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2007年09月24日(月) ルーファスウェインライト ハリウッド・ボウル ライブ雑感(1)




ルーファスライブ当日、昼間は「Release The Stars」の歌い出し、「Why do you keep all your stars in from your studio on Melrose Avenue?」でおなじみのメルローズ・アベニュー(なんというか渋谷と原宿を混ぜて平たくつぶしたような感じのとこでした)に出かけまして、フリマなんぞを眺めつつ「オールド・ハリウッド・イズ・オーバーだよウキウキ!」と過ごしておりました。
ちなみに私はその日、朝からやる気満々でルーファスのジュディTシャツ(マイクバージョン)を着ていたのですが、そしたら帰りのバスで、おじさんに「ちょっときみたち、今夜のルーファスのショウに行くの!?」と声をかけてもらえましたー!ワーイ!やったね!それと「ハリウッドボウルは寒いからジャケットが必要だよ!」ってアドバイスもいただいた。
しかもそのあと、ハリウッド通りがレッドカーペットで通行止めになったからバスが予定より手前で曲がるってこともおじさんが教えてくれました…。全然アナウンスなんて聞いてなかったから、あぶないとこでした!ありがとうおじさん…ルーファスファンはみんないい人だね…!

それからホテルでおめかしして、タクシーでハリウッドボウルへ出発ー。
ハリウッドボウルはちょっと山を登ったところにあるので、途中に続々と坂道を上っていく人の群れが見える。おしゃれしてたりラフだったり、様子はいろいろ。このへんからもういろいろとテンションがおかしい。急に奇声をあげたりする。

とりあえずこれに興奮。


Will Callで確保していたチケットを無事入手して、それから物販で大興奮。とりあえず超ステキなプログラム2部(ふっふっふ)に、煙草バージョンのTシャツ、ポスターを買う。Tシャツはオレンジの方がおしゃれっぽいけど黒Tシャツの背中にはいっている日付がどうしても好き!
あとは一応ジャケットは着ていたけどものすごい寒い予感がしたので、ハリウッドボウルの厚手肘掛けも購入。行く先々で金を使いまくる桐野さん。でもコンサート中は本気で寒かったので、これで命拾いしました…。

会場についてから、なんだかわたしは落ち着かなくって手が震えだしたりしてしまい、このままでは絶対パスポートか財布かチケットを落とすぜ!と思ったので、ヤニをしばいて一段落しようというNさんを急かし、とりあえず座席に行く。座席は、事前に調べた位置となんだか違って、下手側。しかもボックス席ってどんなんだろう〜と思っていたら、仕切られた柵のなかに4人用の椅子がぎゅうぎゅうに詰まってる。そこに備え付けの折りたたみ式テーブルがあって、早くきた人はみんな楽しく酒飲んだり食べたりしていました。その場で注文してボウイさんが料理を持ってきてくれるシステムもあれば、いかにもアメリカのピクニック!って感じのバスケットにワインやオードブルを詰めて持ってきている人もいて、すっごいすてきな雰囲気。
ちなみにNさんとはチケットを別々に買ったのにびっくりするほど近くて、斜め前のボックスでした!

しかしまあ周囲には余裕でわっはっはと飲み食いしてるひともいるのに、わたしといえばこれから生ルーファスかと思うと緊張してしまって席から動けませんでした。椅子がぎゅうぎゅうで物理的に動けなかったってのもあるけど。わたしのボックスの他の3人は家族らしくて、おじさんとおばさんとおばあさん。(自己紹介をしたけどどっちがシンディでどっちがナンシーかよくわからなかった。)家族でルーファスのコンサートだなんてステキだな。おばあさんは昔のジュディのショウに行ったことがあるようで、コンサートの途中で感激して涙を流したりしていました。



あとこの写真からもわかるように、けっこう年齢層が高いのよね〜。
カテゴリで分けるなら、年配のゲイか、若いゲイか、若いルーファスファンか、年配のジュディファンかって感じだった。ちなみに手前に見えるおっさんたちは、年配のゲイグループ。
コンサートの途中でいい雰囲気になって太ももをさすり合ったりしていた。
(それ以上もりあがらないでくれよー!と私は祈ってました)




