あたしと彼のこと
DiaryINDEX|前の日|次の日
彼から電話をもらった。
電子チューナーを買ったらしく、自分のミニギターを調弦しただけでは もの足りず、私がいま借りているものでも試してみたいらしい。 夜おそくに、彼の家にお邪魔した。
呼ばれたものの、こんな風に気軽に遊びにきて良いものかと、いったん 玄関で躊躇したけど、でもやっぱり嬉しかったのであっさり上がり込んだ。
彼の買った電子チューナーはすごく便利だった。 調弦はすぐに出来て、それで満足したらしく、後はミニギターで弾ける曲 の話しをしたり弾きかたを教わったりした。
そんな間も、先日からの「親友モード」のお陰か、二人のやりとりには ボケとツッコミのメリハリも強く、楽しくて、彼はすごくはしゃいでいた。 そして、今迄にないくらいの彼の笑顔がたくさん見れた。
なんとなく、もっと早くこうしていれば良かったのかなぁ、とか思うけど でもこれは単なる結果論だろう。
そうしているうちに、彼にメールが入った。
またか。最近こんな風に楽しい時間を過ごしていると必ずメールがはいる。 来たメールは私達の共通の友人だった。彼は「○○からだ」と言って 内容を教えてくれた。でも返事をせずに放っておいた。
そして、またメールが来た。
今度は誰なのか、彼は何も言わなかった。
「誰からなの?」とわたしが聞くと「連れ」と素っ気無く応える。 そんなの応えになってないよ…そう言いたくなって口をつぐんでしまう。 そしてただ携帯を見つめているだけ。どうしても聞けない。
彼に来たメールはすこし長目らしい、何度かスクロールして読み終わった。 そして返信しないでその侭にする。 何ごとも無かったように、また彼は元どおりのテンションでわたしに話し かけてくる。でも、既にそんな気持ちでいられなくなってしまう。
そして、何度か携帯に目がいってしまうのを見て 「メール気になるの?」そう聞かれた。
「うん・・・気になる、なんで返信しないの」 ほんとは、誰だったの?と聞きたかったけど、それしか言えなかった。
「そらが帰った後でやるよ」素っ気なく言い放つ。
わたしが居ては返信できないんだろうか もしかして早く返事をしたいんじゃないだろうか。
わたしは、メールを放っておく彼が、すごく嫌だった。 わたしが目の前に居るのに、誰か他のひとのことを考えながら話したり されるのがすごく嫌だった。自分だけを見て欲しかった。
「わかった、じゃ、もう帰る」
言ってしまった。 ああ、わたしは、やっぱり友達には成りきれない。すっと立ち上がって コートを羽織ろうとした時、やっと我にかえって気付いた。
困った顔をしている彼。
「ごめんね、そうじゃなくて・・さっきから何か疲れてるみたいだから そろそろ帰ろうかと思ってたんだよ」とフォローする。
「うん、実は風邪ぎみ、ちょっと頭痛」フォローに乗ってくれる彼。
「そか」
ヨシじゃ揉んであげる頭痛に効くツボはここだよ そう言って、彼の頭と肩を揉んであげた。
「ありがと、だいぶ良くなった」
ん、じゃ、帰るね・・・そう言ってそのまま帰った。
玄関口まで見送ってくれた彼 家に戻ってすぐに、彼はメールの返事をしたんだろうか。 相手はあの女の人なんだろうか。 わたしの知らない彼は、どんな言葉で返事をしたのだろうか。
嫉妬が、すごく、心地悪い。
|