A Thousand Blessings
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2005年09月09日(金) |
【新・響五十撰】の続き。音楽横一線並列鑑賞主義を確立! |
以下、昨日の続きです。
26 細野晴臣/HOSONO HOUSE(1973)
師匠です。一生ついていきます!と思ってたけど、どんどんつまらなくなっていく 細野さん・・。ベースを弾いてなんぼって思うのは僕だけでしょうか? ちっこいキーボードなんかをチョコチョコいじっている細野さんを見ると、 泣きたくなります。日本のノーバート・プットナムなんだから。
27 ニール・ヤング/渚にて(1974)
やっとCD化されたニール・ヤングの最高傑作です。フェイバリット・アルバムに これを選んだアーチストはもうそれだけで全面支持します。 たとえば、カーネーションの直枝君やサニーデイの曽我部君。 ニール・ヤングって不器用でイノセントなんだろうけど それを全面に出されちゃうとちょっと引くのね。これくらいがちょうどいい塩梅です。
28 四人囃子/一触触発(1974)
当時、日本人でストラトキャスターといえば森園君か大村憲司ですね。 曲作りにおいては、あからさまにピンク・フロイドやイエスな四人囃子だけど それでも僕らは森園君の声とギターに惹かれたわけよね。 アナログ盤、発売日に買いましたよ。シングル盤“空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ” 衝撃だったですねー。CDにはおまけで収録されていて、お徳だわ。
29 荒井由実/ミスリム(1974)
衝撃度ではデビューアルバム「ひこうき雲」の方が上です。ニューミュージック というジャンルは「ひこうき雲」からでしょ? ユーミンの才能に打ちのめされちゃった松任谷正隆はその後ユーミンの 御亭主になるわけだけど、すでに30年以上コンビを組んでいるってすごい。 さて、僕は名曲の多さで「ミスリム」を選びました。“瞳を閉じて” “やさしさに包まれたなら”“海を見ていた午後”“魔法の鏡”“旅立つ秋”
30 ボブ・ディラン/プラネット・ウェイヴス(1974)
「ブロンド・オン・ブロンド」にするか迷いました。ザ・バンドとの 初の正式なコラボが大成功に終わったということで、これにしました。 曲よし、歌よし、演奏よしの三拍子。同時期のライブアルバム 「偉大なる復活」の完全版のCD化を切に望みますね。きっと音源は 残っているはず。
31 大滝詠一/ナイアガラ・ムーン(1975)
「ロンバケ」(1981)でブレイクするずっと前、 趣味趣味音楽と呼ばれていた頃の傑作です。20代(?)でこの耳ぢから。 耳のぶつかり稽古を一体何歳からやっていたんですかね? ちなみに僕が、意識してやるようになったのは、20歳からです。 最近発売されたデラックス版で全貌が明らかになった「ナイアガラ・ムーン」。 参加メンバーのミュージシャン・シップに心を打たれました。
32 鈴木茂/バンド・ワゴン(1975)
これで僕が選んだはっぴいえんど関係のソロは3枚目ですね。 このアルバムが発売された時の反響の大きさはよく覚えています。 アメリカで向こうのミュージシャンと対等に渡り合ってきたことが 嬉しくてね、しかも出来も極上。はっぴいえんどではジョージ・ハリスン的 存在だった鈴木茂がコンポーザーとしての才能を遺憾なく発揮したアルバムの タイトルが「バンド・ワゴン」っていうのも粋ですよねー。
33 10cc/ハウ・デア・ユー(1975)
日本では“アイム・ノット・イン・ラブ”ていう曲で完結しちゃったけど、 あれって、10ccの曲の中でもつまらない部類に入ると思うのね。 エリック・スチュワート=グラハム・グールドマンコンビの作品って 10ccの前衛的な部分とは正反対のブリル・ビルディングスみたいなもんじゃない? もちろんブリル・ビルディングス自体は大好きだけど、せっかく10ccという 才能の集合体なんだから中途半端に売れることを考えて欲しくなかったな。 アルバムとしては、やっぱり「ハウ・デア・ユー」(当時の邦題は びっくり電話ハウ・デア・ユー)でしょ。
34 ザ・バンド/南十字星(1975)
ザ・バンドのリーダー兼ソングライター兼ギタリストのロビー・ロバートソン の才能って無尽蔵かもって思ってた僕らのようなファンから見ると この次のアルバム「アイランド」での失速ぶりはかなりショックでね、 その後ソロ活動していくんだけど、失速に拍車がかかるだけで、 結局最後はただの人になっちゃった。「南十字星」が最高到達点だったんだ。 リチャード・マニュエルの声と共に彼方に消えていくロビー。ですね。
35 フランク・ザッパ/万物同サイズの法則(1975)
ザッパで1枚は選べません。30枚なら選べるけど。 初めて意識してザッパを聴いたのがこのアルバム。当時は10ccの親分 っていう風に言われてたよ。ま、分からなくもないけど。フュージョン系の ミュージシャンを起用してザッパは複雑な曲作りをステップアップさせて いったわけだけど、その時期の代表作がこれだと思う。 フュージョンの世界ではちっとも才能を感じさせないジョージ・デューク が、ザッパの元ではええ仕事やってますぜ。監督で選手は変わるのです。
