井口健二のOn the Production
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2008年06月22日(日) ハード・リベンジ、俺たちダンクシューター、アイアンマン、レス・ポール、能登の花ヨメ、歌え!パパイヤ、The 11th Hour、空想の森

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『NEO ACTIONシリーズ
           /ハード・リベンジ,MILLY』
世界に通用するアクション映画というコンセプトで製作され
たそれぞれ45分前後のシリーズ作品の1本。昨年10月に紹介
した『新・女立喰師列伝』でもガンアクションに挑戦した女
優の水野美紀が、さらに過激なアクションに挑んでいる。
20XX年の荒廃した横浜を舞台に、家族を暴漢たちのグループ
に惨殺され、自分も瀕死の重傷を負った女性が、全身に過激
な銃器を内蔵したサイボーグとなって、犯人たちへの復讐を
遂げて行く。
この種の作品では、内蔵される銃器は物語の展開に合わせて
いろいろ考えられることになるが、問題はそれを装備した時
の人体とのバランスで、これがうまくデザインされていない
と、見た目も悪いし、話もつまらなくなってしまう。
その点を本作では、銃器の内蔵を直接絵柄で見せることはせ
ず、日本刀やショットガンが突然いろいろなところから繰り
出されてくる仕組みとして、それはうまく描かれていた。特
に終盤に出てくるメカの描写などはなかなかのものだった。

同趣向の作品では、先に『プラネットテラー』なども登場し
ているが、本作はそのアイデアをうまく消化した作品とも言
える。それに本作ではスプラッターの描写もかなり過激で、
CGIも使った血みどろの描写は、その方面のファンにも評
価が得られそうだ。それはつまり、ファンでない人には多少
危険だとも言えるほどのものだ。
ところで本作の主目的はアクションを見せることで、しかも
上映時間が44分では、お話は取って付けたようなものでしか
ないが、それでも一応の達人らしい人物が心得を述べたり、
その教えを主人公が忠実に守ったりという展開は、あまり浮
くこともなく納得できるように描かれていた。これも『キル
・ビル』の展開をうまく消化したとも言えそうだ。
脚本・監督は、『新・女立喰師列伝』でも水野と組んでいた
辻本貴則。アクションのアイデアも良かったし、この名前は
ちょっと気にしておきたい。共演は、大口広司、虎牙光揮、
中村哲也、紗綾、今村浩継。特に、虎牙と水野の闘いは迫力
もあって良い感じだった。

『俺たちダンクシューター』“Semi-pro”
1967年から76年まで存続したアメリカのプロバスケットボー
ルリーグABAが、NBAに吸収される最後の1年を題材に
したコメディ作品。
ABA(American Basketball Association)は、1967年す
でにあったNBAに対抗して設立され、特にNBAチームの
ない都市を中心にリーグ戦を展開して、地元本位のファンサ
ーヴィスなどで人気を得ていた。
しかし財政基盤の弱いチームが多く、観客動員もままならな
いまま1976年にはNBAとの合併が画策されて、比較的財政
状況の良好だったスパーズ、ナゲッツ、ネッツ、ペイサーズ
の4チームがNBAに吸収され、残りのチームはリーグと共
に解散となったものだ。
この作品は、その最後のシーズンを巡って、万年下位だった
弱小のチームが、NBA参入を目指して飛んでもない頑張り
を見せるという物語。
そのチームは、ミシガン州フリント市に本拠を置くフリント
・トロピックス。地元出身の一発屋の歌手がオーナー兼監督
兼主力選手として君臨し、試合前には彼のミニリサイタルが
催されるという典型的なABAチーム。
ところがABAのNBAへの吸収が決定され、4位以内の順
位と2000人の観客動員をクリアしなければチームは解散とい
う事態になる。そこでオーナーは、元NBAで優勝経験もあ
るという選手を獲得し、チームの立直しを図るが…
基本的にはコメディだが、当時の風俗やダンクシュート、3
ポイントシュートなどのABAが始めてNBAに引き継がれ
た競技のルールなども丁寧に描いて、恐らく当時を知る人に
はノスタルジーで胸が一杯になるような作品に仕上げられて
いる。
といっても、そんな思い出のない日本人にはノスタルジーは
湧かないが、そこはスポーツコメディとしても充分に楽しめ
る作品にもなっているものだ。
主演は、日本公開のアメリカンコメディでは異例のスマッシ
ュ・ヒットとなった『俺たちフィギュアスケーター』のウィ
ル・フェレル。前作はかなり下ネタも多くてちょっと心配し
たが、本作は真っ当なスポーツコメディにして名誉挽回とい
うところだ。
共演は、今年のアカデミー賞を賑わした『ノーカントリー』
にも出ていたウッディ・ハレルソン。シリアスからコミカル
までこなせる才人が見事に物語の要所を締めている。
そして映画では、基本的な練習のあり方やABAのいろいろ
な技なども織り込んで、コメディでありながら、まさにスポ
ーツものの王道という作品を作り上げている。特に身体が自
然に動くまで基本動作を繰り返させるという練習法は、観な
がら納得したものだ。

