大学時代のサークルの忘年会及びぽちの結婚祝い。
大学のサークルっていうかぽちの外見に似ず武道系体育会なのだが、この同期で結婚する初の人間なので盛り上がってくれた。
在学中その競技では全くダメダメで存在感なかった自分は、そういう些細なことが嬉しい。
元彼に2.5年振りに会った。そういう主旨の会ではないのだが、感想はほぼそれに尽きる。
会ったというのではない、見た、雰囲気を感じたという程度。
強いて視線をあわさなかった。
元彼は遅れてやってきた。
来てすぐに「勝った」と思うことが出来なかった。
元彼は昔のままであった。外見的にも、少々訛のあるしゃべり方、疲れたときの甘えっぷり。
元彼は似非爽やか風味、中学校とか高校でとても人気が出るタイプである。
お勉強も出来るし、運動神経もいい。学ランがめちゃくちゃ似合うタイプである。それを自覚しているし、まぁ女好きのするタイプである。
自分のイメージではカレカノの有馬くんである。
こういうタイプが自分好きなんだな〜と思った。多分今でも変わらない。その好みは。写真で見るとそんないい男じゃない気がしたりしたけど、これが原型となって自分の中に埋め込まれていることを感じた。
ちなみに変人とは全く違うタイプ。
元彼は自分が一番最初につき合った男である。4年くらい続いた。遠距離時代も含むと。
元彼の後、その後に周辺をうろうろした程度の男は自分にもいなくはなかったが本格的に自分をさらけ出すようなつき合いしたのって変人くらいなものだ。
その元彼はぽちが好きで好きで死力を尽くして得たという存在である。
大学1年の3月の春合宿の時に惚れ、2年の夏頃までかかって落とした存在なのである。2年の夏というか、冬ぐらいまでかかったかもしれない。
コイツは手に入れたい、自分のものにしたいと初めて切望した存在だ。
何度となく、自分で自分の感情に耐えきれずに泣いた。
つき合っている最中も多少の変動はあるものの、ぽちの惚れた者負け一直線が続いた。段々ぽち勢力が強まってきたけど、最後までそうだったと思う。
大学3年になるまで、学校内の電話がない寮に住んでいて全然連絡取れず、ひたすら電話待っていたこと。
学校内に住んでいるのに、何故か文通していたこと。
会う約束で嬉しくてしょうがなかったこと。いつも1時間半くらいかけて会いに行ったこと。
大学3年で寮から別の寮に移った時、電話がついて喜んだこと。
その寮に忍び込むようにして泊まったこと。その際風呂なしだったので、銭湯に行ったこと。
ぽちの赴任先京都までやってきたこと。京都からこっちに帰ってくるときの引っ越しをやってくれたこと。
その原因を作ったのは半ば元彼だったこと。
元彼は司法試験やっていたのだが、卒業後は実家の九州に帰るので死にそうに泣きわめいたこと。
公務員試験受験と面接の為に上京してウチに泊まっていったこと。
25才の誕生日に九州まで行って元彼の中学校の時の初恋の人とつき合っていると、振られたこと。
ぐるんぐるん思い出した。
心が騒いだ。
でも一方で冷静な自分もいた。
ちょっとした発言で相変わらず自意識過剰だなと思ったり(←なんせ、昔弁護士になってTVに出るのが夢と語っていたのだった)、コイツは女を安心させるタイプじゃないなと思ったり。人間としての冷たさの片鱗を感じたり。
昔は惚れているので許せていたことが、アイタタと感じてしまったことは事実だった。
席で時々元彼の視線を感じた。
それがちょっとした一方的な負けではないと思わせてくれた。
その元彼とつきあい始めてからぽちはその元彼に「昔より綺麗になった」と年に1回は言われ続けていたのである。
それを持続させたかった。
贅肉はその当時より付いていて・・・なのだが、
ディシラのファンデ全面塗りバージョンで少々気合い入っていた。
眉も丁寧に書いた。正統美人系眉。
それでいて服装は平凡で気合いを感じさせない風。
お開き後、予想した通り「おめでとう」を個人的に言う為に近づいてきた。
気が付かないフリして、言わせなかった。
その後元彼は勤務先に戻った。
まだ仕事らしい。
ぽちは2次会に行った。
見慣れない電話番号から電話あり。
半ば見当をつけながらもかけ直すと元彼からであった。
ハイテンション気味に社交辞令でお礼を言う自分。
思ったより冷静に言えた。感情込めずに。
この電話をかけてくるっていうのも、相変わらずのナルシスト的自己満足な行為なのだが、こう思えること自体もう終わったってことなんだろう。
あれともう何かを始めたり、いじくり返したりってことがないのだろう。
昔、金銭的にもヒモじゃないかと思う人間に惚れきって追っていたことを今となっては懐かしくなった。あれきり、もうそういう想いすることないんだろうな。
あんなに頑張れたのは。
そういえば元彼もピンクのワイシャツ着てきていた。
多分アイツも気合い入っていたんだろうな。