2003年05月24日(土) |
ほんのりと裏切られた気分 |
土曜日。 久々に、前の会社の友人と会う約束をして、彼の地元で私の通勤途中の某駅で待ち合わせたのです。
会うのは一年ぶりくらいでしょうか。 私が辞めてしばらく経ち、たまたま以前の勤務先に遊びに行ったその時、他の勤務地に異動していた友人が、その月で退社するという噂を聞き、そちらへ思わず直行した……と、そんな事があったのですが、その時以来です。
あ、これ日記に書いた気がするな。今はもはやほったらかしの通常日記かな。まあいいや。
ともあれ、その彼と会ってきたわけです。 用件はめんつゆ。 最後に会った時にメールのアドレスを聞いたので、それ以降たまーにメールをやり取りする関係になっていたのです。
いろんな話題を話してたんですが、その中のひとつの話題がめんつゆ。 「自炊してるけど、最近おいしいめんつゆ見つけてそばが旨くって」 みたいな話題が出ておりまして、それに、私は 「へぇ〜。いいねえ。そんなに感動するほどおいしいのなら私も食してみたいよ。どこの?」 何て感じに返信したんですね。 で、その後、 「普通の店においてある奴じゃないんだよね。でもたくさん買ったから分けようか?」 となり、 「いいねえ、ぜひ」 という感じでレス。
で、それからしばらく経って、 「前のめんつゆの件だけど。時間があったら渡したいけどいつ空いてる?」 いうメールが届いたのがこの前日、金曜日。律義な奴です。 日曜日は友達と遊ぶ約束をしていたし、日曜日はどんな予定が入るか分かんないので(主に遊びだが)、 「近いうちの土曜日ならいいよ」 とレスを打ちました。で、結局次の日であるこの土曜に会う事になりました。
律義なのは知ってるが、わざわざめんつゆ一個で会おうなんて本当にまめだな。 いや、それはかつての戦友と酒でも酌み交わす為の名目かな。ふふ。 いや、案外、めんつゆの訪問販売員になってたりして。 のこのこ行くとめんつゆ大量に売りつけられたりするんだよきっと。
なんて冗談を考えながら支度して電車に乗って待ち合わせ場所に到着。 しばしして彼とご対面。
すると……
本当にめんつゆ販売員だったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!
いや、分かったのはもちろんこの瞬間ではなかったのですが。結果的に。
予感は的中するものです。 ……いや、冗談のつもりだったのですが、旦那。 あとになって思えばたしかに、他の話題はともかくめんつゆの話題はかなりひっぱりましたし、怪しかったんですが、まさか本当にそうなっているとは。
いやあ…… なんつうか、驚き通り越してキタ――――――――ッ!!とか叫びそうになりましたよ私は。
正確に言うと例のあれですね。俗に言うビジネスパートナーという奴。なんか専門用語があった気がするんですが脳内スルー。 最初のうちはいろんな雑談をしながら食事を続け。 なんだかだんだん話が怪しげな方向へ。
サプリメントに凝ってるんだ。えあさんもどう? だとか、 いまどこで働いてるの? という私の問いに、それはあとでねなんて答えたり。
うっわぁ……
もう正直、搦め手はいいので本題を聞かせて欲しい所です。 興味津々です。
またまたしばらくが経過し、ようやく本題突入。 その実態とは。
めんつゆ以外にも生活用品いろんなモノを扱っていて、会員になるとそれらを30%オフで購入する事が出来、同時にそれを定価で販売する権利も得るそうです。 まあ販売せずに自分で使ってもいいわけなんですが、とにかく購入するとポイントが溜まります。細かいレートは聞いた気がしますがやはり脳内スルー。
そのポイントを現金でキャッシュバックしてもらえるのですが、自分が誰かを紹介して会員になってもらうとその人の分のポイントも自分に加算されるわけです(全額じゃなかったかもしれないがとにかく加算あり)。 で、自分の紹介者がまただれかを会員にするとその人のポイントもまた自分に返ってきて、というおいしいシステム。
素敵に無敵にネズミ講――――――――――――ッ!!
