井口健二のOn the Production
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2008年11月23日(日) 大阪ハムレット、ハイスクール・ミュージカル、ハルフウェイ、サーチャーズ、花婿は18歳、プライド、長江にいきる、NIGHT☆KING

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『大阪ハムレット』
森下裕美の原作による同名コミックスの映画化。大阪は南海
本線沿線の庶民の街を舞台に、ちょっと変わった…でもある
かも知れない一家の日々が綴られる。
一家の家族構成は、母親と男ばかりの3人兄弟。映画の巻頭
で父親が急死し、その葬儀の席に現れた父親の弟と称するお
っさんが家に居着いてしまう。
その3人兄弟は、中3なのに老け顔で大学生に間違えられて
しまう長男と、ヤンキーの次男、それに教室で「女の子にな
りたい」と宣言してしまった三男。そして次男は、教師から
「ハムレット」のようだと言われ、国語辞典を片手に原作を
読み始めるが…
原作者は、「ハムレットを大阪弁でやったら台無しだろう」
と言っているが、映画の中にはしっかりと大阪弁の「ハムレ
ット」も登場する。さらに父親の亡霊も登場して、「ハムレ
ット」が見事に下敷きにされた作品になっている。
そんな無茶苦茶な展開が、大阪の街の中にしっくりと填り込
んで、正に人情味あふれる物語が描き出される。
実は今夏に岸和田を訪れたもので、その風景などにも何とな
く親しみが湧いた。映画には南海本線の岸里玉出駅も登場す
る。もっとも僕が乗ったのは急行だったから、この駅には止
まらなかったようだが、同じ路線の駅の雰囲気などはどれも
似たり寄ったりだろう。
そんな思い出も心地よく映画に浸ることができた。
出演は、松坂慶子、岸部一徳と、森田直幸、久野雅弘、大塚
智哉が3兄弟を演じる。他に、加藤夏希、白川和子、本上ま
なみ、間寛平らが共演。加藤が今回も良い感じだ。
監督の光石富士朗は東京出身だが、3兄弟を演じた森田、久
野、大塚は全員が関西出身者とのことで、その自然な演技が
魅力的だった。中でも、劇中劇で演じられる「シンデレラ」
のシーンは、舞台の上から観客席までが見事に演出されてい
た。
東京が舞台だと昭和と宣言しなければならないような世界、
でも大阪ではこれが今でも通用するのかな? そんな憧れも
感じながら映画を楽しんだ。因に本作は、今年の東京国際映
画祭の「日本映画・ある視点」部門で上映されて、岸部が特
別賞を受賞したとのことだ。

『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』
        “High School Musical 3: Senior Year”
2006年と2007年に、CS系のディズニーチャンネルで放送さ
れたオリジナルムーヴィ『ハイスクール・ミュージカル』の
第3弾が、今回は劇場用映画として登場する。
物語の舞台は、ユタ州ソルトレイクシティに実在するイース
ト高校。その高校のバスケットボールチームに所属する花形
選手と、転校生で数学と科学の天才少女を巡る物語。そして
その学校では、毎年、生徒たちによるオリジナル・ミュージ
カルの公演が行われていた。
第1作では2人の出会いが描かれ、第2作では夏休みのヴァ
ケーションを中心に、それぞれミュージカルの公演を頂点と
する生徒たちのいろいろな思いが綴られたらしい。そこには
公演の主役の座を巡る争いや、花形選手を巡る恋の鞘当てな
どもあったようだ。
そして本作では、それらの思い出の詰まった学校からの卒業
を控えた生徒たちの将来の夢や、そこに向かって行く勇気が
描かれる。
花形選手にはバスケットの名門アルバカーキ大学からの推薦
入学の誘いが来る。そこは彼の父親も学んだ場所だ。一方、
天才少女にはスタンフォード大学への進学が認められる。そ
れは彼女にとっては最高の学府と言えるものだ。しかしその
進学は、2人の間が遠く隔てられることも意味していた。
日本のように、ほとんどの大学が関東や関西に集中している
と、こんな悩みも少ないかも知れない。元々小さい国日本で
は全国どこに行っても然程変りはないだろう。しかしこれが
アメリカだと、簡単に千マイル単位の距離が生じてしまう。
そんな現実も背景となっている作品だ。
主演は、『ヘアスプレー』にも出演していたザック・エフロ
ンと、ヴァネッサ・ハジェンズ。他に、アシュレイ・ティス
デイル、ルーカス・グラビール、モニーク・コールマン、コ
ーピン・ブルーらが、シリーズを通じて共演している。
10月末に公開されたアメリカでは、『マンマ・ミーア!』を
1.5倍程度引き離してミュージカル映画のオープニング記録
を樹立。1978年の『グリース』が持つ興行記録を、30年ぶり
に塗り替えることにも期待が持たれているようだ。
ただし日本では、CSの普及率が今一つ低いことが気になる
部分だが、音楽や歌、それに踊りなどで若さが爆発する楽し
い作品であることは確かだし、来年2月の公開までに何とか
盛り上げて行って欲しいものだ。

