doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 『アイヌ神謡集』をうたう / うた: 中本ムツ子

アイヌ関係の書籍の中で、最も有名かつ読まれているのは、アイヌ民族の知里幸恵(1903−1922)著の『アイヌ神謡集』(岩波文庫他)であろう。
その全13話をすべて謡(うた)に復元(by 片山龍峯)し、アイヌ民族の中本ムツ子(76歳)によってアイヌ語でうたわれた労作が、3枚組CD「『アイヌ神謡集』をうたう」である。

左ページにアイヌ語のローマ字表記、右ページに日本語訳が著された知里幸恵の『アイヌ神謡集』(岩波文庫)は、多くの読者同様、私も右ページの日本語訳しか読んでいない。その左ページが中本ムツ子によるアイヌ語の独唱で物語られた「『アイヌ神謡集』をうたう」は、『アイヌ神謡集』のCD版として後世に聴かれ続ける作品となりそうだ。「サケヘ」と言われる繰り返しの文句(例えば「ピイ トゥントゥン、ピイ トゥントゥン」など)や一定のリズムとリフレインが20数分も続く神謡があるなど、「『アイヌ神謡集』をうたう」はうた物語版ミニマルミュージックのようでもあり、音楽的にも興味深い。

知里幸恵の『アイヌ神謡集』が出版されて80年&知里幸恵 生誕100年の2003年に、本CD「『アイヌ神謡集』をうたう」は発表された。翌年、中本ムツ子は、アイヌ文化の伝承活動に対する功績が認められ、第38回吉川英治文化賞を受賞している。
表ジャケットの女性は知里幸恵, V.A.によるCD「銀のしずく〜知里幸恵『アイヌ神謡集』に捧ぐ〜」

・ユカラの響きよみがえる アイヌ神謡集CDが好評(2003/08/05, 『Project G』「N411 北海道・アイヌ民族」
『アイヌ神謡集』をうたう(版元ドットコム)
「アイヌ神謡集」を読みとく / 片山龍峯 編著 (草風館)
平成16年度 アイヌ文化賞受賞者 中本ムツ子

2004年08月26日(木)
TOP Antenna MAIL About