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■ 藤原伊織(5)
「雪が降る」
台風/雪が降る/銀の塩/トマト/紅の樹/ダリアの夏の6編から成る短編集。 切なくなったり、しみじみしたり、じんわりと胸の奥に灯りがともったり、と長編に比べても、読み応えという点での遜色はない。 エピソードてんこ盛りと言えるかも‥何ちゅう言い草(^^;A
●「雪が降る」 珠玉と評される作品で、管理人のいっとう好きな作品。 「母を殺したのは、志村さん、あなたですね」というメールから物語がはじまる。志村の封印した過去、時を経た想い、ラストは切々と‥いいなぁ。 藤原伊織は音楽を作中に加味するのが好きなようだ。 「テロリストの―」では人気GSゴールデン・カップスの「長い髪の少女」が。 「シリウスの道」では中島みゆきの「地上の星」が。 そして、「雪が降る」ではアダモの「トンブ・ラ・ネジェ」を聴いているような。 「雪が降る、あなたは来ない」その雰囲気に酔って読み通す。
●「銀の塩」 「テロリストのパラソル」の島村が登場。 島村がいっとう好きな管理人は、やはりこの作品には惹かれてしまう。 アパートの隣人ショヘルと避暑地で出会った若い女。ふたりの恋の芽生えと、すがすがしさを余韻として残す別れに立ち会う島村、という構図が島村好きの管理人には堪えられない。 いつの間にやら、おっさんフェチに‥(^^;A ちなみに「銀の塩」というのはヴァングラディシュの言い伝えとか。 「星は神さまが塩を銀に変えて撒いたもの」という言い伝えも、「ピンクのカバが行進する夢」も何ともメルヘンチックである。
●「紅の樹」 アパートの隣室に越してきた訳あり母子と関わる男の話。 これは「てのひらの闇」の原本のよう。主人公の名も境遇も似た設定だし。 過去と現在が交錯するスタイルは、藤原作品では常套手段のようによく使われている。封印した過去は、いまも傷となって記憶の底に澱となって沈み、それを浮き上がらせる「偶然という出会い」に嫌味がないのが、やはりストーリーテラーと呼ばれる所以かと。 藤原作品に俗なハッピーエンドはない。 物語は終わるけれども、どこにも満足しきった人の姿はない。 切なく、痛ましく、大人の男のにじみ出る優しさがあるだけだ。
余談 管理人のおっさんフェチは娘に起因する(絶対にそうだ) 昔は、目も覚めるような美しく若い男が好きだったのに‥ いまじゃ中年男の哀愁漂う背中もいいなぁ‥‥ ‥あぅ(涙) じじぃフェチに転落する日も間近だな。
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2007年12月03日(月)
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