『ハルフウェイ』
『ロング バケーション』などのテレビドラマ脚本家・北川
悦吏子による初監督作品。北海道小樽を舞台に、同じ高校に
通う3年生男女の、大学進学を控えて揺れ動く青春の葛藤を
描く。
主人公の女子は、バスケットボールが得意な男子に憧れてい
るが、ある日の偶然から本人は気付かずに彼にその思いを知
られてしまう。そして、ようやくの決心で彼に告白しようと
したとき、その思いを知る彼に先を越されてしまう。
しかしこの状況で、彼が本気でそう思っていたのかどうか判
らないのも、この脚本の上手さとも言えそうなところだ。そ
して2人は交際を始めるのだが、地元での進学を決めている
彼女に対して、彼の志望校は東京の大学だった。
しかも、彼が進路を決めたのが告白より前だったことを知っ
た彼女は…
彼氏がバスケットボールの選手で、彼女の志望校と離れた大
学への進学を希望している。いやあ何処かで聞いたような話
だと思いながらこの作品を観たが、まさかそれを連続で紹介
することになろうとは…しかも本作の公開も来年2月の予定
とのことだ。
もちろん、作品の成立時期から考えて、どちらかが真似をし
たというはずはないのだが、それにしても、先の作品の紹介
では「日本では成立しない」と書いておきながら、直後にそ
れが成立している物語というのも恐れ入ったところだ。
でもまあ、本作は歌や踊りで豪華に飾ってはいないものの、
その分しっかりと2人の気持ちが伝わってくるところもあっ
て、特に北川ワールドとも言われる脚本見事さでは、簡単に
はその甲乙もつけがたい作品だ。
主演は、『ラブファイト』の北乃きいと『天然コケッコー』
の岡田将生。また、『赤い糸』の溝端淳平と『ちーちゃんは
悠久の向こう』の仲里依紗が共演。さらに、成宮寛貴、白石
美帆、大沢たかおらが脇を固めている。
特に年長の3人が演じる教師たちが生徒の話を真剣に聞き、
実に判りやすくその悩みを整理してくれるのが見事で、こん
な教師がいてくれたら生徒も幸せだろうなあ…と思ってしま
うところだった。
高校生の悩みは今も昔も、世界中も(?)変わらないという作
品。青春の迷いや決断がピュアな映像で綴られていた。それ
にしても、北乃きいのフックはかなり利きそうだ。