とはいえ今時本格的に法に引っかかるネズミ講システムを採用する会社などある訳がありません。どうすると引っかかってどうするとスルー出来るのかってのは先方の方がよく調べているはずです。 ちゃんとしたカラー印刷のフリップなどを彼は用意しており、相手はそれなりの大きな企業であるようですので尚更です。
今の私に出来る事は彼の話術に引っかかって洗脳されんよう冷静に見極めるのみ。
そして日記のネタにすべく面白い所は全部記憶して帰るべし!
……相手は所詮素人勧誘員。 私にメールを頻繁に送り付けはじめてきた時期から考えて、入会したのは今年になるかならないかくらいと見ました。キャリアは薄いです。 そして元々、それほど口の上手いタイプではない彼。 いくらなんでもこのスレにスレまくった私が引っかけられるわけがありません。学業よりも力を入れた三年の塾講バイトでペテンには慣れています(何)。
まあ、冗談はさて置き、私でなくとも引っかけられる人なんて滅多にいないんだろうなと推察します。だってあからさまに怪しいし。
……でも引っかかっちゃったんだよな、こやつ(友人)は…… うーみゅ。純真なんだから。
ともあれ大切なのは友人の将来よりも自分の日記のネタです。 次なる展開に期待しつつ、彼の話に耳を傾け続けます。
彼はおもむろに、他社製品との比較実験をはじめました。
(ちなみにここに至る迄の間、長々と会社の概要の説明がありましたがその辺は当然脳内スルー。……そんなに延々会社の信用度を説明しなきゃ信じてもらえない会社なんて、嫌だ。)
比較実験。は、いいけどここは飲み屋の店内です。某藁藁。 恥ずかしい事この上ありません!! が、
そんな一時の羞恥心でこのおいしいネタを私は逃せません。
ということで気にせず進行。
先ずは食器洗いの洗剤の実験がはじまりました。
1・鏡の上にサラダオイルを適量垂らします。 2・そのサラダオイルに他社の洗剤と、当社の洗剤を垂らし、指で混ぜ混ぜします。 3・鏡を立てかけ、ペットボトルの水をそれにかけます(ちなみに大型のタッパーの中で作業してます。当たり前ですが)
するとあら不思議! 水をかけただけで当社の洗剤の方では、油汚れがよく落ちるではないですか! しかし他社の洗剤では落ちません。ほら、この違いを見てください! 凄いでしょう!
…………ええ、すごいです。 こんなTVの向こう側でしか見れないようなモノが目の前で見れるなんて、生涯で数えるほどでしょう。
よく落ちましたともさ。原理は分かんないですがよく落ちましたね、ええ、確かに。 他社製品として使用していたのは某100円ショップの洗剤で、正直洗剤とは認められない洗浄力の品物ですが、これがフェイクですかね? それとも他社製品を原液で使った事がフェイク?
(*台所用洗剤はこの自社製品と同じよう本来なら薄めて使うものです。ここについて彼は、「他社製品は原液でもこんななのに当社の製品は薄めてもよく落ちます」と言っていましたが、本来薄めて使うものなら同じように薄めた状態で比較しないと比較実験とはいえな(中略)未実験なので何ともいえませんが薄めなければ粘っこくて水かけただけでは落ちないような気(以下略))
ともあれその後、鏡を片づける為、更に水をかけながら指先でチョチョッとこすっただけで両方落ちてましたから、どの道どっちでもいいような気がします。
同洗剤の実験は続きます。 彼は自分の手の甲に市販の靴墨を塗りました。そこに洗剤を塗布します。こすります。よく落ちます。これは別に比較対象無しでした。
それを布で拭い取ります。 そしてその真っ黒に汚れた布を瓶の中に入れ洗剤を垂らして振り、更に洗浄実験を行う、という予定であったようでしたがここでミステイク。
彼、間違って店の紙お絞りで手、拭いちゃってたんですよね。
瓶に入れる段になり気付いたようですがもう遅い。 もう一回やり直せば? とか言ってあげてもよかったのですが彼のプライドが可哀相なので私は黙って生暖かく見守り続けました。
瓶の中に紙入れて洗剤入れてがしゃがしゃがしゃ。 さすがに破ける事はないでしょうが……
