GARTERGUNS’雑記帳

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製作部長の密かな嗜好/マイライフアズアドッグ
2004年11月04日(木)

※特典CD2巻「アースティアTV」設定

「なあ、ガルデン製作部長」
「なんだ、しがないディレクター見習いアデュー」
「いや、実は製作部長が『ナイト戦隊リューナンジャー』の製作にGOサインを出して、しかも自分も悪の大幹部役で出るって聞いて。
 あんなに『金がかかる子供向け番組』に関わるのを嫌がってたのに、何でかなって思ってさ……
 いや、それを悪いなんて言うつもりは全く無いぜ?俺は特撮好きだし…」
「知っている。私に何本も特撮作品のビデオを押しつけ『無碍に製作を反対するより先に見てみろ』と言って視聴を強制したのは貴様なのだからな」
「……、……それにこないだの社内報に載ってた製作部長の『悪の大幹部』姿だって、ベルトやジッパーや編み上げで締め付けビシバシブラックレザーにシルバーや鋲ガチガチの、あの『JAP工房』オリジナルの衣装がめちゃめちゃ似合ってて俺的にかなり夜のお世話に…いやいや、まあ、その、とにかくかっこよくて綺麗だったしさ。
 ただ、あれだけ『洟を垂らした餓鬼の娯楽になど誰が協力するか』とか言ってたのに、急にそうなっちまったのはどうしてなのか教えてほしくてさ……」
「…………」
「…………」
「……誰にも言わないか?」
「あ、ああ。約束する」
「実は……私はビザールファッションフェチでな……」
「……は……?」
「特撮など、派手である事しか興味が涌かぬ餓鬼の作品だなどと思っていたのだが……
 貴様から渡されたビデオを嫌々見ているうちに、これらの世界観には実にすんなりと、ボンデージやラバースーツといったものが馴染むと気付いてな……
 たとえば悪の組織の怪物ども。ただのグロテスクな集団かと思いきや、その造形にキンキィでフェティッシュな魅力を感じるものも少なくない」
「………だ、だからGOサインを出して、おまけに自分もあんなボンテージを着て、悪役として出演するってのか?」
「ボンージではない、ボンージだ!!Bondage!!!
 貴様、さてはベッドを『ベット』、バッグを『バック』と発音する人種であろう!!ふざけるな!!跪いて其処で謝れ!!!」
「いや、何をそんなにエキサイトしてんのか判らないけど、気に障ったんなら悪かったよ……つうか、意味が通じてるんなら別に構わないと思うんだけどさ……俺はそこまでの拘りは無い一般人なんだから……」
「………!!………!!!」
「ごめん、謝るからジャパネットなんたらの電子辞書で殴ってくるのは止めろよ……うん、ボンデージは『奴隷の身分・束縛』って意味なんだな。ちゃんと覚えたから、もうそんな真っ赤になって怒るなよ」
「ま、全く……これだからシロウトは……
 それに私は自分の衣装をボンデージと呼ばれるのは好かん。ボンデージとはその辞書にある通り、奴隷の身分を意味するものなのだからな。
 故に私自ら纏う『特別な衣装』は、『ビザールファッション』と呼んで貰いたい。Bizarreとは奇矯・奇異・奇怪の意。一般にはボンデージと同義の『拘束的ファッション』くらいで使われているが、本来の意味を考えるとこれは譲れん(息切れしつつ襟元を正しながら)」
「クロウトなら、自分の拘りを素人に押し付けたりするなよ……(小声)
 ……で?話の続きは…?」
「あ、ああ。……だから、その『子供向け』でありながら背徳的且つセクシィ、しかもデコラティブに成り得る『特撮』の世界観に魅了されたというのが理由だ」
「でもさ……俺がこんなこと言うのも何だし、金を握ってる製作部長が一番良く判ってる事だろうとも思うんだけど…
 そういうボ…ビザールファッションって、金かかるだろ?
 お前の衣装だって、大幹部用だからあそこまで凝ったのになったけど、他の怪獣なんかはちゃちいのになったりもすると思うぜ。凝り性のお前が、そんなので我慢出来るのか?
 戦闘員なんか全身タイツだぜ、全身タイツ」
「判っておらん奴だな、だからこそではないか」
「はぁ?」
「全身タイツもまたフェティッシュの一角。
 全身を束縛し、表情や顔のつくりによる個性すら奪う全身タイツは、ビザール愛好家……特にラバーフェチからの人気も高い」
「…………」
「その様な衣装に身を包んだ人権無き下級兵士どもに、永遠の忠誠と殉死を誓われるビザールファッションの大幹部……
 こう聞いてオファーを受けぬ方がどうかしている。考えれば、主役のヒーローどもも全身タイツに仮面+ベルトだのブーツだのであるしな。
 全く、こんな身近に斯様な世界が広がっていたとは………ふふん、今回ばかりは礼を言うぞアデュー・ウォルサムAD。開拓し甲斐のあるジャンルをこの私に見せ付けた、その無謀さと先見の明にな!」

