航宙日誌
『革命戦記』と輝&Ark☆の珍道中?

2002年04月20日(土) 戦闘妖精・雪風

 知ってる人には「今頃かい」といわれそうだが、先日ハヤカワ文庫より『戦闘妖精・雪風』改訂版(著・神林長平氏)が出た。原本が発刊されたのは1984年──18年も前。当然、本屋に日参している輝が見かけたのは数えきれないはずだ。にも拘らず、なぜか、今日まで手に取ることがなかったのも実に不思議だったりする。
 殊にハヤカワ文庫は毎月、必ずチェックしており、しかも、ハードSFでは大決定版と輝が思っている『航空宇宙軍史シリーズ』(谷甲州氏)を始め、海外・日本作家の傑作揃いだ。
 まぁ、なぜを今さら問うても意味はない。ともかく、改訂版を開いた輝はどうにも説明できないような気分に捕われた。これが実質18年前の作品だから(改訂とはいえ、大幅なストーリィ変更などはされていない)なのか? にしては古さなどを感じさせない──などと野暮な感想も相応しくないと思える。それとも、やはり18年もの間、手に取らなかったことが悔しいのか?

 変わらず闘争を繰り返しながらも存在を続ける各国が現在同様、ひしめく近未来の地球。その南極から、突如として謎の異星体『ジャム』の攻撃が始まる。ジャムによるものか自然のものか、南極の超空間通路を越え、人類はジャムが出現すると思しき惑星フェアリイを発見、対抗する防衛最前線が置かれることとなる。
 その主力はFAF──フェアリイ空軍──中でも、最も過酷とされるのが特殊戦・戦術戦闘電子偵察機スーパーシルフ。その任務は戦闘情報を収集し、必ず持ち帰ること。仮に友軍が全滅しようとも、援護する必要もない──正に非情な任務だ。そして、そんな非情な命令を非情とも思わずに遂行できる乗員たちは、人間とは思えない、愛機のコンピュータの如き非人間的存在だ。
 必ず帰る──故に『ブーメラン戦隊』とも称される彼らの中に、『雪風』と彼女を信頼するパイロット・深井零がいた・・・。

 後は読みましょう☆ なんちって。

 実は背景設定は意外と曖昧だ。例えば、西暦何年という具体的記述はない。しかし、国連も存在し、戦闘知性体とも呼ばれるようにコンピュータはさらに進化した近未来とは想像できる。
 謎の惑星・フェアリイは全宇宙での所在さえ不明だが、『通路』を抜ければ、そこにある。戦場は、そのフェアリイの空だ。つまり、宇宙のどこかの惑星で、しかし、宇宙戦闘を演じているわけではない。
 謎の異星体ジャムは、その名の由来さえ定かではなく、正体はさらに知れない。戦うのは敵『無人』戦闘機だけであり、侵略目的は無論、霞ほどにも掴めない。
 だが、そんな『謎』や『真実』に最も近いところにいるらしいのが──地球側戦闘知性体コンピュータ、特に『雪風』だった。
 タイトルそのままに、真の主人公は彼女なのだろう。一方で、人間ドラマももちろん、並行して語られる。コンピュータと人間と存在を賭けるかのように。
 深井零はブーメラン戦士に相応しいクールな人間だ。彼がFAFに入隊した詳細は書かれていない。過去はともかく、FAFにおいても、敬遠されるブーメラン戦隊に配属となった彼は愛機たる『雪風』のみを心の支えとしていた。だが、そんな彼にも友人と呼べる唯一の相手もいた。上官でもあるジェイムズ・ブッカー少佐だ。
 皆までいわずとも、キャラ重視の輝が特に、この二人の交友の流れに惹かれたのは当然だろう。そのブッカー少佐が言う。
「おだてられようが無表情、けなされようが無関心、泣きつかれようが冷酷、脅されようが冷徹、そんな戦士たちのこたえは聞かずと知れてる。『関係ないね』さ」
 他人には無関心のはずが、どんな経緯があり、話す機会の多い上官とはいえ、友人・親友と認めるようになったのか・・・。ストーリィ全体からは外れるが、最大の疑問だったりする。

 ・・・つーわけで、一週間にして、ハマりようが半端ではない。このハマり方は『コロ落ち』の時と全く同じ・・・? ような気がする。そんな疑問を輝なりに考えてみたいなぁ^^ なんてなことも考えてたりして★ もしかしたら、夏コミあたりに??
 まぁ、零のパーソナリティが驚くことに、『MINUS』版スノーとレオンと、レイヤーさんをちっと加えて、割ったような感じなのも一つの理由かもしれない。尤も、順番からすれば、零の方がはるか先に確立しているキャラだが。

 因みにこの作品、アニメ化が進行している。もうヤバすぎる。久し振りに買ってしまうかもしれない。発売予定は8月末だけど☆

 そして、今15年を経た続編『グッドラック 戦闘妖精・雪風』を読み進めている。何かしらを書くにしても、これを読破し、しばらく咀嚼してからにはなるだろう。


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