dust box
akane



 恋人






胸をしめつける糸をたぐり


たどりついたのはあなた


2002年10月31日(木)



 選択権

私に選択権はなかった
気持ちを楽にするための方法なら
いくらでもあるだろうに

飲みこむしかない
私に選択権はない

2002年10月29日(火)



 sin

私の罪は、最初から何もかも知っていたことだ
こんなふうになってゆくことを
知っていて
それでも階段を登り続けたことだ


「きみの気持ちを知っていて
ずっと気付かないふりをしてきた」
ずっとずっと前に読んだ本にあったな
「そうすることで折り合いをつけてきた」




庭には、光が降り注いで
午後は、ゆっくりとお昼寝をしたい
夜明けに祈りをささげて

そして私は罪を抱こう
本を閉じて眠りに落ちるまでの間
その罪をしっかりと刻もう


2002年10月26日(土)



 するり


核心にせまると
するりとかわしてまた逃げる

言葉をあやつって
またするり

あなたの欲しい結論を
知っていてそれでも

まだ怖くて
するり

2002年10月25日(金)



 それは至福



目を閉じた時に

響いた声

あたしはあたしのままでいいんじゃないの?




そうか
どうしたって変えられないものもあるな
いくつかポロポロと
ふとした時にそういうのがあらわれるな

そういう小さなカケラが
あたしを形作っていて
そこがいいというのなら
それは至福





2002年10月24日(木)



 どうしてわかってしまうんだろう

どうしてわかってしまうんだろう

価値観はとてもとても複雑で
自分でさえ把握しきれない

小さなささやかな
イントロダクション

私の言葉のずっと奥の方に
どうしようもないくらいの気持ちがあることを

どうしてわかってしまうんだろう

2002年10月23日(水)



 2ヶ月

2ヶ月前の今日
あたしは夜の魔法でさらさらと
何もない一枚の紙に
火花を描いた

それはまるで本当の魔法みたいに浮き上がって
不思議なことでもなんでもないのに

少しだけはっとしていた

魔法みたいと思えることは
奇跡みたいにきらきらしていた


「あと2ヶ月だね」とあなたが言った

奇跡は続いていくのでしょうか
魔法を信じるみたいに

2002年10月22日(火)



 甘いせつなさ


「だきしめたい」って思ったのは
瞳がとてもきらきらとしていて
どうしようもなくいとおしいから

ぎゅっと力を込める
頬がふれあって
ぬくもりが伝わって

一番の笑顔をひとりじめしてしまう

しあわせで
しあわせで
しあわせで

とても とても 胸が痛い

2002年10月21日(月)



 まんなかで

あなたのそのストレートさが
羨ましい

羨ましいというの?
その時点でもう
結論は出ているんじゃないだろうか?




困ってしまうのは
そのみちのりだろうか?
果てしなくて遠いのに
思いもよらないほど近い存在


まだまだ時間は必要だし
それに時間だけはたくさんあるんだし
余計なアレコレをとっぱらって
考えなくちゃいけないことをどまんなかで考えなくちゃ
















それにしても今日という日はとても長く
いろいろなことに気持ちを浸らせて
充実していたね


2002年10月20日(日)



 好きです。



中学生の時に
「好きです」と
何度も何度もとなえたけれど

結局伝えることができなかった
いや
結局自分の意思で伝えなかった

気持ちを大切にする部分は
今の自分にも中学生の自分にもちゃんとあって

でもその響かせ方を
あの時はあまり知らなかった

2002年10月19日(土)



 弱点


ごめんね

あたしこんなに弱くて

ごめんね

あたしこんなんで




眩しい光に目がくらんだ
こんなに手を伸ばしたのに
眩しくて眩しくて
目が痛い
心が痛い




照らし出されたのは
あたしの弱点
「さよなら」さえ言えない
弱さはあたしの武器ですか?

