イツカノキズアト



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2002年08月10日(土)
徒然:Short Story
「大丈夫?」
貴女が訊いた。
その時私は、少し傷付いていたから、慌てた。
「え? な、何が?」
貴女が訊いてきた言葉は、いつもの私の台詞じゃあないか。
私は余程、そんな顔をしていたのだろうか?
それとも、期待するなら、そこまで貴女が私の心配をそしてくれたのだろうか?
何を、大丈夫?、と訊いたの?
「とりあえず、大丈夫?」
何を、とは言ってくれないのか。
それもいつもの私じゃあないか。
今日は、目の前にいるのは、私だと言う幻覚に襲われる。
――けれど、目の前にいるのは、どう考えたって恵母さんであって、私じゃない。
どうして…今日は――。

どうして、今日貴女はそんな物言いをするの?
いつもの私のように。
そんなにまで私は傷付いた顔をしていた?
でも――私が傷付いた原因と言うのも…。
貴女に在ると言ったら――。
――皮肉なものよね…。

ソコまで想って思い至る。
別に心中を察して、先刻の言葉を発したのではないのではないか。
他にも心配する理由はある。
先刻までの私は、お腹が痛かったし、今はもう遅い時間である。
だから、今の体調や、早く帰らないでいいのか、と言うことを心配したのかもしれない。
遥かにそちらの方が筋道が通るように想われる。

だったら…。
私の喜びは、ただの糠喜び、か…。
――愚かしい。
けれど…。
けれど、期待したって罰はあたらないでしょう。

何を、とは言わなかった。
だから、私は勝手に解釈する。
そっちの方が嬉しいから。
だから、貴女が心配したのは、私の心中を察したから、と言う風に解釈させて。
それは愚かしい願望だけど。
それくらいのものは赦してね。
だから笑顔で言うよ。
貴女に心配をかけぬよう。

「大丈夫だよ」
私がそう言うと、彼女は哀しく微笑んだ。










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