
そんなわけで、6回目の屋久島に行ってきました。 今回は龍神杉と太忠岳へ、それぞれ日帰りで。 でも、5日間じゃ物足りひんかった!また近い内に行こう。
未だに、コインランドリーに行くと回ってる洗濯物を撮ってしまう。 そして心の中で「静流みたい」と思う。 もう15年も前の映画やのにねぇ。 今度ひさしぶりに「恋愛寫眞」観ようかな。
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今年、ナダールで2回、企画展に参加させてもらった。 オールドレンズ展(略)と山・海・空展(略)。 どちらも楽しかったし、出した写真に手抜きは無かったし、 皆さんからいただいたコメントも嬉しかった。
でも物足りない。
最近、家にある数百冊(は言い過ぎかな?でも200冊ぐらいはある)の写真集を 片っ端から見返している。
写真撮りたい。写真見たい。写真見せたい。 って欲が、ここ10年でMAXぐらい高まっている。 SNSとかに垂れ流すだけではなく、ちゃんとした形で。 まあ、こんな時に来年の夏までめっちゃ忙しいんやけれども。(笑)
再来年、個展しよっかな。それこそ15年ぶりに。 冬の、山旅に行けない時期に。
「ここからここまで歩いた」と地図に1本の線を引くように、山から山へ旅するのが好きです。 歩き終えて、線が長ければ「おれ、頑張った!」と自己満足に浸り、 思ったより短かったら「あんなに頑張ったのになぁ…」と自分のちっぽけさを実感します。 どちらにしても、悪い気分ではありません。
今まで経験したそういう旅の中から、今回は2年前の夏の屋久島0 to 0の時の写真を1冊のブックにまとめて置かせてもらいました。 北東部の楠川の海岸(海抜0m)から、最高峰の宮之浦岳(海抜1,936m)を経て、 南西の栗尾の海岸(海抜0m)まで下る3泊4日の旅。 2回撤退、1回下見の後、3年越しでの達成でした。 おれ、頑張った!(笑)
今度はいつか、南側の尾之間から北西の永田まで、縦に歩いてみたいなぁ。
2018年11月05日(月) |
『染まる。』(またまた事後報告) |
えーと、10月24日〜11月4日まで、南青山のギャラリーナダールで開催された、 「山の思い出/海の記憶/空の記録」展に参加させてもらってました。 前回のオールドレンズ展(略)の事後報告をこの日記に上げた時、 「次は事前に報告しますね」と書いたにも関わらず、またしても事後報告ですみません。
今回はその名の通り、山・海・空をテーマにした写真展、僕はもちろん、山をテーマに、上の3枚を展示しました。
僕の山は、危険なところ、難しいところにガンガン突っ込んで行くスタイルではなく、 スピード重視でどんどん前へ進んで行くスタイルでもありません。 ましてや、スタンプラリーのように百名山を片っ端から登っていくスタイルでもありません。 周りを眺めながらのんびり歩き、気になったところで写真を撮り、 早めにテン場に着いたらテントを張ってゴロゴロしたり、近くをブラブラ散歩したり。 時に近くのテントの人たちと仲良くなったり。 日が沈むのを眺めながら晩ご飯を食べて、日が暮れたらコーヒーをすすりながら読書して、 みんなが寝静まった頃にテントから這い出して星空を撮ったりします。 で、翌朝暗い内から起き出して、テントを撤収して夜明けとともに歩き出す、 そんな風に、山にどっぷり浸るのがなにより大好きです。
今回の企画展に際して、「山に浸ってた時の写真を出そう」と考え、パッと頭に浮かんだのがこの3枚でした。 選ぶのに、ホント1時間かからなかった。
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逆に悩みに悩んだのがタイトル。 本当は、写真に言葉を添えるのが苦手なのです。 見せる写真に意味や思いを込めるのは撮った人の自由だけど、 それをどう受け止めてどう感じるのかは見る人の自由だと思っていて。 撮った人の思いと、全然違う感じ方をされても、それはいいんだと思います。
なので、そこに下手に言葉を添えて、見る人の感じる自由を制限したくない。 できれば、全部「無題」で出したい。写真だけで感じて欲しい。 でも、自分の写真にそこまでの力がないことはわかっているので、毎回悩んで言葉を添えるのです。
今回は紆余曲折して、ネームプレート3枚作りました。(笑) 「山に浸る」とか「山に溶ける」とか、そんなイメージの言葉がいいな、とずっと悩み、 悩みに悩みに悩んで、会社のトイレでふと浮かんできたのが「染まる。」という言葉。 浮かんだ瞬間、もうこれしかない!と決定したのでした。(仕事しろ)
そんなこんなで出展した作品、皆さんにはどう見てもらえたかな? いただいたメッセージカードを何回も読み返して、ニヤニヤしています。 展示って、やっぱり楽しいものですね。^^
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