あたしと彼のこと
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夜になった、結局彼からの連絡は無し。 そろそろですねと言うあの声は、遠く過ぎて聞こえなくなっていた。
「言う気持ち」が、なんだかどうでも良くなってしまったのだ。
正確には、どうでも良くはないのだが、一杯になったはずの器の容量が 増えたのか、溢れていたはずの液体が減ったのか、どちらなのかは分か らないけど、確かにそれは、静かに余裕をもっている。 そして、なおまた溜まろうとしている、でも、たぶん当分は溢れない。
今日は朝から本屋巡りをした。 ここなら在る、と思って行った本屋のどこにもそれは無くて、あげくに 図書館にまで行っても貸し出し中&予約満タンにつき、これはもう、と思い 近所の本屋で注文した。
本は二〜三週間ほどかかるらしい、すこし長い、でも良い。 何週間かかろうと一ヶ月かかろうと良いのだ。 それが読めるのならいくらでも待つ、読めるのだから、その為に待つ時間は すでに愉しみのひとつとなっているのだよ。 本屋の店員に、よろしく、と穏やかに言って家に帰った。
いつか読めるのと同じく、いつか言うのだ。 言わずに終わる事は、きっとしない、いつ言えるのか、なぜ言えないのか そればかり気にしていたが、言う時は必ず来る、それは刻々と近付いている だから「言う」と、そう決めたそれだけで、私は満ちて落ち着いた。
いま言わなくても良い、いつか言う。 それをいつ言うのか約束はいらない。
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