*** Diary ***
>> 今頃知った自分が恨めしい
2004年11月23日(火) <<
結構面倒臭がりで、好きなモノでも放置したりするし、ネットであんまり情報収集をしようとかしないタイプです。故に、大事な事実をずっと知らなかったり、「今更かよ!」って時に知ったりします。
好きな漫画家さんがいます。プロフィールにも書いてます。とっても大好きです。それは現在進行形で。 高校の時に出会ってから、もう8年近くになります。雑誌に再々掲載をされるわけではないし、私もあんまり雑誌をチェックしないせいで、いつどうなっているのかはちっとも分かりません。ただ、書店に行って「あ、新刊出てる。じゃ、買おう」って感じです。 最近はあんまり本屋に行ってませんでした。行くんだけど、そのいつも行く本屋ってのがイマイチで、レンタルに力を入れているのでしょう、本屋のくせに本が少ない。出版社によっては、あるかないか分からないような。なので、「好きな本は綺麗なモノに限る」主義の私は、大切な本はいつも広島の大きめのお店で買います。 昨日、広島で本を買いました。 欲しかった本は5冊。でも、うち2冊はあんまり綺麗じゃないので、そのうち買おうとおあずけ。残り3冊をゲット。 その中の1冊を平積みの中から「どっれが綺麗っかなぁ」と吟味していた時、その手前に同じ漫画家さんの数冊の漫画が平積みに。その端っこには私の見たことのない表紙。「おや、新刊?」と思ってみると帯に、「ラスト・コミックス」の文字。「ん?漫画家をやめんの?」とか思いつつ、放っては置けないので購入。 友達との待ち合わせのため急いで書店を出た時、ぱふが目に入りその表示に「追悼」・・・気になりつつも、その場は去り友達と合流。その後違う書店でぱふを探すも見つからず、帰宅。 夜中、布団の中でその漫画を読破。相変わらず面白いなぁ、なんて思っていつもの後書きのページに・・・でも、いつものあとがきがない・・・代わりにラストページの出版社からの言葉・・・ コミックの言葉・ぱふの表紙・ネット検索の結果 知らなかった。4ヶ月も前のことなのに。その間、なんにも知らなかった自分が悔しい。ただただ、悔しい。 好きならもっと気にすればよかった。探せばよかった。 早く知ったからと言ってそれがどうにかなるモノでもないけれど。 でも。だけど。とても自分が情けなくて、悔しい。 つい昨日。いや、日付的には今日。はじめて知りました。 あとり硅子さんが、7月6日に亡くなられておられました。 ショックです。とても。全然、知りませんでした。 ただ、「なんで」「どうして」そんな言葉ばっかりです。 何だか信じられなくて、今朝、ネット検索してみましたら、あとりさんファンサイトでそのことが書かれてありました。それを見ながら「あぁ、本当なんだ・・・」と落ち込み、そこの掲示板を読んでいる内に涙が・・・ 当時、高校生だった私たちは「Wings」にはまっていました。私も雑誌を買っていました。 そんなある日、出会ったのが「藍色の夜」でした。当時は全然あとりさんの名前を知らなかったんですが、なんとなく藍色の夜が私は気に入って。ストーリーもだけど、ほんわかするようなイラストも妙に私のツボで。 あとりさんの漫画で初めの買ったのは「ドッペルゲンガー」でした。本誌で読んで気に入ったから買ったような気がします。よく覚えていませんが。その中に「藍色の夜」が入っていて、はじめて同じ人なんだと気が付いたのは覚えています。 ドッペルゲンガーの中に「四ツ谷渋谷入谷雑司ケ谷!!」が入っていました。本を貸した時友人が四ツ谷にはまって、四ツ谷の漫画が出た時は同じ本なのに、2,3人で各々買った記憶があります。 「藍色の夜」の出会いから8年。その間、ずっとあとりさんの本を買いました。って言っても冊数は少ないのですが。 いつしか「Wings」も買わなくなって、立ち読みもしなくなって。ただ、書店でコミックスが出ているのを見て、新刊に気づく。そんな感じではありましたが、それでも私は好きでした。 ほんわかとしたイラスト。シリアスなのに所々にちりばめられたギャグ。ストーリーのあったかさ。あとりさんの作品は絵も話もすべてひっくるめて、読み手をほっとさせてくれるモノでした。もちろん、あとがきも。 あとりさんのつくり出すモノすべてが好きでした。 こんな日が来るとは思ってもいませんでした。この先、もっと沢山あとりさんの作品が読めると思いこんでいました。たぶん、それが普通だと思いますが。けれど、突然終わりが来るなんて・・・ 正直、この世界はどうなっているんだろう、神様は何を考えているんだろう。そんな風に思ってしまいます。 幸せなことに、未だ身近なところに死がありません。だから、永遠の別れがどれほど辛いか、と言うことは未だ私には分かりません。でも、あとりさんとの別れは、今、とても苦しく切なく悲しく、胸の中に穴をつくっています。この別れは間違いなく、私が今まで知ったモノの中で一番辛いモノです。胸が痛くてしかたがありません。 イラスト集をどうするか、今悩んでいます。買うか買わないかではありません。買います。必ず。しかし、その方法で悩んでいるのです。 大切なモノは綺麗なモノがいい。 だから、ネット通販で買うか、書店で取り寄せるか。しかし、どちらも間違いなく選べないのです。背表紙が曲がっていても文句が言い辛い。 しばし我慢して、再び広島に行った時、大きめの書店で選ぶか。きっとこれが一番いいのでしょう。 あとりさんのあのイラストが詰まっているのです。それは、間違いなくゲットするべきものです。 正直、東京であった原画展がうらやましい。いつの日か、地方でもやって頂きたいものです。それほど価値のある方なのですから。あとり硅子さんは。 この日記を書いている間も、涙があふれてきます。「あぁ、好きなんだなぁ」って改めて思いました。 新書館のサイトを見た後に、「四ツ谷渋谷入谷雑司ケ谷!!」の2巻のあとがきを見ると、どうしようもないほど苦しいです。 愛と思いと命がいっぱい、いっぱいつまっています。 私があとりさんに言えるのは、ありきたりな言葉ですが、 「ありがとうございます」 です。いろんな“ありがとう”です。感動だったり楽しさだったり。言葉では言い切れないいろんなモノです。 こんな素敵な漫画家さんに出会えて本当によかったです。間違いなく、あとりさんの作品は、私の一生の宝物です。ずーと、ずーと大切に抱きしめて生きていきます。 本当にありがとうございました。 あとり硅子さんが好きな気持ちは、決して過去形ではありません。現在進行形であり、未来も同じくです。 この文章におけるあとりさんに対する言葉を、過去形で書くのは本当はとても嫌です。すべて進行形です。ずっとずっと。かわりません。絶対。 いつか、私も死にます。そしたら、あとりさんに会えるかもしれません。そんな日を少しだけ楽しみにしながら、ここにあとりさんの残してくれた作品を読みながら待ちたいと思います。 あとり硅子様 ありがとうございます。 そして、お疲れまでした。 ごゆっくり、お休みになってください。 ご冥福をこころよりお祈りいたします。 |