| 2003年03月18日(火) |
◆演武、法形の研究を・７(まとめ・４) |
【まとめ・４】
■＜演武、法形の研究を＞
「少林寺拳法がもっとも少林寺拳法らしい所以はなんであろう？」と問われたら…私は、(活人拳たる)演武があるからと答える。他の武道ともっとも特徴を異にするところである。
演武ついての考察やあり方は「私の主張」や「書きたい放題」の随所で述べているが、もっとも言いたいことは、演武は開祖の境地の高まりと共に成長し、その完成は1973年/昭和48年度版教範において果たされたということである。
少林寺拳法の思想と技法、及び金剛禅/幸福運動は演武を介在して結びつく。なぜなら、法形によって成り立つ演武は思想を持っているからである。したがって、会報で展開されている稽古・練習としての乱捕り/お互いが教え合う在り方なら、まったく異論を挟む余地はない…。しかし…。
■次の文章は将棋の観戦記事からの抜粋だが、私の意見を補完する。
「…戦略の失敗は戦術では取り返せない。棋士はこれを“元がだめだ”と表現する。将棋の大本は何といっても構想にある。だから棋士は序盤を研究するのだ」
近年の「基本」「法形」「演武」「乱捕り」という並べ方/構想について、まず、ここに乱捕りという対戦形式をイメージする言葉を残しては、まとめ・１で述べた通り先には進めまい。敢えていうなら、「運用法」にしなければならない。あるいは、乱捕りという言葉は消さなければならない。
■言葉の使い方もおかしい。審判講習会の運用法資料では対抗意識を刺激しないようにと、わざわざ「一本」「技有り」の表示を避けている。それなのに、片やでは「戦術」「立ち合い」という勝負性の強い言葉を指導に採用している。
ちなみに「立ち合う」を広辞苑で引くと「�∩佇�が勝負を争い、または格闘すること」とある。立ち合いとは確かに意味は異なるが…。
これでは試合・競技を復活する意図があるのか思われても致し方あるまい。もしそうでないなら、「法形・演武を主行とする」として、運用法はその中で行われる一修練法という位置付けをしてから普及をするべきである。
構想の練り直しが必要であり、その際、統合的に運用法も研究されるべきである。
■少林寺の法形には未完成の部分がある。例えば法形を分類してみると、蹴り対拳反撃法が少ないことや、蹴り対蹴りにしても順蹴りへの対処法が少ないことに気が付く。あるいは蹴り対掛け手受け、蹴り対掬い受け、蹴り対払い流し受けなども法形として明示されていない。
また、最近の審判講習会でのビデオを観る限り、少林寺拳法の精神とかけ離れた殺人演武？を観ることがある。これらについては「書きたい放題」で述べて来た。
あまりに当たり前に存在した為か、法形や演武の研究が拳士に行き届いていたかと思うと時、やはり不充分であったと思わざるを得ない。
何人かの学生拳士から「私の主張/演武の手引き」に関する感想のメールを頂いた。私が書いた内容をこれまで聞いたことがなかったというのである。それで、今後の参考にするというメールであった。
■開祖のこんなご法話が心に残っている。
「多くの成功と、多くの失敗をした私の言うことを聞きなさい」――。
「三十年経って得られた私の成果を、君達が最初から感じて実行できたら素晴らしい」――� �
(�，蓮�第１回少年指導者講習会でのご法話のもの。1977度論集に載った私の論文に引用した。当時26才。この論文は開祖がわざわざ学生合宿で読んで下さった。題/「金剛禅創始30周年にあたりおもうこと」）。
乱捕りの問題は容易ではない。しかし解決の道標は、開祖が言及された年代に従った法形・演武に関する個所であり、それに沿って歩めば必ず到達出来ると信じる。
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