GARTERGUNS’雑記帳

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家庭的な料理
2004年01月16日(金)

*女子高生×大学教授で*

―――――

「ねえねえシュテル」
「何で御座いましょうか、パティ嬢」
「シュテルって、肉じゃがとか作れる?」
「一番の得意料理で御座います」
「じゃあ、作り方教えて!難しい?」
「いえ、それほど難しくは……しかし何故?」
「ううん、昨日雑誌読んでたらね、やっぱり男の人って肉じゃがが好きっていう人多いらしくて、ガルデンに訊いたら『私も嫌いではない』って言ってたから……作ってあげようかなあって」
「………肉じゃがが……お好き………」
「シュテル?」
「は、はい。……判りました、このシュテルにお任せを」


「まずは野菜の下ごしらえを致しましょう。
 洗ったあと、じゃがいもの皮を剥いて頂けますか」
「……ね、ねえシュテル」
「はい」
「ピーラー、ある……?皮剥き器みたいなの……」
「い、いえ、この勝手にはそういったものは……」
「あ、そ、そうよね!
 シュテル、大根の桂剥きでも丸ごと一本できちゃうもんね、ピーラーなんて使ってられないもんね、そ、そうじゃないかなーって思ってたの、あはは」
「……ぱ、パティ嬢、皮は己が剥きます故、パティ嬢はそれを適当に大きさを揃えて切って下さい」
「そ、そう?ごめんね、シュテル」


「……シュテル、こんな感じで良い……?」
「!こ、これは……確かに大きさは揃っておりますが、その……
 ……『賽の目切り』になって……」
「あはは、あのー……大きさを揃えよう揃えようと思って切ってたら、いつの間にか小さくなっちゃって……」


「次はにんじんね」
「はい。これは乱切りにして頂けますか」
「乱切り……」
「はい。その間にこちらで他の材料を準備致します」
「………」

ザン!ザン!ザン!

「ぱ、パティ嬢!何をしておられるのですか!」
「え?『乱切り』って言ったじゃない」
「そ、そうですが、何もそんな無残な切り方をせずとも……」
「でも、乱切りでしょ?」
「……パティ嬢、……『乱切り』とは『乱暴に切る』という事では御座いませぬ」
「え……そうなの?」


「……材料が揃ったら、まずはだし汁で、牛肉とじゃがいも以外のものを煮ます」
「沸騰したら牛肉を入れて、にんじんが柔らかくなったらじゃがいもを入れるのよね」
「そうです。その後一、二分煮て、味付けをして、弱火で煮含めて完成となります」
「案外簡単ね」
「……そうですね」

♪トゥルルルルルル………

「あ、シュテル、電話」
「はい、行って参ります。火の番をお願い出来ますか」
「任せて!」
「それでは、失礼して」



ぐつぐつ

「……あ、沸騰してきた……お肉お肉」

ぼちゃぼちゃ

「……塊で入れちゃったけど、煮ている間にばらけるわよね」

ぐつぐつ

「……そろそろじゃがいも入れても良いかしら?」

ぼちゃぼちゃ

「あ、あく取るの忘れてた……」

ぐつぐつ

「……えっと、一、二分経ったら味付け……
 ……味付けってどんなのかしら」

ぐつぐつ

「シュテルー、もう煮えちゃうわよー?
 ……んもう、まだ帰ってこない……
 良いわ、あたしが味付けしちゃおうっと。
 えーと、……醤油でしょ、それからちょっと甘い感じがしたから……砂糖かな?塩はどうするのかしら。料理の基本はさしすせそ、って言うから、そのさしすせその調味料で味付けしたら、少しくらい間違えたっておかしな事にはならないわよね。
 さしすせそ……砂糖、塩、酢、せが醤油なのよね。そしてそが……
 ……ソースだったっけ?」




「……申し訳御座いません、お待たせ致しました。
 お館様からの電話で……、………」
「……………」
「…………パティ嬢、これは一体、何をなさったのですか」
「……あ、あはは、………ごめんなさい……」
「……いえ、目を離したこのシュテルが浅はかだったのです……」
「どうしよう、何か肉じゃがじゃなくなっちゃった……
 それよりもこれ、食べられる?」
「……何とか致しましょう」



「―――――何だ、今日の夕食はカレーか?肉じゃがと聞いていたのだが」
「う、うん。肉じゃがにする予定だったんだけど、急遽カレーになったの。シュテルと二人で作ったのよ」
「パティが?珍しいな。
 ……随分香料に凝った様だな。ただのカレーには無い複雑な香りがする。
 シュテル、パティの料理の腕前は如何だった?」
「……え、ええ、それはもう。
 ……カレーを作られるその腕前には、このシュテルも敵わないと、感じ入った次第で御座います……」
「そうか。それでは早速頂くとしよう。
 ……うん、美味い」
「えっ?!本当?!」
「……何故そんなに驚く?」
「う、ううん、何でもないのよ。どんどん食べてね」


(……シュテル)
(……何でしょうか、パティ嬢)
(貴方の事、本当に尊敬するわ。
 まさかアレが、美味しいカレーになるなんて)
(……お館様の料理で、こういった事態には慣れております故……)



―――――

シュテルルーンナイト路線。




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