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ブーツィラの音楽雑記



 樺太アイヌ民族誌 - 工芸に見る技と匠 -

板橋区立郷土資料館樺太アイヌの太鼓カチョ。レヘニと呼ばれるばちで叩いて音を出す。展示されていたカチョの実物は、長さ50センチくらいの楕円形で、木製のお盆のようにも見える。親指を入れて片手で持つためのものか、カチョには穴が開いている。
樺太アイヌの太鼓カチョは、トゥスという巫術を行うトゥスクル(シャーマン)が、病気の治癒や災いの排除などの祈願の際、使ったという。アイヌ民族に打楽器はなかったと認識していた私にとって、カチョの存在はちょっとした驚きであった。
トゥスクルは、マツなどの葉を燃やして煙を充満させたチセ(家)の中で、カチョをレヘニで叩きながら炉の周囲を歩き回る。その巫術の様子を撮った貴重な写真も展示されていた。やがてトランス状態となったトゥスクルは託宣を発し、依頼者はその託宣に従って行動すれば、災いから逃れられると信じられていたそうだ。

郷土資料館の古民家。3月5日(土)午後2時〜午後3時、「アイヌ古式舞踊及び楽曲(トンコリ)」が、この古民家で行われる。2/5(土)から3/13(日)まで東京・板橋区立郷土資料館で開催の『樺太アイヌ民族誌 - 工芸に見る技と匠 -』に行く。
この工芸品展は、明治38年(1905)の日露戦争後から昭和20年(1945)までに収集された樺太アイヌ(注)の生活用具・工芸品を通して、同時代の樺太アイヌの生活文化を紹介。東京・板橋に在住した人類学者の石田収蔵(1879-1940)が収集したナーナイ(ロシアのアムール川下流域に住む少数民族)の魚皮衣やニヴフ(樺太北部〜中部、大陸沿岸部に居住する少数民族。かつてギリヤークと呼ばれた)、ウイルタ(樺太に居住する少数民族)の生活用具も展示・紹介している。

左から『樺太アイヌ民族誌 - 工芸に見る技と匠 - 』のチラシ、図録『樺太アイヌ民族誌 - 工芸に見る技と匠 - 』、図録『石田収蔵 - 謎の人類学者の生涯と板橋』(2000年)(注)この工芸品展によると、アイヌ民族は3つに分けられるらしい。南樺太(サハリン)に居住する樺太アイヌ、千島列島の千島アイヌ、北海道・歯舞諸島・国後・択捉(※色丹島は、明治政府によって行われた千島アイヌの強制移住地)・本州最北部に居住する北海道アイヌの3つで、それぞれ生活文化も異なるとのこと。

板橋区立郷土資料館

【2007年3月21日追記】
樺太アイヌの太鼓カチョの写真と演奏音源(約26秒)[ 『日本フレームドラム協会』の「日本のフレームドラムについて」より]

2005年02月19日(土)
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