久しぶり=二ヶ月ぶりになりましたが再開します。
■締め技について開祖が実技指導されたことがあるので、記録の意味もあり記しておきます。
本山で“首締め守法十字投げ”を練習していた時でした。武専か講習会のどちらかだったと思います。道場に来られた開祖が全員に向かって、「お前達の締め技はなっておらん。柔道の経験はないのか。いいか、締めはこうやるんだ」と少し憤慨されて実例を示されました。
右対構え、右手で右襟を掴み「こうして片手で襟を掴み、左手で袖を掴むそぶりから、いきなり左襟を引いて来るんだ」。十字投げを練習していたので前襟締めでした。大きい開祖がかなり低くなり、ぶら下がるようにされ、相手をされた方は記憶にありませんが、一瞬で落ちる寸前になりました。
少林寺拳法の締め技にはいくつかの特徴が伺えます。ひとつは立ち締め攻撃を想定していること。もうひとつは防御の視点から一対の締め技法と反撃技法があることです。前襟締めには、拳締めを含み四種の締め方と反撃法が想定されています。
余談ですが、映画『飛っちょ勘太郎』。開祖の実技指導により主演の森繁久弥氏が、前襟締めに来るヤクザ役を見事に十字投げで投げています。(ホー、あんな風な首締めを想定しているのか)と参考になります。
*教範では「締め」とはなっていません。「締」です。
■故・坂東邦伯先生も締め技を随分と研究されていました。新本堂下にある管理人室では先生の特別講義?が深夜まで行われるのが常で、各種締め技、逃れ方。当然得意技である圧法、活法などを講義して頂きました。先生は良く「慣れたヤツは、数秒で落とせることができる」と締め技の威力を言われていました。
坂東流?では、開祖と同じ握りでクルリと回る“後ろ襟締め”があります。別法もあります。また締法に“足締め”とありますが、先生は足締めは“胴締め”と解されていたらしく、前と後で二種の逃れ方があります。
教範の中、『攻防用器、変手五種』の項に“蟹手”とあります。坂東先生に「これは“片輪締め”に用いるものですか?」と質問したところ、「そうです」と用法共々教えて頂きました。“両輪締め”はこれを両手で行うものです。その場合、仏骨を締めることもできましょう。
犯人逮捕時、相手が凶器を持っていた場合、片手で凶器を押さえ、片輪締めを行いながら「参った」を取り、傷付けず相手に凶器を捨てさせることができましょう。床でも壁に押さえつけても可能です。
面白いのは“仏骨締め”で、映画『少林寺』では少林寺拳法連盟の実技指導により、リー・リンチェン/現ジェット・リー氏が馬乗りになってこの技を行いました(と記憶します…)。それで、『私の主張/活人拳の考察』の中で述べていますが、根岸道院出身のN先生は実際の危険な格闘でこれを用い、馬乗りになって大きい相手から「参った!」を取りました。無意識にこのシーンが頭の中にあったのでしょうか…。
■中野先生からは、“拳締め”以外の締め技を習ったことはありません。少林寺拳法では他にも色々な技法が教範に記述されています。しかし開祖の心の中で、“人間完成の行たる少林寺拳法”から外して良い、と判断が働いた技法があるようです。
姿、形が悪いですね。相手の首を締める技。ですから金的蹴り、目突き=蛇突きと同様に、防御と一対で学ばせたのでしょう。あくまで、防御技法修得という前提に立っての攻撃技なのです。尚、“後ろ腕締め”については“裸締め”でしょうが、相手の順突きを後手で内受けして裏に入り身し、そのまま締めることも可能です。さしずめ、締法の五花拳版?でしょうか…。
*宮田先生の掲示板に羅漢締法に関する質問がありました。解答はできませんが、見聞したことや、若干気が付いたことを記しておきました。技法の詳細は避けました。
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