『サーチャーズ2.0』“Searchers 2.0”
1984年公開の長編デビュー作『レポマン』で知られるアレッ
クス・コックス監督の5年ぶりの新作。ジョン・フォード監
督による1956年の作品“The Searchers”(捜索者)に準え
て、その撮影地のモニュメントバレーに向かって復讐の旅を
行う2人の老優を描く。
主人公の2人は、子役時代に参加した映画の脚本家から手酷
い虐待を受けたのだという。そして、その脚本家がその地で
サイン会を開くという情報を得て、積年の恨みを晴らしに行
くというのだが…そこに、一方の老優の娘も巻き込んでの旅
の模様が描かれる。
しかしこの2人、ことあるごとにチャールズ・ブロンスンや
クリント・イーストウッド、セルジオ・レオーネなどの復讐
がテーマの映画談義を繰り広げて娘は呆れ顔。そして最後は
奇想天外な三つ巴の荒野の決闘と、大団円へと雪崩れ込む。
しかもその間には、ブランド志向や中東戦争、さらには映画
の著作権までアメリカ合衆国及び映画産業に対するいろいろ
な風刺や批判も満載という作品だ。まあ映画ファンには結構
笑えると思うし、恐らく最後は呆気に取られることにもなる
だろう。
出演は、デル・ザモラとエド・パンシューロ。それぞれコッ
クス作品には8作目、7作目という常連と、新人のジャクリ
ン・ジョネット。また、製作総指揮としてロジャー・コーマ
ンが名を連ねている。
なお、試写後には監督へのQ&Aが行われたが、そこでは僕
もいろいろと質問させてもらえた。その最初には、本作をフ
ィルムでなくHDで撮影した点を訊いてみたが、その答えは
一長一短。長所は手軽なこと、短所は上映基準が確立してい
ない点とのことだ。因に本作の撮影では、ソニー製のHVR
−Z1Uが使用されている。
また、クレジットにフィル・ティペットの名前があることを
訊いてみたが、本作の製作に『ロボコップ』などを手掛けた
ジョン・デイソンが参加してくれた伝で、大団円のVFXを
頼んだとのこと。さらに、次回作はもう少し大型予算になる
ので、その作品でも使いたいとも語っていた。
因に、その作品“Repo Chick”は、『レポマン』を女性の主
人公でリメイクするもので、その主演には、本作で娘役を演
じたジョネットを起用したいそうだ。
一時は、反米のニカラグアで映画を撮るなどしてハリウッド
から干された経緯もあり、その後は、日本でテレビシリーズ
『濱マイク』のエピソード監督などを務めたこともあるコッ
クスだが、そろそろ巻き返しのモードに入ってきたようだ。

『花婿は18歳』
時代を超えて巡り会うことを運命付けられた男女が、現代に
おいても赤い糸で結ばれる。ところが今回の女性は38歳、ケ
ンブリッジ大学の研究者から叔父に請われて私立高校の校長
に就任するため帰国。男性は18歳、その高校の生徒会長とい
う間柄だった。
しかも校長には、前任者が生徒にラヴレターを送ったために
解任されて、学校内の風紀を正すという責務が与えられてお
り、一方の生徒会長は、嘘を吐こうとすると呼吸困難になる
という特異体質だった。
そこで、生徒会長が卒業するまでの3カ月間は、結婚してい
る2人の関係を秘密にしたまま過ごそうと決めるのだが…
脚本は『星空のむこうの国』などの小林弘利。この脚本家は
基本ファンタシーの人だと思っているが、だからこそできる
無茶苦茶な設定と、その無茶苦茶な設定の中で無理矢理辻褄
を合わせてしまう面白さという感じの作品だ。
大体、38歳と18歳の結婚を、ただ赤い糸で結ばれていたから
というだけで片付けてしまうのも凄いが、それを物語の終盤
ではちゃんと2人の愛として描いているのも、見事にやられ
たという感じの展開になっていた。
物語のベースには当然『おくさまは18歳』(1970〜71年)
がある訳だが、飛鳥→愛子、哲也→雅也という主人公たちの
名前の付け方にも、脚本家のこの時代のテレビ番組への思い
入れが感じられた。
主演は、『カフェ代官山』の大河元気と元宝塚娘役トップの
純名りさ。さらに加地千尋、小野健斗のフレッシュな2人が
共演。他に、長澤奈央、日向丈、白木みのる、麿赤兒、田中
要次、上田耕一らが脇を固めている。
監督は、『カフェ代官山』などの武正晴。かなりおふざけも
多い作品をそつなく撮っている感じで、特に突然のミュージ
カルシーンなども無難にこなしており、本当はもう少し洗練
されて欲しいが、まずは及第点だろう。後の希望としては純
名の踊りも観たかった程度だ。
まあ、突っ込みどころはいろいろある作品だが、それなりに
頑張ってはいるという感じで、評価をしておきたい。