『アイアンマン』“Iron Man”
『X−MEN』や『スパイダーマン』などでお馴染みのマー
ヴェルコミックスが、独自に製作会社を設立して完成させた
人気コミックスの映画化第1号。
その第1号にマーヴェルは、オリジナルは1963年に誕生した
アイアンマンを選んだ。因にスパイダーマンの誕生は1962年
で、アイアンマンはそれに遅れること1年、しかしその誕生
以来、マーヴェルの人気の双璧として活躍してきたものだ。
ところでこの2作に共通しているのは、共に主人公が元は普
通の人間だったということ。しかもアイアンマンは、その後
も普通の人間の主人公が、自ら開発したパワードスーツによ
って特殊な能力を発揮できるようになるというものだ。
この辺の設定は、DCのバットマンに似たところもある(ど
ちらも主人公の職業が企業人であることも共通する)が、さ
らにアイアンマンでは、背景に軍需産業と実際の戦争の陰を
持つことも、特徴と言えるもののようだ。
そして映画化された物語では、兵器企業のトップとして戦場
に赴いた主人公が、自社製品が敵方にも流れている事実を知
り、自分の誤りに気付くと共にスーツの初号機を完成させて
アイアンマンが誕生して行く姿などを描いている。
この主人公を、『ゾディアック』などのロバート・ダウニー
Jr.が演じ、相手役には『恋におちたシェークスピア』のグ
ウィネス・パルトロー。さらにテレンス・ハワード、ジェフ
・ブリッジスらが共演している。監督は『ザスーラ』などの
ジョン・ファヴロウ。
主人公は、天才的な発明家という設定で、ほとんど何もない
状況からパワードスーツを作り上げていく様子などが描写さ
れる。それはメカマニアには垂涎のシーンという感じで、特
に中学生ぐらいの男の子には待望の作品と言えそうだ。
その一方で、自分の立場に気付いた主人公が、真の愛国者と
は何かを模索して行く姿は、現在のアメリカ国民(それは日
本国民も同様だ)の置かれた立場も反映して、見事な人間ド
ラマを作り上げている。
破壊力満点のアイアンマンスーツによる空中戦など、見事な
アクションの展開される作品ではあるが、このような人間ド
ラマもしっかりしているところが、アメリカでも大ヒットし
た要因でもありそうだ。
脚本は、『トゥモロー・ワールド』などのマーク・ファーガ
ス、ホーク・オストビーと、この後に『ハイランダー』のリ
メイクなどに関っているアート・マルカム、マット・ハロウ
ェイが、骨太のドラマを作り上げている。
なお、本作ではエンドクレジットの後にもドラマが進行する
ので、くれぐれも最後まで席を立たないように…

『レス・ポールの伝説』“Les Paul: Chasing Sound”
“American Masters”という1983年から続くテレビシリーズ
の1本として製作された人物ドキュメンタリー作品。
ギブソンのレスポールというと、エレキギターの代名詞のよ
うにもなっているものだが、最近の若者の中には、それが往
年の名ギタリストの名前だということを知らない人もいるの
だそうだ。
そんな事実の提示から始まる作品だが、映画には、90歳を過
ぎても現役で毎週ライヴ演奏を行っているというレス・ポー
ルの元気な姿が登場して、実は、小学生の頃に初めて買った
LPがレス・ポールとメアリー・フォードだった僕には、嬉
しい限りの作品だった。
レス・ポールは元々カントリー音楽のギタリストだったが、
他にはない音を追求していく内に、単にマイクを繋いだだけ
ではないソリッド・ボディのエレキギターに辿り着き、さら
に多重録音やマルチトラック録音を発明して多彩な音楽を作
り上げて行った。
その業績は、5度のグラミー賞受賞や、後世のロック・アー
ティストに影響を与えた人物として「ロックの殿堂」入りを
果たしている他に、ミュージシャンでは唯一、発明王エジソ
ンらと並んで「発明家の殿堂」入りも果たしているというこ
とだ。
そんなレス・ポールの半生が、現在の映像や1950年代、60年
代のアーカイヴ映像などで再現される。実は僕自身は、レス
・ポールの音楽は聞いているが実際に演奏している姿は見た
ことがなかったもので、特にメアリー・フォードと一緒の姿
は感動的だった。
また、フォードと2人で多重録音の苦労話などを楽しそうに
話している姿も僕には堪らないもので、そのフォードとは後
年離婚したが、その辺の事情が説明されていたのも嬉しいこ
とだった。
そして何よりこの映画では、上記の映像の間に、大ヒット曲
の“How High the Moon”を始め、多重録音が見事な“The
World Is Waiting for the Sunrise”、さらには“Get You
Kicks on Route 66”“Tiger Rag”“Mocking Bird Hill”
“Vaya Con Dios”“My Blue Heaven”など40曲近い名曲の
演奏が聞けるのも嬉しいところで、レス・ポールのファンに
は最高の贈り物と言いたくなる作品だった。

