Rollin' Age

2004年10月22日(金)
 携帯哀歌

 ふと思い立って携帯の着信音を変えた。新しく登録したのは、東京エスムジカの「月夜のユカラ」。ちなみにこれまでのは、魔女の宅急便のテーマソング「海の見える街」だった。着信音に優しいメロディを選ぶ傾向がある。

 なぜかって、理由がある。

 携帯に電話がかかってくるのは、ろくな場合じゃない。上司の「今どこにいるの」というものか、とある友人がほぼ毎日かけてくる「今日は何時に起きたの」「今日はどこに行ったの」「今日は何食べたの」「なんか話そうよ」といった類のものしかないからだ。着信音が鳴るたびに身構える。怖い。せめて音色くらい、優しいものを選びたいと思うようになっている。

 それでも、一つのメロディを使い続けると、色あせる。色あせるというか、どれほど優しい音色であっても、嫌な感情が刷り込まれる。「海の見える街」という、あの牧歌的な優しいメロディですら、もう一種の脅迫めいた、恐ろしいメロディに変わってしまった。電話がなるたびに、心臓の縮む思いがする。本気で、電話に出たくない。恐ろしい。だから変えてみた。
 
 どうせまた、音色の優しさよりも、電話がかかってくることの怖さが勝るようになるのだけれど。そのときはまた、着信音を変えればいい。

 ちなみに、仕事とプライベートと、使っている携帯は同じだ。もともと自分から電話をかけないタチなため、かかってくる頻度も小さい。必然的に、仕事がらみの電話か、妙に電話好きな友人のどうでもいい電話かになる。「逃げられない」ということの象徴。この何グラムかの物体が奏でる音楽は、必要以上に重たい。正直、携帯なんて無いほうが良いと思うことが、多々ある。


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