ボード

2002年03月20日(水) 地下へ

雪と都会の廃塵が混ざり合い。
行き交う人々の靴底がそれを運び込む。
駅舎内の床はびじゃびじゃだ。

窓口で緑色のプラスチック製のコインを買う。
それは改札ですぐに回収されてしまう。

同一料金でしか適用できないシステムだが、
磁気シートの処分や高性能な識別機を考えると、
はるかにコストを抑えられる。

木質系の音がするステアケースに乗っかり、
地下へと降りていく。
中継もなく、1台で一気に降りていく。
深く。深く。降りていく。
しかし、なかなかホームが見えてこない。
ステアケースはカタカタと音をたて、
いい加減なスピードで坦々と人々を地下へ運んでいく。

なかなか見えてこない終点に、
もし今、後ろの人に押されたらと、急に恐くなる。
よく転落事故がおきないものだ。

深く深く降りていく。
モスクワのメトロは深い。

人類は上へ下へ場所を広げてきた。
広げ続ける限り、
あらゆる事件、事故の可能性も広がり続けるだろう。
それらがもたらす悲しみは必要枠なのだろうか。



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