『能登の花ヨメ』
東京育ちの女性が、結婚相手の都合から能登半島の過疎の町
に赴き、そこで花嫁として受け入れられるようになるまでを
描いた人間ドラマ。
主人公は、広告代理店の派遣OLとして第一線でキャリアを
積んできた女性。しかし結婚を機に退職して、海外出張する
婚約者が帰国したら挙式、以後は平凡な主婦の座に付く予定
だった。
ところが、婚約者を出張に送り出そうとしたとき、彼の携帯
電話が鳴り、能登で1人暮らしの母親が交通事故で足を骨折
したことを伝えられる。そこで主人公は、婚約者に代って母
親の世話をするため能登に向かうことにするが…
そこには、地方に特有の因習や、ややこしい近所付き合いが
待ち構えていた。しかも能登には、2007年3月の大地震の傷
跡がそこかしこに残り、その影響や過疎によって伝統の祭り
も行えなくなっているような状態だった。
そんな中で、東京からやってきた1人の女性の行動が、いろ
いろな波紋を広げて行くことになる。そんな女性の主人公を
田中美里が演じ、脇を泉ピン子と内海桂子が固め。さらに松
尾貴史、本田博太郎らが共演している。
映画の企画は2004年に立上げられて、実は能登地震が起きた
のはクランクインの直前だったようだ。しかし、物語はそれ
による状況の変化も巧みに取り入れて、お陰で企画された以
上に骨太な作品が出来上がった感じもするものだ。
この他、地元特産のコケ(茸)鍋の作り方をフィーチャーする
など、地元への目配りは充分に感じられる。そして映画は、
5月に能登で先行公開されており、すでに3万人以上を動員
しているということも理解できるところだ。
ただし、その能登での共感が全国でも得られるかというと、
これがなかなか難しい。作品自体は悪くないし、特に伝統の
祭りを絡めた展開はうまく作られてもいるものだが、それだ
けで全国規模での共感には繋がるものかどうか。
従って、ここは一つ何らかの手を打つ必要がありそうだ。全
国公開は8月下旬に予定されているようだが、それまでに作
品を認知させるには、例えばコケ鍋でアピールするとか、相
当のプロモーションで盛り上げて欲しいところだ。

『881 歌え!パパイヤ』“881”
ゲータイ(歌台)と呼ばれる旧暦7月に行われる祖先の霊を
楽しませる催しを背景にしたシンガポール映画。
旧暦7月に祖先の霊を楽しませるということでは、日本のお
盆に相当するもののようだ。しかしそこで行われるゲータイ
は、これなら祖先の霊も充分に楽しめそうなド派手な歌謡シ
ョウ。そのゲータイの出演を巡って繰り広げられる笑いとア
クションのエンターテインメントムーヴィが展開される。
主人公はパパイア・シスターズと名乗る女性デュオ。2人は
本当の姉妹ではないが、それぞれある事情を持って憧れのゲ
ータイ歌手を目指すことになる。しかしそれは簡単にできる
ことではない。
そんな2人は、彼女らを見出した衣裳作りの名手リンおばさ
んの指導によって、真のゲータイ歌手の座を目指すことにな
るが…そこにはドリアン・シスターズと名告るライヴァルも
現れる。
こんな2人と、彼女らを巡る周囲の人たちの物語が、ド派手
なゲータイステージの再現と共に描かれて行く。
脚本と監督は、2004年のアジア版「TIME」誌で、ドラえもん
など共に「アジアのヒーロー20人」にも選ばれたというロイ
ストン・タン。世界の映画祭で60以上の受賞に輝くという監
督が、ガン死したゲータイの伝説的歌手に捧げるために作っ
た作品ということだ。
という作品の背景もあってか、実は物語は最後にちょっと尋
常ではない結末を迎える。それはゲータイの本来の目的を反
映したものでもあるが、ゲータイのイメージのない我々には
多少衝撃的な結末でさえあった。
しかし、本国では国民の10人に1人が観たというほどの大ヒ
ット作とのことで、その辺はカルチャーの違いを理解しなけ
ればならないところのようだ。