『プライド』
一条ゆかり原作コミックスの映画化。漫画家デビュー40周年
記念とのことで、原作者初の映画化作品となっている。
女性向けコミックス特有のドロドロした女の戦いが描かれた
もので、最近の物語的にあっさりとした日本映画とは趣が異
なるが、こんな物語もたまには良いかも知れない。そんなと
ころに一種の新鮮さも感じられる作品だった。
物語は、オペラ歌手を目指す2人の女性が主人公。1人は、
高名なオペラ歌手を母に持つ資産家の娘で、しかも才能もあ
り、授業料の高い音楽学校に通っている。もう1人は、場末
のクラブ歌手の娘で、アルバイトをしながら庶民的な音楽学
校に通っている。
そんな2人が1枚のオペラの入場券をきっかけに巡り会い、
お互いをライヴァルとして競い合って行くことになるが…
この主人公の2人を、昨年の日本レコード大賞新人賞を受賞
した5オクターブの声域を持つという女性歌手ステファニー
と、『デスノート』の主人公の妹役、また『ウルトラマン・
マックス』のアンドロイド役の満島ひかりが演じている。
芝居は初めてというステファニーは、まあ演技の点はお世辞
にも名演とは言えない(中でも、ジョン・カビラとの親子の
会話シーンは…だ)が、さすがに後半のクラブなどでの歌唱
シーンは見事だった。
一方の満島は、本人も戸惑ったという程の裏表のあるキャラ
クターで、これは漫画的に面白かった。そんな中で、オペラ
コンクールのシーンでは、歌は吹き替えであるもののそのブ
レスのタイミングや口の開き方など、さすがに演技で対抗し
たいという思いがありありという感じで、物語だけではない
2人のライヴァル心が観えてくるのも心地よかった。
そして、クラブなどでの歌唱シーンでは、元女性ボーカルグ
ループFolder 5のメムバーという実力は発揮できていたよう
だ。ただし、試写前のミニ記者会見では、「仮にテレビ等で
歌う機会が出来ても口パクにしてください」としていたが…
他に渡辺大、及川光博、高島礼子、由紀さおり、新山千春ら
が共演。監督は『デスノート』の金子修介。特に及川と高島
は原作者の指名だそうで、会見では一条が満足そうだった。
なお、試写前のミニ記者会見では及川に、「主演作『クロー
ンは故郷をめざす』が同時期の公開になることの感想は?」
と、ちょっと意地悪な質問をしてみたが、「人との出会いを
大切にしているので、たまたまこういうことになったが、常
に自分はベストを尽くしているつもりだ」というスマートな
回答で、これには感心した。