36 オーネット・コールマン/ダンシング・イン・ユア・ヘッド(1976)
一番好きなオーネットはこれと「ボディ・メタ」ですね。 ゴールデン・サークル」や「クロイドン」あたりはちょっとすすけて見えるけど、 リズムとメロディとハーモニーの合体同時進行理論(?)に のめりこんでいった時期のオーネットは輝いています。 アフリカ音楽からの影響は明白ですが、 それでも彼にしか作れない音楽っていう気がします。 やっぱりアルトの音は刺さりますね、こころに。
37 キース・ジャレット/マイ・ソング(1977)
キース・ジャレットはソロとヨーロピアン・カルテット。これで決まりでしょ。 スタンダード・トリオも好きですが、どうしてもジャック・ディジョネットよりも ヨン・クリステンセンの方がぴったりくる気がします。しかもそこに ヤン・ガルバレクが加わる訳ですから、もう素敵というしかない。 いい曲揃いで聴きやすいこのアルバムは愛おしいなー。
38 ポップ・グループ/フォー・ハウ・マッチ・ロンガー(1980)
70年代が終わるのと同時に突然変異のように出現したグループで、 フリージャズとファンクの合わせ技一本!って感じで、ロックフィールドに いながらロックを批判しているようで面白かったですね。 こういうグループは長続きしないというのが定説で、その通りすぐに 崩壊していくんだけど、またその崩壊後散らばった分子たちが 重要な働きをするのよ。ブリストルが生んだ英雄だろうね
39 エルヴィス・コステロ/オールモスト・ブルー(1981)
グラム・パーソンズ偏愛者は迷わずこれを選びます! コステロが趣味で作ったアルバムですが、趣味の世界に本音があるというのが 僕の持論で、コステロはドーパミン分泌しまくりで 自身の音楽的ルーツをカミングアウトしています。彼はカントリーマニアなのです。
40 フリッパーズ・ギター/ヘッド博士の司令塔(1991)
あこがれの対象を引用しまくる若さが微笑ましいです。 アーチストである前に熱狂的音楽愛好者であろうとする姿勢は100%正しい。 渋谷系と呼ばれた彼らは相当に偏屈だし、傲慢だし、屈託がないし、 計算高くないしね。のちに「POINT」にまで行き着く小山田と 「LIFE」の世界で自己完結してしまうオザケンのどちらが好きかと 言われれば、迷うことなくオザケンですね。
41 小沢健二/LIFE(1994)
で、オザケンの遺書みたいな作品がこれ。オザケンってこのアルバムと 「DOGS」の中の“天使たちのシーン”を作るためにJ−POPシーンに 現れたんじゃないかって思うのね。これはすごいことで、 そのアルバム 1枚+1曲がいかに大きい存在かということを示している訳でね、 柳の下のドジョウを3匹も4匹も狙わない潔さに僕らオザケンファンは 感銘しちゃうんだよねー。
42 ミスター・チルドレン/深海(1996)
ジャケットも含めたトータルな作品として、「深海」を超えるものは さすがの桜井和寿といえども作れていない気がします。 まあ、ファンとしては相当失礼な物言いなんだけどね。いや、実際には 彼はいい曲を書きつづけているしメンバーも素晴らしい演奏を聞かせてくれますよ。 でも、アルバムを1枚聴き終えた後の充足感が この「深海」だけは特別なんですよ。なんというか、深いというか。 だから深海なのかなぁ?
43 クレイジー・ケン・バンド/青山246深夜族の夜(2000)
DVD「live at studio coast」は楽しかったけど、最新DVD「満漢全席」は 意外にはやく飽きちゃった。でもって、2000年のこのライブ盤を久々に聴いたら ものすごく楽しめちゃった。何故に?遡るほど面白いケンさん。 ケンさんに武道館は似合わないなぁ。堂々としすぎるケンさんもつまらない。 チンピラ臭くも有り、その実、音楽に造詣が深いという痛快さがこの ライブには詰まっているんです。横分けハンサムボーイすよ、マジで。
44 くるり/アンテナ(2004)
おそらくもうすぐ発売されるニューアルバムが最高傑作になるとおもう。 いや、ならなくちゃいかんのよー。「アンテナ」の音づくりに最も貢献した クリストファーがいないんだから、その分、岸田君はいい曲を書かなければ いけないでしょ。で、多分書いていると思うんだ。シングルがよかったからね。 そう、でもって「アンテナ」なんだけど、岸田君は急速に歌が上手くなったよね。 表現力が豊かになった。ぶっきらぼうさの中に深い陰影がついててね。すごいね。
45 BANK BAND/沿志奏逢(2004)
桜井和寿のシンガーとしての能力の高さを証明したよね。 選曲もこういう企画物ではずば抜けていいし、どの曲も変にいじっていないのがいいね。でも桜井の思いはしっかりと聴き手に伝わっているし。 ドラマーに山木秀夫を起用したのがとにかく大きいよ!
