火星探査機『のぞみ』が火星探査という当初の目的を果たせずに、火星への降下を断念した。目前まで達しながら、残念な結果となってしまった。 ここ近年の日本のロケット失敗続きの中にあって、唯一の光明であったろうに──だが、『のぞみ』の旅もまた、苦難の連続だった。 無事に打ち上げられ、地球を出たものの、その直後の事故で自力で火星に向かうことができなくなり、地球による『スイング・バイ』を利用して加速させるために、火星到着は先延ばしにされていた。 それでも、懸念されていたようにエンジンの再稼動ができずに、降りられなくなってしまった。関係者の「火星目前まで辿りついたことが希望」というような言葉が正に慰めに聞こえてしまうほどだ。 全国からの『火星への手紙』? なども募集して、載せていった覚えがある。初めての日本の人工惑星機としても、古来から兄弟星として共感を誘う火星への『夢』が綴られたであろう数々の便り……。 しかし、載せられたまま便りは配達も叶わず、火星近くの太陽周回軌道を回るらしい。今のままでは火星へ墜落もしかねないとか。恐らくは半永久的に──いつか、回収され、時を経た便りが届けられる日もが来るかもしれない。それこそを『夢』とするか。
一方では、他国各国の火星探査機もかなり、火星を目指している。今年が『空前絶後、史上稀に見る大接近の年』だったためもあり、観測の当たり年なわけだ。 こういう御時世でもあり、一方では金のかかる宇宙探査など止めてしまえ、という声もあるが、逆にだからこそ、ロマンを求めていきたいとも思う。 勿論、探査機が向かうのは科学的データを得るためではあるが、やはり『火星という兄弟星に降り立つ』ことそのものが浪漫であると感じられるからだ。
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