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 重松清『送り火』

『疾走』に感動して読み漁るようになったのだが、
実際は、30〜40代の悲哀を書くことの多い作者だ。
『送り火』は、霊が必ず話に登場してくるタイプの短編集で、
どれも中年を泣かせるようなオチになっている。

一番泣けたのが

「お父さんが「家族の幸せ」を考える時、
その家族の中に自分は入っていない」

という一文。

自分の父親は全くそういう人ではなかったが、
頑張るサラリーマンのお父さんの殆どは
そういう人たちだったのだと、なぜかわかる。
同時に母親もそうなのだ。
「家族の幸せ」の情景には夫や子供の微笑む姿があるだけで、
そこで一緒に微笑む自分の姿まではない。

家族とは、
不器用な人たちの不器用な愛に支えられて、
出来ていたものだったのかもしれない。

2007年11月28日(水)
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