ゲータイというシンガポール特有の文化が、多少の誇張はあ
るにしてもかなり丁寧に描かれている。そんな異国の文化を
理解する上でも参考になる作品と言えそうだ。

『The 11th Hour』“The 11th Hour”
レオナルド・ディカプリオの製作、脚本、ナレーションによ
るエコロジカルドキュメンタリー。温暖化などの地球が直面
する事象を踏まえて、スティーヴン・ホーキング博士や、ゴ
ルバチョフ元ロシア大統領など、50人以上の世界の賢人たち
が意見を述べて行く。
本作は、昨年のカンヌ映画祭でプレミア上映されて話題を呼
んだものだが、ドキュメンタリーとは言いながら、ほとんど
の場面が発言者の姿だけというかなり思い切った構成で、正
直、観る側にもかなりの覚悟が要求される作品だ。
しかし興味を持って観ていれば、各自の言っていることは極
めて判りやすく、誰もが危機感を抱くほどの説得力に溢れた
ものになっている。この辺はさすがに各界のトップの人々と
いうのは意見の述べ方も判っているという感じがした。
しかもこの作品では、恐らくは一度に撮ったであろう映像を
テーマごとに小分けにして、それも判りやすくなるように編
集されており、その辺の構成力にも感心させられるところが
あった。
ただしその編集が、多少作為的に観えてしまうのは残念なと
ころで、さらには題名についても、発言の中ではちょっとそ
の意味のすり替えがあるような感じもして、その辺は策を弄
しすぎたような印象を受けるところもあった。
それに日本版では、それぞれが滔々と喋っているものを字幕
に訳すというのもかなり無理があるところで、できれること
なら吹き替えか、ヴォイスオーヴァのナレーションにして、
発言の内容を正確に理解できるようにして欲しいところもあ
った。
とは言え映画の全体は、危機的な状況をかなり強烈に印象づ
けるもので、その製作の意図は明白に理解できる。しかも、
そこにディカプリオの名前が冠されているのもうまいところ
で、もしかして名前に釣られて観に来た人の目を開かせるこ
とができたら、それは大成功と言えるものだろう。
なお、映画には何点か世界地図が出てくるが、これがいずれ
もヨーロッパが中心のもの。しかしその右端の日本を注目し
て観ていると、例えば海洋汚染では日本近海のレヴェルはか
なり高いものの、森林破壊ではほとんど日本列島は破壊され
ていないとなっていた。
宅地開発などで日本の森林破壊も相当進んでいると思ってい
たが、世界の破壊の規模はそんなものではないようで、その
ギャップを知るだけでも価値のある作品のように思えた。
なお、本作は日本では一般公開はされず、今後は学園祭など
でイヴェント的に上映されるとのことだ。ディカプリオ自身
もちゃんと画面にも出てくるので、興味のある人には観ても
らいたいものだ。

『空想の森』
北海道の開拓村に生きる人々の生活を7年の歳月に亙って追
ったドキュメンタリー作品。
監督の田代陽子は、1996年、北海道のほぼ真中に位置する上
川郡新得町で開催された映画祭(SHINTOKU空想の森映画祭)
で初めてドキュメンタリー映画を観て、この作品を撮ってみ
ようと思い立ったのだそうだ。
その題材は、元々が開拓者の村である新得町に暮らす人々を
写すというものだが、そこには取り立ててドラマになるよう
なものは考えていなかったようだ。しかし撮り進めて行くう
ちに、淡々とした農業の暮らしの中にもあるいろいろなドラ
マが見えてくる。
その中心に描かれるのは、共働学舎と呼ばれる農場。そこで
は心や体に障害を持つ人や社会に馴染めない人たちが、農業
に携わりながら共働生活を送っている。そこで13年暮らしな
がら、結婚し子供も儲けた女性を中心に映像は進んで行く。
そこには、健常者である彼女の一家が学舎から独立するべき
か否かの問題なども描かれるが、基本的には土を相手にした
農業の生活が、苦労も多いのだろうなあと思わせつつ、楽し
げに描かれているものだ。
日曜日の夕餉時に男性タレントのグループが農業をしている
テレビ番組が、かなり長期のシリーズになっているが、都会
に暮らすものにとっては、このような農業の生活というのは
ある種の憧れのようにも映る。
でも、現実の厳しさもすぐに見えてしまうもので、それは特
に男のロマンではあっても、現実的には実現は難しいものの
ようにも見える。しかしここでは、女性たちがそれを実行し
ている。その裏にある事情などは、あまり克明には描かれな
いが、それでもそこに満足している彼女たちの姿には、女性
監督の目が活きている感じもした。
その他にも、共働学舎の近くで独立して農業を営んでいる一
家や、映画祭の様子なども織りまぜながら、厳しい自然に囲
まれた、それなりに豊かな生活が描かれる。
ただ、映画を観ながら監督の立場が気になった。それは、部
外者であるほどにはドライではなく、また部内者のようにべ
ったりしたところもない。それがほぼ中庸で良い感じの面も
あるが、逆に現実を捉え切れていないのではないかという不
安も感じられた。
もう少し監督の立場を明確にしたら、どういう作品ができた
のだろうか。


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井口健二