「……ほ、ほら、紙だけど少しは落ちたよね?」
……落ちてません。瓶の水も真っ白です。
まあこれはただの彼のミス。単なる余談です。 本来ならばよく落ちるはずだったという事で、進行。
気を取り直して実験を進めます。
取り出したるは当社の歯磨き粉と他社の歯磨き粉。 アルミホイルを敷き、「これは歯のエナメル質の代わりね」と説明を受けます。 そこに2つの歯磨き粉を適量絞り出し、ぐりぐりと少々混ぜてみてから、 「えあさん、触ってみて」
他社の歯磨き粉。円を描くようにぐりぐりぐり。 次に自社の歯磨き粉の感触も同じように確かめて。
「他社の歯磨き粉はざらざらしたでしょ? これはね、歯磨き粉の研磨剤がエナメル質を溶かしているからなんだよ。当社のは、ほら、ざらざらしないから溶かしてないんだ」
……いや…… ……研磨剤そのものだろ……これは…… 何もせずに手にとり指先で転がしたってざらざらする気は何となくするんだけどな……少なくともうちのは。
……いろいろお付き合いしたい気分は山々でしたがとりあえず、終電がなくなってしまうので帰宅したい旨を伝えました。 彼もそこまでは引き止めてこず、一緒に店を出て行きます。
帰り際、駅で。 ようやく当初のめんつゆとご対面。 この時点ではじめて「このめんつゆもその会社の製品?」と聞いた訳ですが。まあそれ以外に考えられないけどね。
これも彼の販売実績に入るんだろうがまあ、このくらいなら別に意地悪するものでもなかろうと思い、ちゃんとお金を払って購入。
500ml、980円。
どこの高級料亭のめんつゆなんだか。 ちなみに普通にスーパーで買えば、名のあるメーカーのモノでも500ml、298円で買えます。特売ならば198円。
でもまあ、こんなもんでしょう。 予想がついていたというかむしろ疑う余地もなかった値段設定にはきちんと納得し商品の授受を行った直後、彼は更に別の商品を取り出しました。 「えあさんにはこれも使って欲しいんだけど……」 味付ポン酢。
「ただ、これは気に入ってるからあとで返して欲しいんだけど」
ははあ。 次につなぎを取る為のマニュアルテクか。 無論メアドは知られている以上アクセスはいくらでもとれるでしょうが、わざわざそんな接点を作ってやる気は毛頭ありません。 「開けた奴を? 私、帰宅遅いし返せる確証はないんだけど」 そう告げると瓶の裏の賞味期限を慌てて確認しようとする彼。ちょっと慌てる私。 「いや、開封後はそんな賞味期限とか関係ないから!(汗)」 慌てたのは無論、仮にも食品(含む)販売員として大丈夫かオマエという危惧。 「冷蔵庫に入れてくれれば……」 「もたねえよ」 彼としてはもたなくてもいいわけでしょうがまさかそうとも言えません。やはり大人しく引き下がりました。
あとはシャンプーとリンスの試供品を貰って。 普通にさようなら。
……ああ。裏切られた気分。
ある意味期待通りなんですが。
何でだろうねえ。 こういうビジネスってさ、もしかしたら100%詐欺ではなく極一部はほんとにいい感じに儲かっているのかもしれませんけどね。 だからってよくやる気になるよなあ。
ほんの砂粒ほどの大もうけの可能性にかけて頑張るっていう意気込みは買うけどさ、絶対一年で友達半減するよ。 少なくとも私はそんなめんどくさい友人欲しくないね。悪いけど。
何よりも、プライベートとビジネスの境界に線を引けないやつって私、大ッ嫌いなんですよね。マジ勘弁。うざい。とかコギャルっぽい口調してみたり。 飲み会で仕事上の説教はじめる奴とかさ〜。私がやられたわけじゃないけど本気でむかつきましたもん。仕事場では言えない業務上の愚痴とかそういう事なら面白いと思えるんだけどね〜。
もー本当に…… がっくり。
本日の一絵はちょっとお休みさせて頂きます。あとでまとめてアップしようとは思ってるんですが……ってそれじゃ意味ないってばさ。
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