会場はだんだん暗くなっていい雰囲気に。

19時前に「レディースアンドジェントルメーン」な放送があって、そのあと19時5分くらいに暗くなって、いよいよ始まり。
オーケストラのみに寄る前奏、「Overture」はとってもロマンチック。ああもうこれですぐルーファスなんだと思うと、なんだかわたしは気分が盛り上がってしまい、ここで唯一涙が出た。(そのあとは楽しくって涙どころではなかった)。

続く「 When You're Smiling」で、ルーファスが、下手から、小走りで登場!!!!小走り!「アビエイター」で見せたような小走りっぷりです!その走り方でなんだかわたしはもうクラクラしました! わたしはそれまでルーファスをPC画面越しの映像でしか見たことがなく、いわゆるバーチャルアイドル状態だったわけで、ほんとうに見られることが信じられなくて、前日も「あールーファスがじつは米国が作り出したこの世のかわいいものをぎゅっと集めた最終兵器のホログラムだったらどうしよう…」と無駄に悩んでいたのだけど、ある意味、ほんとうにルーファスはこの世のかわいいものをぎゅっと集めた最終兵器でした。ひとつひとつのしぐさがもうエンジェルなんだよね…!
厚みとか、普段あんまり見ない足の動きとか、じーっと見てるといろいろリアルで、ほんものなんだな〜!としみじみ思うと嬉しくてたまりませんでした。

続けて「 Almost Like Being in Love」を歌い、そのあとMC。第一声は「Not in Kansas anymore!」。(これは映画「オズの魔法使い」の名台詞で、どれくらい名台詞かというと「君の瞳に乾杯」くらいの名台詞なので、みなさんもどっか別の場所に行ったときには第一声に「ここはカンザスじゃないみたいね!」と使ってみましょう。)
ちなみにルーファスは紺のベルベットのジャケットに白のフリルブラウスに白のパンツで、胸にはお決まりのでっかいブローチ。かなり涼しかったけど歌って踊ってはやっぱり暑いようで、すぐ脱いで上下白の格好になってました。脱ぐときは「I'm gonna STRIP」とか宣言してました。
あと話のオチとか照れたりするたびにすぐ髪の毛を両手でバババッとかきむしっていたので、登場時はバッチリきめていたヘアスタイルが瞬時で崩れてました。あんまり見たことなかったけど、あれはクセなのかな〜。



それからロサンゼルスに挨拶して、小さい頃ママのレコーディングについてロスにきたときにプールで溺れかけたけど、ママは日焼けに忙しくて気づいてくれなくて、代わりにBetty Buckleyとゆー女優さんが助けてくれたそうで、「あのとき死んでたらここにはいませんありがとう〜」みたいな御礼を言ってました。Betty Buckleyさん自身はそのことをまったく覚えていなかったそうですが、今度ルーファスの「Cigarettes and Chocolate Milk」をカヴァーするそうです。


↑私が撮った写真はこのサイズが限界…!

前半戦の曲では個人的に「 Puttin On The Ritz」が好きなので、きれのよいヴォーカルを堪能できてよかった!フランスライブの音源が息切れしまくりだったのにくらべると、この日の喉の調子はわりと良かったようです。あと前半のシメの「 San Francisco」は最高でした。歌い出しの
「I never will forget, Mmmm...Jeanette MacDonald 」
のとこでものっっすごいためたり、サビはおもいっきりコミカルなふりをつけて歌ったり、とにかく遊び心たっぷりで、自由自在。ときどき男らしいドスのきいた声でこぶしのきいた歌い方をしたりもして、なんだかドキドキしてしまったわ!