『長江にいきる』“秉愛”
桂林の景勝を水没させる三峡ダム。そのダムは長江(揚子江)
の岸辺に住んでいた住民の生活基盤をも奪い、彼らに移住を
余儀なくさせている。その人口140万人。このドキュメンタ
リーは、その長江の岸辺に住み、移住を拒否し続けた1人の
女性を描いている。
彼女は夫と結婚する前には別の恋人がいたのだという。しか
し岸辺に住むのが何よりだという父親に説得されて夫の許に
嫁いだ。その夫とは2人の子供をもうけたが、夫は身体が弱
く、彼女は日々山の畑まで通って、果樹やトウモロコシなど
の栽培を行っている。
その畑仕事は重労働だが、彼女には夫と2人の子供を養って
いるという気概がある。そして、「自分が死んだら『あの人
は骨身を惜しまず、よく夫や子供の面倒を見たね』と言われ
たい」のだという。
そんな彼女の許に三峡ダム建設の話が持ち上がる。そして、
その水位が上がる海抜135m以下に住む彼女の一家を含む住
民に移住命令が下される。
もちろん移住の保証金は出るが、彼女の一家が移住地として
割り当てられるのは、畑から遠く離れた場所。しかもそこは
他の農民たちの占有地区で、新たに近くの農地が割り当てら
れることもない。このためほとんどの住民は、農地を捨てて
都会に移住するようだ。
しかし彼女は、農民の暮らしが一番で、いまさら都会に住み
たくはないのだという。そんな彼女に役人たちは、甘言を弄
したり、「戸籍を取り上げて子供を学校に行けないようにし
てやる」などの脅しをかけたりもしてくる。
昔は、下放政策で都会の人間を地方に追いやった政府が、今
度は地方の人間を都会に追いやっている。そんな皮肉にも笑
ったが、独りっ子政策で3人目以降を堕胎しているという現
実にも戦慄した。映画では流産の話と堕胎の話が分けられて
いるが、人工流産のための薬剤を使用している可能性は高そ
うだ。
そんな中国政府の行っている国民を人間と思っていないよう
な政策の横暴さ、共産主義ならもっとお互いが協力するはず
なのに、そんなことはお題目だけになっている現実が見事に
描き出される。特に、役人たちが上からの命令を振りかざす
だけのまるで茶番劇の住民集会の様子などが如実にそれを物
語っていた。
ただし、この作品には未だ結末がない、最後にはテロップで
多少の現状が紹介されるが、それだけではないはずだ。この
先何年もかかるのかも知れないが、本作の主人公の女性を最
後まで追った作品を観たいものだ。

『NIGHT☆KING』
『女帝』『夜王』などで知られる倉科遼原作漫画『破天荒』
の映画化。東京新宿歌舞伎町のホストクラブ「愛本店」など
の経営者愛田武氏をモデルとした風俗映画。
ベッド会社ではトップセールスマンになるも女性問題で首。
そんな無類の女好きと自称する男がホストとして成功するま
でを描く。
主人公は地方出身者で、東京でベッドのセールスマンをして
いるが、なかなか成績は上がらない。しかしある日のこと、
声を掛けた女性にベッドでのテクニックを実演してみせたこ
とから次々契約が取れ始める。
ところがその問題が表面化して…。その後は友人のアパート
に転がり込み、そこで薄幸の女性と巡り会う。さらに叔父の
口利きでホストクラブに勤めることになった主人公は、彼女
の伝でダンスのレッスンなどにも励むのだが…
まあ、基本的にサクセスストーリーだし、現実はもっとドロ
ドロしたものだろうとは思うが、そんな成り上がりの主人公
を、最近ちょっと注目している『鎧サムライゾンビ』などの
いしだ壱成がコミカルに気持ち良く演じてみせる。
そこには男同士の友情や、やくざの任侠みたいなものもあっ
て、まあ直接の関りは持ちたくない世界だが、お話としては
それなりに辻褄も合っていたし、背景となる昭和43年には僕
自身にもいろいろな思い出もあるので、それなりに楽しんで
観ることは出来た。
昭和43年の時代考証では、赤やピンクの公衆電話など、それ
なりに細かいところにも気を使われていたようだ。それ以上
のファッションなどについては、僕には不明だが…
共演は、吉井怜、佐野大樹、千原せいじ、津田寛治。他に、
はなわ、愛染恭子、風間トオルらが顔を出している。監督は
藤原健一。因に吉井は、以前の主演作を批判的に紹介したこ
とがあるが、今回はなかなか良い演技を見せていた。
なお、製作のGPミュージアム・ソフトは、任侠物のDVD
直販などを中心にした製作会社のようが、どの作品もそれな
りの出演者は揃えているようだ。また劇場公開向けの作品も
以前から手掛けており、その中では本作と同じ藤原監督の前
作も面白そうで、これからも期待したいところだ。


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井口健二