朝早く電話が鳴るとドキリとする。 それが姉宅からの発信なら尚更だ。
父の容態に異変があったのかと不安がよぎる。
「それって変やと思えへん?」
朝一番の姉の用件は一緒に行く美術展への待ち合わせ時間の確認と、
それって違うんじゃねえ、パート2。
姪っ子へ出産祝いを贈ったそうな。
しばらくして、お祝い返しが送られてきた。
薄い包みを開けてみると、デパートの商品券がちょうど半返し分。
これを見た姉。ちょっと「違うんじゃねえ」と思ったそうだ。
…全然違う話なんですが。
朝起きた時によく髪が爆発しています。
ところが、このハネ具合が何となくカッコよくて
寝グセスプレーをするのが惜しいのです。
あぁ… たぶん錯覚ですね… やっぱし。
← クシャ毛みたいで
自分では気に入っている。剛毛の人。まず、半返しという儀礼… これもおかしいと言えばおかしい。
贈る側からすれば、祝福、御礼、哀悼… 100%の気持ちを贈っている。
お返しを… また相手のその手間を考えると、それなら最初から半分で贈れば手間が省ける…、てな事になる。
あるいは半返しの分も考えると、その分も足さなきゃ悪いと思ってしまう。
気を遣って贈り、気を遣って返す。善意がいったり、きたり。
受け取る立場になると、ましてや儀礼的な付き合いだったりすると、慣習を無視するわけにもいかないし、姉もそのあたりは分かっている。
姉がカチンときたのは、その中味だ。
商品券。まさに半返し額、ピタ。
たぶん不要な物を贈るよりは商品券の方が良いだろうと思ってのことだろう。
もしかすると、決定するまでにあれこれ思い悩んだのかもしれない。
…人に何かを贈るというのはワクワクする反面、すごく気を遣う。
その人を思い浮かべて思い悩む。
不要なもの、重なるものを貰って困るのもお互い様だ。
だからカタログで贈る。これなら金額に応じて欲しい品を選べる。
いや。いっそ金券ならばそれこそ自由に使える。
相手も喜ぶだろうし、自分も悩む必要も無い。
確かにそうだ。合理的だ。
が。言われてみれば、相手を思う気持ちを面倒がっている、とも取れる。
家族の誰もが食べない珍味が届く。
我が家ではたぶん使わないであろう調味料や、嗜好品が届く。
普段厚くて使いにくそうなブランドもののタオルセットが押し入れを占領する。
善意が宙に浮く。気遣いの塊がそこ、ここに転がっている。
無駄だ。無駄だ、無駄だ。
それでも…。 お返しに商品券、よりはいいなと思う。
無駄なものに気を遣う。それって、ほんまに無駄なことなんだろうか。
遣わないでいいところで気を遣い、遣ってほしいところで面倒がる…。
姉は御礼を兼ね、可愛い姪っ子に優しく伝えたそうな。
変な気は遣わんでもええよ。水臭いよ、と。
こりゃ、たぶん伝わらないぞ…(^-^;)
気持ちを込めたお祝いのお返しに商品券で返すんじゃないっ、って。
そういうのが嫌な人もいるぞ、と、直球で言ってやらにゃ。
Sako