前半後半のあいだは20分の休憩。ルーファスは「飲むなりタバコすうなりご自由にドーゾ」といってたんだけど、なんだか私は動けなくって(質量の多いおばさまに囲まれて相変わらず物理的に動けなかったってのもありで)、ぼけーっとしてました。

休憩が終わって、後半戦(サッカーみたいだなー)。一曲めは「 That's Entertainment」とゆーものすごく明るくってかわいい曲で、またもや小走りで(ていうかけっこう必死に走って)登場してきました。前半とは衣裳が変わってて、こんどは黒の正装に銀のでっかい花ブローチ(Wordで表紙のときにつけてたやつですね)。ジャケットは一曲で脱いでたけど、脱いでもやっぱりでっかいブローチがついてて、ちょっとおもしろかった。



その次の「 I Can't Give You Anything But Love」では、前置きに話がありました。どっからきたデータなのか私は知りませんけど、1961年のジュディのライブに来た男の85%がゲイだったそうとか(まさか出口調査じゃあるまいし…)。そのときはゲイであることが違法だったけど(今でも場所によっては違法だよね、とルーファスはおちゃめに追加)、それでも愛を貫き通した、同性愛という一種の『反逆の力』を持った人々の歌として彼らのために歌う、とか言ってました。
これが、また、すごかったです。歌はもちろんなんですが、間奏のあいだ、肩をすくめて腕を組み、じっとうつむいたまま動かないルーファスの姿が、さびしくってせつなくって、もう、往年の大女優のようでした。あれが愛しか武器を持たなかった、運命に逆らうすべを知らずただ耐えるしかなかった、か弱い人間の悲しみであり、強さなんだな…!!
普通のルーファスのライブと違い、ジュディシリーズではルーファスのこういうパフォーマーとしての一面が特に強く出ていて、ほんとうに生でみることが出来てよかったと思います…!

次の「Come Rain Or Come Shine」は、歌う前に指を組んで「Please Judy!」とお祈り。何かと思いきや、めっちゃむずかしそうでした、この曲。だってリズム隊がサンバ調なのに、上に流麗なオーケストラが乗るんですよ!この曲は原曲にけっこう大胆なアレンジをしたそうで、指揮者(イケメン)は見事にまとめてたけど、最後の方ちょっとルーファスは失敗してたなー。お祈りがきかなかった…。

「A Foggy Day」の前には「Do you like Foggy Day? , I like Foggy Day」という一人芝居を4回くらい繰り返してたんだけど、あれは何だったんだろう…
「Zing! Went The Strings Of My Heart」はものすごいかわいかったです!バラッドもよいけど、こーいうウキウキする曲が特にかわいかった!ルーファス自身がかわいかったしね!

続く「 Stormy Weather」ではマーサが登場。私今までマーサがあんまり好きじゃなかったんですが(理由1:ルーファスのコーラスで参加してもルーファスよりやたら目だつため)(理由2:「Bloody Mother Fucking Asshole」というアルバムタイトルがなんかショックだった)、反省しました。すごすぎた。マーサすごすぎた。正直5秒歌っただけで「ルーファスよりすごいんじゃないかオイ」と思ってしまった。しかも、けっしてすごい美人だとは言えない彼女ですが、この日は髪型やドレスがすっごくすてきで、ほんとうに大女優みたいに輝いて見えました!新婚だってのもあるかもしれないけど…! 
歌い終わったあと、この日はじめてのスタンディングオベーションが出ましたよ。
(ちなみに日本帰ってきてから母親にyoutube映像をいろいろ見せてたんですが、マーサ見せたら「お兄さんよりうまいじゃないの」って言ってた…ウゥ…)



「 Over The Rainbow 」では、ルーファスのお母様Kate McGarrigle登場。ケイトも普段はフォークシンガーっぽい格好だけど、この日はドレス姿で髪もアップにしてとってもきれいでした。しかも慣れないハイヒールでバランスとりながらよろよろ登場。おちゃめでかわゆい。
お母さんがいるからか、妙にリラックスした雰囲気のルーファスは花道(て呼んでいいのかな?)の真ん中に腰を下ろし、お姉さん座り。(途中であぐらになってましたけど)そのまま歌いました。
プログラムによるとこの曲を小さいころからお母さんと歌ってたそうなので、そう思うと、この晴れの舞台で、こういうくつろいだ雰囲気での親子競演というのはなかなか感動的ですなぁ。ほんとうに虹の向こうまで行けそうな感じでした。
そしてラストでは会場のライトも虹色に!



