へる(ぷ)の日記
へる(ぷ)



 




眼球が無ければ泣くことはなかった

眼球さえなければ泣かずにすんだ

眼球があるから泣く事に逃げた

たまに女の肌に逃げた

最後に抱いた女はこう言った

「私の次はどこに逃げるの?逃げ場はあるの?」

そんな目で見ないでくれ

同情する 悲しむ 哀れむ 嘲笑う目で

僕を見つめないでくれないか

眼球があるから泣きそうだ

眼球があるから他人の眼球に映る自分が怖い

最後に抱いた女にこう言った

「最後の逃げ場は眼球をえぐること 

この世から目を逸らすこと」

女は笑った

嘲笑うように嬉しそうに馬鹿にするように

吐き捨てるように僕に言った

「そこまでして 未練があるのね? 意気地なし」

僕は黙って眼球に触れて心の中で毒づいた

「初めから 眼球さえなければ 未練なんて無かったさ」











2004年10月04日(月)
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