予防審美  
小林歯科クリニック  
 
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★予防と審美専門★【小林歯科クリニック】

2006年09月06日(水) 「GTR法」で組織再生

Hさんは、若いころから歯磨きの時に歯肉から出血した。
60歳を過ぎてからは、歯肉の腫れや痛み、歯のぐらつきに悩まされ、近所の歯科医院に通ったが良くならなかった。
「歯茎が下がっているので、クーラーを入れると冷気で歯が痛くて、仕事に集中するのが大変でした」

このため12年前、N病院を受診。
進行した歯周病と診断され、歯周ポケットから歯周病菌を除去する歯石除去や、歯の根のクリーニングなどの基本治療を受けた。
炎症は治まり、歯周ポケットも浅くなった。
しかし、左上の犬歯は、歯を支える歯槽骨の一部が溶けてぐらついていた。

歯周ポケットが深くなると、歯茎を切開して歯垢や痛んだ組織を取り除く外科手術が行われる。
ポケットは浅くなり、炎症が止まる効果はあるが、歯槽骨などの歯周組織は回復しない。

そこで行われたのが、GTR(組織再生誘導)法。外科処置の際に、歯根と歯肉の間に合成繊維の特殊な膜を挿入し、歯槽骨などの歯周組織を再生させる。
痛んだ組織を取り除くだけでは、すき間に歯肉が入り込み、歯槽骨などの再生を妨げてしまう。
GTR法では、歯肉の入り込みを膜で防ぎ、歯周組織が自然に再生するためのすき間を作る。1か月ほどで、歯を支えられるようになる。

Hさんは「犬歯は今もぐらつかず、何でも食べられます」と喜ぶ。
趣味のゴルフでは歯を食いしばれるようになり、スコアが安定。
3年前からは、アルトサックスのレッスンに通う。

進行した歯周病の画期的治療法だが、膜の固定などに高度な技術が必要で、すべての歯を救えるわけではない。
歯槽骨の壊れ方や程度によっては、膜を適切な位置で支えるのが難しい。
膜を歯肉で完全に覆う必要があるため、歯肉に弾力がない歯の裏側の歯槽骨が溶けた場合などは適さない。

同病院での自己負担は4万〜7万円になる。

挿入した膜は、約1か月後に歯肉を小さく切開して取り出す。
近年登場した「コラーゲン膜」や「合成高分子膜」などは数週間で自然に溶けて、再度の手術が必要ない。

Hさんの治療を行った同病院院長のIさんは「歯と歯の間の歯槽骨が溶けた場合などに、GTR法は最適」と話している。


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