次の「Swanee」では一気におちゃめモード前回。
「 After You've Gone 」ではジュディの娘、ローナ・ラフト(どピンク衣裳ですごい迫力)が登場し、ルーファスは多少気圧されつつも、歌いながらふたりで押し合いへし合いのコントをやってておもしろかったです!
シメの「 Chicago」は、お決まりの「Where?」に対して「シカゴー!」って答えられてうれしかったなぁ〜!

それから一旦引っ込んで、アンコール待ち。
私はアンコールは全然何をやるのか想像もしてなかったんですけど、前にいたおじさんたちが「遅いねぇルーファス」「着替えに時間かかってるんじゃないの?」と話してたのが聞こえて、着替えって、まさか…?
と思っていたらほんとうにそのまさかで、普段のライブやグラストンベリーでも次々と痴態をみせている、あの、「Get Happy」。ルージュにヒールにタイツでミニスカート。わーいパンツ見えるぞー!普段まわりで踊ってるメンズが今日はいないためひとりでおどってたんですけど、かわいかったすなぁ。いやー1月の日本公演でもやってほしいなー!



それからルーファスが着替えで引っ込んでる間、ローナが一曲ソロを披露して、ふたたびルーファスがものすごい柄のバスローブで登場。一瞬からくさ模様か?と思うような柄。どこで売ってんのあれ。
先に舞台に出たルーファスが「カモンガールズ!」って言ったらマーサとケイトも出てきました。ママはやっぱり慣れないヒールでヨロヨロと。ママがピアノに座って、ウェインライト兄妹はピアノのまわりに座って、まずはマーサのソロ。始まる前にルーファスが結婚おめでとうってことと、「今日のマーサきれいでしょ!?」ってお客さんに自慢してました。そこでママが「あなたはマイスタージンガーよね、バスローブ姿の…」ってつっこんでた。なんかいいキャラしてるな、ママ。
マーサが歌う「 Someone To Watch Over Me」はやっぱりすばらしかったです!あんまり好きじゃなかったなんていう感情はどこへやら、もう一回ききたかったので嬉しかった。あのふるえるような声がたまらなくせつないですなぁ!



次は負けじとルーファスの出番。
ピアノだけの曲が続くので、ママが「オーケストラのみなさんを寒い中にずっとお待たせするのも悪いんだけど」と言ったら、ルーファスは「ママ、なんで僕はバスローブを着てるんだろうねハリウッドボウルの舞台で…!」と自嘲。こうした会話はウェインライト家の普段の立ち位置をかいま見たようでした…。
ルーファスは兄の意地もあって、マーサに張り合って思いっきりロマンチックに歌い出すも、しばらくしてから「ちょっとママ、もうちょっと速くして!」とやり直し命令!わー!やったよ、このひと、得意技のなかったこと宣言!ママは文句を言ってましたけど、ルーファスはわがままを通してました。
それからまた気を取り直して歌ってましたが、さっきまで完璧だったママがやり直しで調子が狂ったのか何度かピアノ間違えてしまい、そのたびにルーファスが「えーっ」って苦い顔をするので、せつなくなるどころか、おかしくてしょうがなかった!

そして最後におまけで、もう一回「 San Francisco」! 前半の終わりのがすっごい楽しかったから、もう一回見れて得した気分でした!そのころには声も枯れてきてたけど(ウェインライトさんはそろそろタバコをやめた方がいいと思います)、まあそのへんはお笑いでカバーということで、バスローブめくってパンツ見せたり(黒ビキニ!!!!)、舞台に倒れてもがきながら歌ったり、とにかくサービスたっぷりでした。



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