46 テザード・ムーン/エクスピリエンシング・トスカ(2004)
菊池雅章(プーさん)のピアノ演奏の構造が実はよく分からなかったりする。 でも聴き始めると、彼の音から逃れられなくなるんだ。金縛りにあったように。 ちっとも苦しくない金縛りね。快感とでもいうのかな?フレーズがどうとか タッチがどうとかいう以前に音と音の間、つまり音の行間に無意識に 何か別の音を聴いているような、、錯覚?なのかな。それとも魔法?
47 ブライアン・ウィルソン/スマイル(2004)
こういう形でポピュラー音楽史上の最重要作品が陽の目を見るのは ほとんど例がないんじゃないでしょうか。40年近くブライアンによって 封印されていた音楽が、多くの人々の助力によって21世紀に産声をあげる。 多くの偶然が重なっている訳でねー。これはもう奇跡としか 言いようがないんですよ。60年代後期から数十年間のひきこもり薬づけ状態 の中にあっても創造意欲を決して失わなかったブライアンを称えたいです。 生きていれば、こんなことも出来ちゃう訳ですから。ポール・マッカートニー も感無量だっただろうなー。
48 キース・ジャレット/レイディアンス(2005)
過去のキースのソロ作品を凌駕しています。 やっぱりキャリアなんでしょうね、実にサラリとすごいことをやってのけている ように見えてしまいます。キースの即興ソロピアノの集大成なんていうと 宣伝文句みたいで安っぽく聴こえちゃいますが、でも事実は事実です。 スタンダーズ・トリオに食傷気味だったファンもこれには満足でしょう。 これを機に、ヨーロピアン・カルテットの復活なんて、どう? ちなみにここもご覧あれ→■
49 アトミック/ビキニ・テープス(2005)
今は、ジャズブームだそうです。知り合いのレコード店主に聞きました。 アヤドチエとかケイコ・リーとか小曽根真が人気らしい。 ま、それもいいとは思うけど(僕はノー・サンキュー)、音楽に新たな刺激を 求める向きにはちょっと予定調和っぽくて物足りないと思う。 北欧にアトミックがいるんすよ。輸入CDショップのジャズコーナーに 置いてあるんすよ。ひとりよがりでもなく、難解でもない。 ジャズの初期的衝動に忠実に演奏しまくる彼らを一度聴いたら ジャズ感が変わるよー。これからジャズを聴こうと思う人も、 いきなりアトミックから入っていったらどう?楽しい音楽人生を送れますよ〜。 責任はもてないけど。
50 ポール・マッカートニー/裏庭の混沌と創造(2005)
ジョン・レノンがかっこよく見える時期は確かにありますよね。 そうですねー、僕で言えば、30代半ばくらいまでかな? 真面目に“イマジン”を評価していたし、「ダブル・ファンタジー」が 愛聴盤だったりしたんだけど、急に醒めてしまったのね。 優れたシンガーだけど、優れたソングライターではないんじゃないかって、 疑問を持ち始めたら、それが膨らんじゃって、ついには確信に至ったわけ。 たとえば、ビートルズ時代にはポールよりも多くの曲を書いてるじゃない? で、もちろん名曲が多いんだけど、それすらもね、まあ初期はともかく 中期以降は何らかのアイデア、たとえばジョージ・マーチンのアイデアだったり アレンジだったり他のメンバーの閃きによって名曲に「なってしまった」感が 強いのね、僕は。実はたいした曲は書いていない。って。 ポールの曲っていうのは、曲そのもの、歌詞以外の、つまりメロディやハーモニーや コード展開が最初から「できあがっていて」あとのアレンジとか楽器配分という 要素はあくまでも見栄えを意識してるだけでね。デモヴァージョンや初期ヴァージョン を聴くと、ポールの曲ってすでにポールの曲なのね。 ジョンの曲は全部フォークソングに聴こえちゃう。 だから悪いって言う訳じゃないですよ。そういうのもありだけど、僕は好みじゃない。 この前テレビで、ポールがこの新作の1曲目をピアノで弾き語りしてたんだけど、 もう驚くほど雄弁なピアノで完成形と変わらないハーモニーが聴けるわけさ。 どこかで見た光景だなぁ・・って思ったら、“神のみぞ知る”をピアノで 弾き語るブライアン・ウィルソンと同じだったんだよ。 そっかぁ!そうなんだぁ!って思わず膝を叩いたね。
響 一朗
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