一人いる弟。(妹はいない。兄も妹もいない。) 唯一の兄弟である。
とりあえず、大学に行っている。 部活は、陸上をしていた。
「いた」。 多分過去になるだろう。
あいつは、高校まで、運動らしい運動は、体育以外、何もしていなかった。 しかし、大学に入って、好きな事が出来ると、あいつは陸上部に入った。
俺は、弟はつぶれるんじゃないかと思っていた。
あいつなりに、それなりに頑張っているようだが、とうとう、壊れてしまった。 身体はもとより、精神的に相当まいったらしい。
入ってすぐは、明るめだったが、今、2年たとうとして、暗かった昔より、更に暗くなっている。 ペシミスト(とはなかなかきざな言い方だが)な俺よりも、ずっと考え方が後ろ向きになっている。
俺は、迷わず「やめろ」といった。 別に大学で、部活をやる必要も無い。 大学の部活なんぞ、ただの「お遊び」に過ぎない。特に、何も無ければ。ほとんどの学生にとって、部活は単なる「遊び」の延長に過ぎないのだ。 そんなものに、いちいちかまっている必要も無いと思っている。
しかし、弟は、自分の体力をつけるために、やっていると言っていた。
日が経つに連れて、弟の身体が、壊れ始めた。 最初は、捻挫。筋肉疲労。 それが、とうとう肉離れを起こした。 しかもいくら俺ら周りが「やめろ」といったところで、あいつは練習を止めない。治りきる前に、酷使する。 だから起きた結果。 自業自得だ。
そして更に、どうやら、部活内でもいじめられているらしい。
…たく、運動部の癖に、女々しい奴等だらけだな。
と思う。
そんなこんなで、弟はついに、壊れそうになった。
周りが、何よりばぁちゃんが、心配した。
…弟は、部活をやめるだろう。 いや、やめてくれ。
俺は願う。
別に、部活が全てじゃない。
あんな阿呆共に、お前を壊されるのは、悔しい。 かまうだけ、時間の無駄だ。
どうせなら、ほかのもんで見返してやれ。
そう思う
ちなみに俺だが… 部活はやっていない。 入り浸ってはいるが。 人と、むやみに群れるのは嫌いだ。
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