夕方、出身大学の体育館に赴いて後輩を相手に卓球の試合をした。戦績は3勝2敗だった。2ヶ月ぶりにラケットに触ると、どうしても初戦がままならない。ただ、負ける理由をブランクに求める行為は、熱心に練習をしている現役生に水を差すだけで、それをするくらいならば最初から顔を出すべきではない。だから、できることならば本来の卓球を取り戻しながらも、なおかつ試合でも勝たないといけない初戦だった。初戦の負けは、仕事などを言い訳に卓球から逃れようとした報いのようなものだ。僕には「横綱卓球」をできるほどの技量などない。だとすれば、とにかく相手を凌駕する気概を持って、少しでも脚をストライクゾーンまで動かすしかない。その意識を念頭に置いて、2戦目以降は一層集中して臨んだ。イメージの通りには体現できなかったものの、どうしても1点を取らなければならない場面では出すべきサーブを出せたり、踏みとどまるべき無駄な強打を抑えることができた。これは適度な高揚を用いた成果だと思う。精神力は、体力が前提となる。もし卓球ができる機会がなくても体力を維持・向上させることはできるので、次に迎える機会でよりイメージに近い卓球を体現させるために準備くらいはしておきたい。
卓球をした後は、後輩たちと共に大学近くの店でビールを飲んだりピザを食べたりした。現在大学生や大学院生の後輩と一緒にいても、学生時代に戻りたいとは思わない。戻りたいと思ったら懸命だった学生時代の自分に失礼だし、後輩たちも今の僕と同じように「29歳」という時を迎えるからだ。家庭的・金銭的などの環境が一人一人違うのは当たり前だが、時間は割と誰にでも平等に過ぎる。誰かと比べる必要のない時間があれば、それは過去・現在・未来を問わず、完全にその人のものだ。 // |