2007年03月11日(日) |
私のプラグインベイビーになってください |
ミューズのライブに行きました。 ライブ感想をふつうに書くのもあれなので こんな感じだったというのを以下に書きます。 写真は参考資料です。


たとえば或る春の夜、あなたが二階のベランダからぼんやりと空を眺めて「スパイダーマンでも来ないかな」と悶々と考えているとします。すると急に空が白く光り、流れ星が幾千と落ちていくなか、宇宙服をぴったりと着たマシューベラミーが空から登場し、ギュワンギュワンと鳴る不思議な銀色の機械を振り回しながら、脳の奥まで痺れるような声で次のように歌いだすのです、 YOU AND I MUST FIGHT FOR OUR RIGHT (きみとぼくは権利のために戦わなきゃいけない) YOU AND I MUST FIGHT TO SURVIVE (きみとぼくは生き抜くために戦わなきゃいけない) NO ONE'S GONNA TAKE ME ALIVE (だれもぼくを生け捕りにできやしない) THE TIME HAS COME TO MAKE THINGS RIGHT (真実のときがやってきたのだ) もう空は赤と青が点滅していつだかのポケモン現象みたいになっており、目がくらんで思考回路もストップしてきているのですが、あなたはその光よりも音よりもメッセージよりも、マシューベラミーのけわしくうつくしい横顔、銀色の機械を自由自在に操る長い指先、小さく細く流れるような身体、それでいて全身からこんこんとわいているのが感じられる不思議な生命エネルギー、なにより短めのジャケットからときおりちらりと見える背中の白さに心を奪われて、すっかり目を離すことができなくなってしまいます。そしてあなたはふらふらとマシューベラミーのあとをついていってしまい、気づいたら宇宙船ミューズ号に乗り込んで、暴力的な速度で宇宙に飛び出しています。ちなみにマシューベラミーはあまり性別や年齢などの概念を思い起こさせない、たとえるならば、竹宮恵子の「地球へ…」に出てくる、超能力が使える新人類ミュウみたいな印象です。
宇宙船ミューズ号の中は意外にも80年代のB級SFのような、コンピューターおばあちゃんのような作りになっており、ピコピコしたチープ感と既視感がただよっています。むろん重力も当然のように宇宙戦艦ヤマト並にあります。そこであなたはうつくしい指導者マシューベラミーから今回の命をかけた戦いの目的などを告げられますが、あなたはマシューベラミーの手首の細さや白さばかりに気をとられてあまり聞いていません。とりあえず敵は「宇宙帝王」とかそういう漠然とした存在で、とにかく悪くて強く、「フハハハハハ」とかそういう笑いをして、仮面とかかぶっていて、でもすくなくとも実はマシューベラミーの父親だった…とかそういう設定はないようです。あなたは状況はよくわからなかったのですが深刻そうな顔のマシューベラミーがあまりにうつくしく、だけれども笑顔もいつかみてみたいという下心から、身も心もあなたに捧げます、あなたのために生きそしてあなたのために死にます、みたいなロシア文学的な文句をうっかり口走って、忠誠を誓ってしまいます。 長く苦しい旅の途中には獰猛な敵、それでいて戦隊もののはりぼてのような敵がガンガン襲ってくるわけですが、マシューベラミーが宇宙空間にとびでて銀色の機械をかきならすと、たちまちその美しさにやられて小さくしぼんで宇宙の塵芥となってしまいます。他にも奥義は「マシュースターライトアタック」とか「マシューインビンシブルビーム」とか「マシューのカニ歩き」とか「マシューのひとり紙ふぶき劇場」とか「マシューのマッスルミュージアム」とかいろいろあるようなのですが、特にそれらすべてを駆使する必要もなく、敵は消えてゆきます。あなたはマシューベラミーの美しさのために一緒に戦うと誓ったからには何かしたいのですけれども、いざ戦いとなるとマシューベラミーの背中がちらりとまくれ上がったりするのに興奮してほとんど何もせずに終わります。そもそもマシューベラミーは宇宙最強なので助けの必要もないはずだったのですがそのへんはまあ割愛しましょう。
そして旅を続けるうちにマシューベラミーが実は星の王子様で、ぴかぴか光る石がしきつめられた小さな星に住んで、火山を利用してお湯をわかしたりバラを育てたりバラと愛し合ったりバラと憎しみあったりバラと口喧嘩をしたりバラと仲直りしたりしていたのだけれども、今は宇宙の平和のためにとにかく戦いを続けている、というなんとも感動的な設定まで知ったりするのですが、あなたはやはりマシューベラミーが星の王子さまコスをしてスカーフをたなびかせて砂漠に不時着したりしたらどうしよう、砂漠にふたりきりってそんな、神様ありがとう、みたいなことを悶々と考えてしまいます。 また、マシューベラミー王子は非常に気まぐれなところがあり、ああもう世界は終わりだぼくたちはみんな死んでしまう頼むからぼくの死体をきれいに洗ってくれ、だの、君なんかきらいだ顔もみたくないよ君なんか知らない骨も拾ってやんないよ、みたいなことを急にいったりするのですが、あなたはマシューベラミーの服はどうしてこんなに露出がすくないのだろう、どうしていちばん上まできっちりボタンを留めているのだろう、せめてキューティーハニーの服みたいに破れやすい素材で作ればいいのに、ということを不満に感じるくらいで、あとのことはあまり気にせずに受け流します。
