doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 ジミ・ヘンドリックスのCD『Message From Nine To The Universe』

ジョン・マクラフリンやデイヴ・ホランド、ラリー・ヤングといったジャズ系のミュージシャンなどとのセッションを通じ、ジミ・ヘンドリックスが新たな方向性を模索していた時期のスタジオ・ジャム・セッション集『Nine To The Universe』(1980年発表, 未CD化)の改訂版が発売された。
ジミ・ヘンドリックスのCD『Message From Nine To The Universe』(RECD1012)がそれ。1969年3〜5月および同年秋?に録音されたラリー・ヤングやバディ・マイルスなどとのスタジオ・ジャム・セッションから5トラック収録の『Nine To The Universe』をオリジナル・アルバムのまま復刻し、ボーナス・トラックとして1970年3月?録音の5曲を追加。タイトルとジャケットを改め、マイケル・ジェフリー・エステートからライセンスを得て?制作され(故マイケル・ジェフリーはジミの元マネージャー)、国内盤は10/25にMSIから発売された(本CDは限りなくブートに近い怪しい商品で、ジミの遺族が管理・運営するExperience Hendrixの作品ではない)。
長らくアナログ・プレーヤーは聴けない環境にあるうえ、かつての愛聴盤ながら未CD化ゆえ聴けなかったアルバム『Nine To The Universe』がいつでも聴けるようになり、嬉しい(オリジナルとは異なるジャケットに違和感あり)。

冒頭に書いたジョン・マクラフリンとのセッション音源は、未収録である。演奏の出来に納得していないマクラフリンが公式発表を拒んでいるため、オフィシャル化は今後も無理だろう。デイヴ・ホランドとのセッションも未収録。クレジットなどには、デイヴ・ホランドが本CDに参加していると書かれているが、誤り(意図的?)。
ボーナス・トラックは蛇足でしかない。1970年3月?録音の5曲が追加収録されたことにより、アルバムとしての焦点がぼやけてしまっている。音質は良くない。

『Nine To The Universe』の各トラックの未編集完全版は、ブートCDで聴ける。それらを聴くと、冗長な部分もあるジミのスタジオ・ジャム・セッションを公式発表するにあたり、アラン・ダグラスが短く妥当な編集を施し、仕上げているのがわかる。『Crash Landing』(1975年)や『Midnight Lightning』(1975年)制作での悪評高い過ちを、アラン・ダグラスは、彼の手掛けたジミの3作目『Nine To The Universe』(1980年)では犯していない。

2006年10月27日(金)
TOP Antenna MAIL About