特にこれといった意味も無く、改稿とかを行ってみる。 ……いや、意味なら多大にある。見苦しい。 中でも個人的に見苦しキングだった個所、Crusade42話某所をちょこっと変えてみた。
ちなみに42話とは奴のファーストキスのシーンがあるところ。っていうか改稿したのはその場面。 大差ないといえばないんだがなんだかいやん、ファーストキス2回もさせちゃった気分でちょっとドキドキ(意味不明)。
以下、別に全く読まんでも構わんのですが、改稿部分。(ネタばれだしね) 無意味にラブシーン見たい人はどうぞ。 って、そんなラブシーンというほどのラブシーンはやってないのでがっかりしても知ったこっちゃありません。
本日の一絵は一番下にGooooo!
「もう、これじゃ埒が明かないよ。ねえ、『これをしたら教える』って条件つけない? 難しくても構わないから」 苦肉の策のようなソフィアの言葉に、ウィルは皮肉げに笑みを浮かべる。 「そうだな、じゃあ、キスしてくれたら言ってもいいよ?」 「分かったわ」 「……え」 殆ど即答の形で返ってきたソフィアの声に、逆にウィルが間抜けな呟きを漏らす。 慌てて振り返ると、ソフィアは彼のすぐ後ろまで来ていた。どこから見ても真剣な瞳で、じっと、ウィルの目を見つめている。 「ちょ、ちょっとおい、冗だ……」 うろたえるウィルの腕を、ソフィアは強く掴んだ。力いっぱい引き寄せられて、思わず体勢を崩す。そこへソフィアはすっと、顔を近づけてきて―― 「なっ……な……!?」 柔らかく、彼女の唇が触れた部分に、ウィルは手を触れた。 自分の頬に。 「何よ、キスはキスでしょ。文句あるっての?」 耳まで真っ赤に染めながら、しかし強気な口調で言い放つソフィアを、ウィルは、意味もなく同じ音を連発しながら見開いた目でただ見つめていた。 やがて、しゃっくりが収まるように何時の間にかその意味のない声は収まったが、一度固まった表情はすぐには元に戻らない。さすがに不思議そうに、ソフィアは彼の顔を覗き込んだ。 「どしたの?」 「……どしたの、って……そんな本気で訳分かりませんみたいに言われても……」 珍しく、これでもかという程うろたえるウィルを見て、彼女の方は逆に落ち着きを取り戻してしまったようだ。小さく肩を竦める。 「ま、何でもいいけど。……っていうか、『な』って何?」 「とりあえず『何で』までは頭に浮かんでたんだけど……」 「何でって、変な事聞くのね」 確かに、自分でも変だと思ったから言うのをやめたのだ。まさか、目的の為にはここまで手段を選ばないとは思ってもみなかったが。 「ウィルにキスしたかったからに決まってるでしょ。……じゃ、約束守ってもらうわよ」 「ちょっと待ったっ!」 ソフィアの一言に慌てて叫び声を上げるウィルに、ソフィアが、何? と首を傾げる。 「キ……キス『したかった』って……」 「わざわざリピートしないでよっ! 話先に進めてるのに!」 「聞き返さずにいられるかよ!」 きっぱりと叫ばれて、ソフィアは口を閉じた。視線をほんの少し外しながら、所在無さげに指を絡み合わせる。 しばし考えて、彼女はぽつりと言葉を口にした。 「今までの……お詫び、みたいなものよ。あたしのわがままで、ウィルを困らせたから……」 目を合せようとせずにそううそぶくソフィアにウィルは半歩だけ、近づいた。それに対する彼女の反応は、叱られた子供のように身を固くすることだった。許しを乞うように俯いたまま、彼女は動こうにも動けないでいる。抵抗の間もなく殴ることも、両腕で折れるほど抱くことも自由な位置に立ち、しかしそのどちらもしてこないウィルに、余計に緊張を感じているのだ。 す、と頬に触れてきた冷たいウィルの指先に、ソフィアは身体を小さく跳ねさせた。 「……それだけなの?」 「それだけ……って」 「さっきのは、お詫びってだけなのか?」 囁き声で問うと、ソフィアが下唇を噛むのが見て取れた。何かを言おうとして、唇が震えるように動く。