そんなことをしているうちにマシューベラミーは伝説の秘技「マシュー・スパイラル」であっさりと「宇宙帝王」を倒し、長い旅は終わり、地球にかえる時が来ます。しかし、あなたはマシューベラミーの精悍な横顔や柔らかそうな耳殻を見ていると、いてもたってもいられなくなります。それは、このひとが地球を治めたらどんなによいだろう、地球上のいたるところにこのひとの旗がひるがえり、このひとの挨拶を毎朝聞いたり、このひとのつくる法を守ったり、このひとに税を納めたりするのはどれほどすてきだろう!といったたぐいの欲求です。そこで宇宙船の窓から青い地球が見え始めたころ、あなたは若く勇敢な指導者マシューベラミーに「おねがいします地球を征服してください!」と、なりふり構わず足もとにひざまづいて懇願し、マシューベラミーはそれを快諾します。その7日後、世界はマシューベラミーのあまりのうつくしさとその不思議な音を出す銀色の機械に屈服し、音楽の女神ミューズ時代が始まります。
という以上の話は、すべて森の奥の古城で100年眠りつづけている、けわしくうつくしい横顔をしたマシューベラミー王子の夢かもしれません。
以上、ライブはこんな感じでした。
ミューズ最高!ピース!
ところで昨日、友人からヤドカリに関してたいへん感動的な話を聞きました。その友達は昔ヤドカリを買っていたそうで、ザリガニなんかを飼ったときとは違っていろいろたのしい思い出があると言っていました。あたらしいヤドを置いてあげたり、水をかえてあげたり、ヤドカリに手のひらを挟まれたときあまりに食いついて放さなかったので父親がヤドカリのヤドの部分にちょっとだけにライターの火を当てて驚かせて放させてくれたり、だそうです。たのしい思い出…? まあバラエティには富んでるわな。 そのついでに「ヤドカリは死期を悟ると殻から出る」という話を聞いて、驚きました。ヤドカリの普段ヤドの中にかくれている部分は内臓を中心としていて非常に柔らかく、無防備な箇所です。そしてもちろんヤドにはいっていないと、敵に襲われやすくもあります。死を目前とした状況では、むしろ自分がすこしでも長く生存するために無防備な部分を隠し安全な場所に引きこもりたくなるのが当然ではないでしょうか。しかしそうでなく、死期を悟るとあえて危険な状況に自分を晒すヤドカリ。なんて哲学的な生き物なのでしょう、ヤドカリ。他のヤドカリにヤドを譲るためなのか、もっと違う意味があるのかよくわからなかったのですが、その勇敢さには感銘致しました。
いつも思うのですが、そういう種族特有の行為というのがいつヤドカリの意識に入り込むのか、不思議でなりません。小さい頃にヤドカリの母から教わった、というのでもないだろうし。本能がそう伝えるといっても、そもそも本能っていったいどこからきて、どこに入っているものなのでしょうか。遺伝子に組み込まれてるのか。それなら遺伝子に意識とか知識がどうやって入っているのか。 ふしぎ。 私自身、自分が「田舎で暮らしたことがないのにトトロの風景が懐かしく感じるのは何故か、そういった意識は先天的なのかあとづけなのか」などといったことをよく悶々と考えておりました。補食や生殖などの生物的行為に関することならまだしも、そんな些細な記憶や印象まで標準装備の部分があるとしたら、どうなってんだろう意識ってやつの構造は、私の意識も何かのベースの重ね塗りにすぎないのか?と思うと怖かったわけです。 そのため「種族が先天的に共通して持つ原風景がある」といったような考えに出会ったときはひどく興奮させられましたが、結局、そういった意識が遺伝的なことと何か関係があるのかは私が読めるような本の範囲ではさっぱりわかりませんでした。 でもヤドカリの話を聞いたりすると、あらためて不思議だな…と思うわけで。いつか解きたい謎のひとつです。
あーぅ。エンピツ字数限界届かないなぁ。原稿用紙10枚分でも無理か… 5周年記念で何か感動的なことも書きたいと思ったのですが ミューズとヤドカリで力尽きます…(嫌な組合せだ… 「オペラ座の怪人ってなんなの編」と「病院編」は延期だな…
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