旧県庁舎前の花壇にはバラが植えられている。 そのバラが咲き誇り、辺りに甘い香りを漂わせている。
僕は美しい故にバラの花が嫌いだ。 それはとても卑屈な考えで、 美しい物とは縁遠い僕は逆にこちらからその美しさを疎む。
心の奥では美しい物を愛でたいという気持ちはあると思うが、 美しき物は僕を受け容れてはくれない。 遠くから眺めているか、漂う香を鼻から吸い込むだけだ。
その旧県庁舎の前を通り抜け図書館へ行く。 入館前には必ず携帯電話をマナーモードに切り換える。
ここの警備員は必要以上に携帯電話の使用にうるさい。 ポケットから出しただけで注意されているのを見たことがある。
定年を過ぎた生真面目な性格の人間ばかりが集まってしまったのだろう。 とにかくここの警備員は必要以上に館内をグルグル見回る。 非常にうざったい。
そんな警備員がいっぱいグルグルしている中、 僕が請求番号67×の棚を物色していると、 近くの椅子で本を読んでいる女子高生に警備員が近寄ってきた。
何を注意されるのかなと興味津々で見ていると、 警備員は「向こうの机が開きましたよ」と女子高生に教えていた。 女子高生は勉強をしにきた訳ではないらしく丁重に断っていた。
全部が全部こうではないかもしれないが、 この警備員は厳しいだけじゃなく優しさも兼ね備えているようだ。 今度本を返しに来る時は入口に立ってる警備員さんに「こんにちは」と声をかけてみよう。 気さくなおやじ連中かもしれない。
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2002年05月28日(火) お金が無い
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