2007年01月28日(日)
脇役カップル4
俺達の小学校では誰それが付き合うとか付き合わないとか、そういう話題が出ることが無かった。他のいくつかの学校ではあったらしいけど。 だから俺達はそれまで「恋愛」という括りで自分達を見たことが無かった。 優が地元の公立の中学に入学して暫くして、二人で優の部屋でごろごろしていた時だ。 周りでカップルが出来たとか話していた優が、突然黙り込んだ。
『どうした?』 『しー、俺はしーのことが好きだ。しーは俺のこと好きか?』
真面目な顔で聞いて来る優を不思議に思ったけど、俺は躊躇うことなく首を縦に振った。
『うん。好きだよ』
ぱぁっと満面の笑みを浮かべた優が、我に返って慌ててまた真面目な顔になる。
『じゃぁ、俺達って「両想い」なんだな』 『……あぁ、うん、そうだな』
言われてみれば。友達に借りた少女漫画で得た知識から「両想い」という単語の意味を引き出してみると、男の子と女の子がお互いに好き合っているのは「両想い」だ。 友達として、幼馴染みとしてではなくて、特別に「好き」なんだとどちらも知っていた。
『こうやってお互いの部屋しょっちゅう行き来して喋ったりするのって、「付き合ってる」ことにならないか?』 『……あ、そっか』
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