海の無い県、山の地方に生まれたからだろうか。 海にくるといつも去るのが名残おしい。それは明らかに 山を降りるよりも海を後にするのが名残おしいのだ。 帰り支度をしたあとにも、ちょっとサンダルを洗ってくる なんていいながら、波打ち際に来ている。 カニがいるかも?なんていいながら岩場を覗いている。
朝早く海にいくよりも、誰よりも遅くまで海にいたい。 最後までいることで所有権を主張しているわけではないが 自己満足に近く、いや、自己満足そのもので最後まで 海にいたいのである。
部屋に帰れば夕食のあとも 嫉妬深く最後まで自分がいた海を見守っている。 気がつけば隣の、向かいのラナイ(ベランダ)にも 似たような影がポツリ。ポツリ。
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