2002年10月18日(金)



 罪作りな恋愛

たぶん一つ目の階段に足をかけた
どきどきしている
心臓が耳の横にある

世界は遠く切り離されたみたいで
自分と
そして自分の中のあなただけが取り残される

その箱の中におさめておこう
罪作りな恋愛は
秘めることで力を増すから



2002年10月16日(水)



 その時が来た

このふたりの間にあるものを
説明しようとしても
ありきたりな言葉ばかり浮かんで
どれもぴったりとはまらない

くるくると回転させても
一枚の絵のひとかけらにはまらないパズルみたいに
どうがんばっても説明する言葉を見つけられない

ただどうしようもないくらいに
ここにいてほしいと思うだけ



やたらに手を伸ばさない私だから

今は「その時」とわかる

今が「その時」なんだ

2002年10月15日(火)



 不可欠



生きて行くのに必要なのは
水と
空気と
地球と

それらがあなたの中にあるようで


私にはあなたが不可欠


2002年10月14日(月)



 後味


こういうのはやっぱり後味が悪いね
もう絶対にやめておきたいけど
でも助けたいと思ったことは本当なんだ

短い言葉じゃつたえられないね
いつもすぐにだきしめあえたらいいのに


後味の悪さが
ずっと胸につかえてもやもやと
胃もたれを起こして 消化不良

とげのはえた一瞬の言葉に
敏感な反応を示したことだけが
嬉しかった

2002年10月13日(日)



 関係


電話
携帯電話
メロディー
会話を楽しむ


ホテル
そのまま抱き合う
隙間のなさが心地よく


時間
あってもなくても短い
ふたりっきり
もういつだってこれが最後だって思おう

2002年10月12日(土)



 キリキリ




考え出すとすぐコレだ


キリキリと胃が痛む



あたしを押しつぶそうとしているのは
いつだって
あたしかもしれない

2002年10月11日(金)



 もっと強く抱いていて

この居心地のよさから
どれくらいの距離を置くんだろう
今の私にはわからない
漠然とした不安だけで
もう立っていることすらできないから
今はもっと強く抱いていて

今だけはその腕の中で
力をこめて
確かなものを体の中に刻み込んで

2002年10月10日(木)



 愛し抜けない想い

指先が冷たい
この空気のせいかな
秋と冬の間で
揺れ動いているのは何だろう

この季節は
鳥がとても遠くを飛ぶから

いつまでも見上げては
飛びたてないことを痛感するんだ


愛し抜けない想いは
罪と一緒に飛び去って

願いはかなく空に消えながら
そのままひゅうるり落ちてくる

目の前の
その小さなカケラを
あたしはもういくつ集めてしまっただろう

2002年10月09日(水)



 タイムリミット



家族が増えるってこういう意味もあるんだな。

「この人が あたしの好きになった人だよ」





後悔はしても意味がない
タイムリミットは近づいている

運命がもしあるのなら
それをくつがえす力だってどこかに存在するのでしょう

2002年10月08日(火)



 ゴクリ

ゴクリ

息を飲む



ただでさえ手が届かないのに
こんなふうに見せつけられた事実に
もうそんなふうに立ち尽くして
息を飲むしかなかった

耳の傍であらゆる音がかなでられる
比例して遠くなる意識

周囲と分断されて
床に接している足の裏の面積だけが
唯一の現実

2002年10月07日(月)



 LOVE

私が大切にしたい人たちはこんなにいっぱいいるんだな
愛を贈りたいと思う人が

私にしかできない何かで
あなたにしか伝わらない何かで

ベットに横たわる姿で
病に倒れたその姿で

目の前に立って微笑みあうことを
しあわせに思う

愛を贈ろう


目に見えず
言葉にせず
そっとそっとそっと
私だけのやりかたで

2002年10月06日(日)



 敗北宣言

だいすきだーって伝えるのに
なんでこんなに言葉を知らないんだろう

にこにこしてても意味がないことだって
あるんじゃないだろうか

だいすきだーって伝えるのに
どうしてどうしてこんなに迷うんだろう

誤解したら誤解をとくための説明をして
その説明でまた生まれる誤解


おかしいのかな
すきなのに

恋に負けない
あなたに負けても

2002年10月05日(土)
初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加