Rollin' Age

2004年10月15日(金)
 百を尋ねて十を書く

 いつものように仕事が行き詰ってます。「書きます」と言った記事がいっこうに進んでいないので、ハナキンの翌日の自主出勤は確実となりました。

 なんで書き進まないのかというと、それには理由があるのです。たまたま拾った小さなネタを精一杯に膨らまして、「こんな風に書きます」と大見得切ってしまったからなのです。別に好きで大きなことを言っているわけではないのだけれど、毎週毎週「今度は何を書くんだ」と尋ねられる以上、何かネタを出さざるを得ない、そのため「これはちっと書くのは難しいかなぁ」と思いつつ、「書きます」と言ってしまうのです。不可抗力。

 例えるならば。欠けた梅干が入ったおにぎりと、しなびたタクアンしか手元に無いけれど、どうにかしてパックに詰めて売らなければならない。炊飯ジャーの底にゴハンが半膳残ってた。台所の奥に時化たカツオブシがあった。んむ、これでオニギリ作って、とりあえず「梅干とおかかのおにぎりセット、タクアン付き」298円で売ってしまえー。当然、台所事情は苦しいし、ろくな品物にならない。そのようにして、生真面目な消費者や店長さんから、いつ苦情が来てもおかしくない、オニギリ屋で私は働いているのです。

 2個しかないものを3個セットに仕立てあげようとするのだから、根本的に矛盾しているのです。そんな矛盾を抱え、頭を悩ましているところ、ふと、先輩記者が言っていた言葉を思い出しました。「百を尋ねて十を書く」。

 先日、研修のため珍しく同期が集まり、バリバリ一線で働く記者との懇親会がありました。その際に、同期の一人が投げかけた質問。「少ない情報で無理やり記事に仕立て上げねばならないことが良くあるんですが、どうしたら良いでしょうか」。あぁ、やっぱ新人の置かれた境遇は、同じようなものだなぁと思った。その問いへの応えが、「百取材して十書けばいいんだよ」というものだったのです。言ってみりゃ、当たり前なんだけど、その当たり前のことができないのが新人なのかもしれません。

 とにかく早く小ネタのストックを。なんとか年内には、立派な「おにぎりセット」を売り場に常備できるようにしたいものです。


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