A Thousand Blessings
2004年1月〜最新ひとつ前に戻るひとつ先に進む


2005年08月24日(水) 長い日記だ・・・。

職安の帰り、駅のプラットホームのベンチに座り本を読む日々。
気がつくと2時間以上経っている。意外に落ち着ける場所なのだ。
僕は本当に働く気があるんだろうか?などと思ってしまうこともしばしば。
もちろん、ある。貯金はない。働かねば生きていけない。
週に一回1000円だけ買う、NUMBERS4かLOTO6に夢を託す。
当たるわけないと分かっていても、でももしかして・・と思ってしまう
庶民の哀しい現実を誰も笑えない。


鎌田慧「自動車絶望工場」を数十年ぶりに読み返す。
トヨタという化けもん企業の底辺労働者・季節工の労働実態を
白日のもとにさらけだした1972年の名ルポルタージュ。
おそらく僕が最初に読んだルポだと思う。
当時は潜入取材はアンフェアだとして企業側に加担する著名ジャーナリスト
から激しく攻撃されたようだ。
しかし、それ以外に当時の(現在は分からないが)トヨタの非人間的な
労働環境を世に知らしめる方法があったとは思えない。
労働者は人間として耐え得る限界を超えた労働を要求され、企業は
大きな利益を得ていく。眩い光の部分にばかり目がいきやすいが、
実はどんな企業も程度の差こそあれトヨタのような闇の部分を持っている。
2chのような媒体を使って匿名でリークするよりも
鎌田氏のように半年間季節労働者として実際に現場で働き、
体験したことを「実名」で発表する方が何十倍も勇気と信念が必要だ。
企業お抱えジャーナリストが大手を振って歩く時代だ。
IT企業の成功者に群がる連中を果たしてジャーナリストと呼んで
いいのだろうか?ルポライターに必要なのは、成功の裏側にある影の部分、
たとえば欺瞞・嘘・不正義などにスポットライトを当てるための行動力だと
思う。それともうひとつ、読者をグングン引き込んでいく文章力。
取材で得た貴重な素材を活かすも殺すも文章力次第だ。

松浦総三「マスコミの中の天皇」「戦中・占領下のマスコミ」「ジャーナリストと
マスコミ」以上3部作を10数年ぶりに再読しはじめる。老眼のため細かい字がつらい。
気がつけば、部屋の書棚はルポと音楽書で占領されている。
鎌田慧、本多勝一、斉藤茂男、本田靖春を中心に。
小説は嫌いではないが、同時に何冊か読むのには適さない。
ストーリーを忘れてしまうからだ。ルポや音楽書の場合は、
細かい項目ごとに読んでいけばよい。
それに精神的に余裕がない時に読む小説ほど無味乾燥なものはない。
ルポや音楽書はどのような精神状況下でも読める。
哲学書や思想書も読まない。マンガもほとんど読まない。
ドラマのシナリオを読むのは大好き。山田太一のシナリオはたぶん
手に入るものは全て読んだと思う。向田邦子のシナリオもかなり
読んだが、ある時期を境に僕は山田太一一辺倒になる。
山田太一のシナリオ(ドラマ)から得たものは非常に大きい。


昨夜から3夜連続で木下恵介監督作品が放送されている。
1日目は「女の園」。2日目は「花咲く港」、最終日が「破れ太鼓」。
黒澤明、小津安二郎、成瀬巳喜男、溝口健二、木下恵介。
この5人は脚本も素晴らしいけど、何よりも画に個性があるなぁ。
カメラワークひとつをとってみても、その後の誰に影響を与えたかが
すぐに分かるほど、独特だ。山田太一の師である木下恵介の
良さが本当に理解できるようになったのは、40歳を越えてから。
「野菊の如き君なりき」「喜びも悲しみも幾歳月」「二十四の瞳」
「カルメン故郷に帰る」「大曾根家の朝」「笛吹川」「香華」「陸軍」
「衝動殺人」「この子を残して」・・・・・etc
DVDBOXが欲しいなぁ・・・。。。。
各35000円で全6集ということは全部で21万円!!
残りの人生、約20年としてこれだけあれば十分楽しめる。
思い切って・・・・! マ、マジすか?? わかんない(笑)
しかし「女の園」(昭和29年作品)に出演してる女優陣。すごいなぁ!
主役クラスも豪華だが、その後の映画やテレビドラマで貴重な
脇役として活躍する女優さんも総出演。みんな、若い。綺麗。
青春なのね。ストーリーはかなりシビアだけど。
“ベーゼだけでも許してくれよ” いいセリフだなー。
それが50年経つと、“よぉ〜エッチしようぜ”となるわけだ。

興味深いストーリーだった。
厳しい規則で学生たちを縛り、絶対的な権力を振りかざす大学側。
それに反発する学生の数は日ごとに増えていく。
一触即発のにらみ合いが続く。
そのような状況の中で自己を見失っていくのが高峰秀子が演じる主人公。
やがて彼女は精神的な限界を迎え、自ら命を絶つ。
彼女の死をきっかけにして学園闘争へと一気に突き進んでいく学生たち。
その中心にいるのは山本和子演じるところの共産党員の女子学生。
常に自信に満ち溢れた不敵な笑みを浮かべ(共産党員としての強い自覚が
彼女をそうさせる)、仲間の女子学生たちの苦悩を冷静に観察している。
実は彼女はオルグになるチャンスをうかがっているのだ。
主人公の自殺が結果的に彼女の背中を押すことになる。
映画のラストシーン、学生を扇動する彼女の姿が映し出される。
友人の死を(悪く言えば)利用して共産思想を一気に広めていこうとする
共産党の怖い部分が見事に描かれている。
この映画の「もうひとつの」テーマだと思う。重量感溢れる作品だ。




・'゜☆。.:*:・'゜★゜


高校野球に夢中になれないもう一つの理由。
それは高野連という組織の存在だ。
この閉鎖的な団体は、僕の中では共産党や右翼のイメージと重なる。
「高校生らしく清々しく」と球児たちにアマチュア精神の素晴らしさを説く。
清々しいのは大賛成だが、清々しくないことが一旦起こると
この団体は一転して無言の圧力を当事者たちに加える。
それを恐怖に感じる学校関係者は多いはずだ。
部員や部長が不祥事を起こしたから甲子園へは行かせない。
軍国主義さながらの全体責任で問答無用に
切り捨てられた側への配慮は当然ながら皆無。
全ては高野連の権威とイメージを守るため。
明徳義塾も辞退する必要はなかったし、駒大苫小牧も優勝旗を
返還する必要はまったくない。守られるべきは、日々練習に明け暮れ
努力してきた部員たちの「思い」だ。
不祥事は関係者だけが処分されればいいこと。そんな簡単な理屈も
分からない高野連。犯罪者の家族は共に罰を受けよ、と言ってるようなものだ。
いい加減にこの悪しき慣習はやめなさい。
でも、今の状況では、駒大苫小牧は優勝を取り消させるんだろうな。
気の毒としかいいようがない。でも精神的に一番きついのは
野球部部長に殴られた生徒だろう。高野連のお偉方はどう思ってる?

※ 聞いた話だが、
   「高校生の高校生による高校生のための高校野球」をスローガンと
   する高野連だが、実際には役員の承認なしの“自主的行為”は
   存在しないとのこと。現在の高野連会長は、元・東洋紡専務取締役
   の脇村春夫氏(73歳)



・’゜☆。.:*:・’゜★゜♪


8月のキラー・チューン

「くるり / Superstar」





「BONNIE PINK / So Wonderful」













響 一朗

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