天国の扉
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2009年12月18日(金)




主人は、姑に病気のことを話した。
姑から電話が掛かってきた。

どうしていいか、わからない。
ただ悲しくて、ちょっと涙声になったら、叱られた。

そんなことは言われなくてもわかってる。
でも、このやり切れなさや悲しみを分かち合えるのは姑だけだと思っていた。
甘かった。
やり切れない気持ちがますますつもり、ぐっとこらえて、電話を置いた。

12月9日。
朝から主人と2人で、呼吸器外科に病状や今後のことを聞きに行った。
再発なのか、転移なのか、新規なのかわからない。
癌であるのか、ただ単に腫瘍であるのか、炎症であるのかすら、わからない。
患部の大きさは約1センチ。
小さすぎて細胞診すらできないそうだ。
それでも、何かあることには間違いないので手術しましょうとのこと。
左肺、1/4切除になるらしい。

肺癌は手術が出来る方が良性なのだとネットで調べて読んでいた。
お医者様に、さりげなくそれを尋ねて、直接主人に言ってもらう。
少しは主人の安心力になっただろうか。
日を変えて、頭部と骨の検査を受けることになった。
もし転移であるなら、調べておく必要があるからとのことだった。

入院の日程は、子どものセンター試験が終わってからにしてもらうことにした。

帰宅後、主人が姑に電話で話をする。
食事が……とか、生活が……とか、あれこれ主人に言っているらしき様子。
姑は、どうあっても主人の病気を私のせいにしたいらしい。
ほんとは、一番、お互いに分かり合える立場のはずなのに。励まし合えるはずなのに。
姑とは一生分かり合えない。
そう思った。

夜、子に手術の件を話す。
あっけらかんと受け止める子。
ほんとにどういう状況なのかわかってるのかな……。

12月10日。
手持ちの煙草が尽きた。
予定通り、禁煙開始。
初日は禁煙パッチを貼ってみる。
途中で気持ち悪くなってはいだ。
かなり前に買ってあったニコレットのガムに切り替える。
今さらかも知れないけど、禁煙くらいしか、今私にできることはない。

12月15日。
予定の検査日。
脳のCTと、骨のアイソトープ検査。
一日がかり。
私は家で待っていることにする。
検査結果は入院してから聞くことになるらしい。
おそらく何か異常があったら、その前に連絡が来るはず。
何もありませんように。

12月18日
今日で禁煙8日目。
なんとか一週間過ぎた。
キャンディーを舐めすぎたせいか、胃がおかしい。
だから、口寂しくなったら、シケモクを咥える。
火は付けない。ただ咥えるだけ。
その方が我慢できるし、胃も悪くならない。

実家の母からリンゴ送るからと電話。
手術のことを話そうか悩むが、まだ日程も決まっていない。
今から話したって、心配する日数が増えるだけだから、やめた。

外は7年ぶりの大雪。
仕事をしているときはいいのだけれど、家の中、じっと一人でいると、あれこれと頭の中で考えてしまう。
こんなに悲しい思いをするなら、死んでしまった方がましかもしれないなどと、馬鹿なことまで。

一人でいると涙が出て来る。
でも、泣けない。
泣いちゃいけない。
私が泣けば、主人も子も不安になる。
だから、バカな話をして笑う。



      

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