が、再度それは固く閉ざすように噛み締められた。その代わり、彼女の白い手が、ウィルの胸元に伸ばされて、服を強く掴んで来る。 迷子の子供が、ようやく見つけた両親に、泣きながらしがみついてくるように。 「自分で分かってるって言ったんじゃない。意地悪言わないでよ」 「分かってるつもりだった。……けどそれは本当に、つもり……だけだったんだって、思い知ったから」 ――君が気になっていたのはそれだけなんだろ、と。 彼女が素直になりきれなくても、想いは通じ合えている。そう思って、そう言った。 最初は、多分本当にそうだったのだろうとは思う。 けれどその大切な彼女を自分は深く傷つけて―― 素直でない想いすら、みすみす手放す真似をして。 「見放されたと思った。君の傍にいる資格を失ったと、思った。……こんなにも君のことを好きなのに、君を……裏切ってしまった」 不意に、ソフィアは顔を上げて彼を見た。彼女の瞳を潤ませる涙に、目を細める。情けないことに、それだけで自分の目からも雫が落ちてきそうな気さえした。 何とか、それだけは踏みとどまったが。 「ねえ、ソフィア」 ファビュラスの取水塔での時と同じくらいに瞳の距離を近づけて、囁きかける。この間近でも、ただひたすらに真っ直ぐに、自分を見つめる愛しい少女だけを目に映して。 「俺はちゃんと言ったよ。今度は君の番だよな」 瞬間、彼女の眉間にしわが寄る。翳る、というふうではなく、単純に、困ったように。真っ直ぐだった瞳が、へそを曲げたように逸らされる。 「ウィルが思ってる通りで合ってるわよ」 「なるほど。好き好き大好きウィル、もーあたしあんな事でもこんな事でもオッケーよ?でいいわけね」 「……どんな事よ……って別に聞きたくもないけど……」 疲れたような溜息を混ぜた声を洩らす彼女に、ウィルは微笑んで見せた。彼女はそれに答える笑顔は見せてくれなかったが、その代わりに、おずおずと彼の首に腕を回し、頬を胸に寄せて来た。 その熱が――凍り付いたものを、氷解させてゆく。 「嬉しかった……わよ。ディルト様に好きって言われたのもドキドキしたけど……多分、それよりも、なんだろう……もっと近い、感じで」 「近い?」 「ん……多分、一番、近いの。ウィルがそう言ってくれるのが。ウィルが、あたしの身体の中で……一番傍にいる人なの。だから」 彼女は、彼女だけの言い回しをよく使う。自分の感じた事を、そのまま殆ど考えず言葉にするので、解釈が難しい事が多い――が、その分直感的で、時に、痛い程に、重い。 「だから、すごく嬉しかった……んだけど、でも、ウィルの中にはもっと近い人がいるかもしれないのを思い出して。あたしだけが近いと思ってるのは、怖かった。怖くなくする為には、あたしの中の距離も、離さなきゃいけないと思ったの。……そうしないと、もっと遠くなりそうな気がしたから。それは嫌だったから」 そっと、彼女の淡い色の髪を撫でる。震える身体は驚くほどに細くて、小さくて。解放軍屈指の戦士ではない、かつての記憶と変わらない、儚い少女が今、腕の中にいる。 「馬鹿だな。いつだって、俺はここにいるのに」 ――もう二度と―― 「ずっと、君の傍にいるのに」 ――失いたくはないから―― 「……馬鹿とか言わないでよ」 「突っ込む所はそこかよ」 苦笑して、ソフィアの両肩に手を置く。ゆっくりと、彼女の身体を起こさせて、ウィルは彼女を見下ろした。涙でけぶる睫と、その滴の伝う目尻、頬に、ひとつひとつ丁寧に唇を寄せる。 そして最後に、彼女の薔薇の花弁に、くちづける。 「愛してる。後にも先にも、たった一人、君だけを」 そっと顎に手をかけて、しっかりと自分の方を向かせた彼女の唇に、もう一度ウィルは自分の唇を重ね合わせた。
はい。というわけで、
本日の一絵
女の子のカラダはつくづくむずかすぃ。
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