上機嫌で話を〆たガルデン宣伝部長に機械的に頷いて見せながら、「ナイト戦隊リューナンジャー」が「ビザールファッション好きや全身タイツフェチの間では必見、一般的にはドマイナー」な作品にならない事をただ祈るばかりのアデューであった。


―――――

昨日の雑記の続きで書く予定だったのですが、長くなってしまったのでこちらに。
特撮の衣装と言うのは、本当に凄い世界だなあと思います。
個人的にはカーレンジャーのゾンネットが好きだったな。

それでは、また後程。

―――――


「アデュー」
「何だ、パッフィープロデューサー」
「ガルデン製作部長が、素性を伏せて他局のTVに出ているそうですわよ」
「へ?何でまた……」
「何でも、製作部長の個人的な趣味が高く評価されたとかで……
 是非今回の特番にとオファーが来たそうですわ」
「個人的な趣味ねえ……それってお茶の間に流しても大丈夫なモノなのか?」
「さあ、わたくしは存じ上げませんわ。
 ……あ、もう始まっている時間ですわね。見てみましょう」

ピッ

『……さあ始まりました「TVチャンプ」、今回は「ダメ犬しつけ名人決定戦」です!!
 可愛いワンちゃんの無駄吠えや噛みつきなどに困っている其処の貴方も、これさえ見れば明日から素敵なドッグライ(プツッ)
「まあ、アデュー、どうして消してしまうのですか」
「見ない方がいい」



―――――

今日、TVで上の様な番組をやっていまして、ふと思ったのですが。
ガルデンはイヌ類の躾名人になれそうだと。
噛まれたりしたらもう「どちらが主人か思い知らせてやる!!!」とか言いながらその犬に噛み付き返し、半殺しにしかねない。
地上最強の犬との誉も高いアメリカンピットブルテリアだって、狂犬ガルデン(例・漫画版)の前では尻尾を巻いて腹を見せるほか無いぜ。
で、きっと自分の犬がうまく何かを成し遂げたら「フハハハハハ!!流石はこの私の犬!!それでこそ覇王となるべき犬よ!!!」とか言いながら褒めて褒めて褒めまくるんだ。

後、シュテルがガルデンに出会う前はどうしようもない不良リューだったりしたら萌える。
初代の乗り手以来、どいつもこいつもてんでこのわたしを乗りこなせやしねえ、と「力を貸してください」と言って来るリュー使いの卵たちをことごとく切り捨ててきた、みたいな。
他のリューは「乗り手と一緒に成長しよう、寧ろ俺が乗り手を成長させてやる」みたいな感じなのに、シュテルだけは「未熟者なんぞに使われたくない」と高慢ちきにそっぽを向いていた訳ですよ。
そんなシュテルの前に現れたガルデンは、これまでシュテルが見てきた「不甲斐ない」リュー使い志望の者とは違い、シュテルの持つ強い力を崇める事も敬う事もせず、ご機嫌を取ったりもせず、「貴様のような古臭い道具でもこの私がまあそこそこに使ってやるから感謝しろ」みたいな筋金入りの傲慢さで「私のものになれ」コールをする訳ですよ。
当然ブチ切れて暴れるシュテルを、そのプライドをずたずたにする様な力と手段で以って、無理やり自分のものにする訳ですよ。
何かこう、重力波の結界の罠かなんかで地面に這い蹲らせた挙句、その手だか頭だかを踏みつけて「フハハハハ!幾ら古代の超魔法科学を使っていようと、やはり中古品は中古品よ!!道具風情がこの私に逆らうなど、天に唾する行為と知れ!!!」と高笑いしながらブーツの踵でぐりぐりとやる訳ですよ。
勿論それで魔法金属ボディのシュテルが痛みを感じるわけも無いのですが、心の方は正に踏み躙られた様な痛恨のダメージですよ。この無礼者、殺してやりたいほど憎い!!と思う一方、このわたしがこんな華奢なエルフの前に跪くなんて……!と大ショックプライド崩壊ですよ。

そうなったらもう後は坂を転げ落ちる勢いで「自分を負かした初めての御方」に傾倒、思慕、尊敬崇拝下僕化の一直線ですよ。
更に、ちょっと乗り手たる主人の為に頑張ってみたら「そう、それでこそこの私のリューだ!!このアースティアの覇王となるべきリューは、シュテル……お前一体で良い」なんて甘い囁きを貰っちゃったりして、再起不能ですよ。
一度飴と鞭の味を覚えたら、どうにも止まりませんよ。
多分。



問題は、その御主人様自身も「プライドズタズタ自信喪失→優しくされる→その人に懐いてしまう」という調教に弱そうな所だ(除漫画版)。
主人の事を敬愛する犬ほど、焼き餅を妬き始めると酷いぜ。



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