すず子さんのボヤキ。
モクジ|カコ|ミライ
・・・昨日、練習の後、姉さんと話した。 本当は、出来るだけプライベートな話は、 姉さんとは避けてたんだけど・・・。
相変わらず、昼間は体調が良くなかったけど、 練習してたら、調子が戻ってきて、 食事も無事済ませられたことからの 安堵感があったのかもしれない。
暮れに迫った、見合い崩れの相手との 2度目のおデートの話から、 そこに至ったイキサツや、 その相手に対する自分の気持ち、 今の最悪な精神状態に陥ってからの、 自分の気持ちの変化・・・。
姉さんは驚いていたけど、 私の望んでいた答えを語ってくれた。
つい、話し込んで、話題が色んな方向へ飛躍する。
「すず子さん、ホントにかわいいと思うのに。 すず子さんのこと、イイって言ってるヤツ、 結構いるゾ。」
「・・・。」
そうは言っても、なかなか自分の思う人とは うまく行かないものだ。
「だって、コータとかさ、イイって言ってたよ」
!!
衝撃が走る・・・。
・・・そんなぁ!! よりによって、姉さんからその言葉を聞くなんて!
しばしの間、姉さんとの会話は上の空のまま。
・・・コータは、私にとっては元気の素だった。 私が元気でいられたのは、コータのおかげだった。 そして当然、私はコータのことが好きだった。 とても。
明るくて、無邪気で、真っ直ぐで、背が高くて、ハンサムで、 コータがいたから、練習が楽しかった。
・・・でも、コータと姉さんはとっても仲良しだった。 私以上に。 姉さんとコータは、私より古い仲で、 二人はいつもあきれるほどのハイテンションで じゃれ合ってた。
「姉さんは、コータが好き。」 そんな方程式が、私の中に刻み込まれていた。
だから、ある夜、姉さんやコータや、コータの友達と コータの家に押しかけて飲んでいたとき、 「すず子さん、コータなんて、どう?」 って突然振られたとき、思わず、 「ええ〜っ!!!」って、顔をしかめてしまった。
そしてその時、私は視界に映るコータの顔が、 一瞬、曇ったのを見た。 でも、それはきっと、私の勘違いだと思いなおした。
それでも、自分で取ってしまった行動がとても口惜しくて、 コータのことが気になって、家に帰ってから、 「今日は突然押しかけてゴメン。でも楽しかった。」 って、それとなく謝りのメールを出したのだ。 律儀なコータは、ちゃんと返信もくれた。 「たいしておもてなしも出来なくて悪かった。またね」と。
その後、コータはチームでのゴタゴタがあって 練習には来なくなってしまった。
そして、練習という場がなくなると、 私とコータのつながりも、 自然に消えた。
コータには友達も一杯いるし、 コータみたいな子には、カワイイ子も一杯寄ってくるだろう。 そう言えば、あの夜、コータの友達が、 コータの近所の美容院を指差して、 「コータ、ここの美容師、すっげ〜気に入ってんだよ」 って言ってたっけ・・・。
コータのことがものすごく好きだったとき、 私にアプローチしてきた小西君がいた。 小西君とは、仲が良かった。 よく、ふざけていたけど、 私の気持ちはコータでいっぱいだったから、 お友達だった。
コータが去った後、 小西君のことが、とても気になり始めた。 コータとは違って、馬鹿騒ぎするタイプじゃないけど、 これまた素直で、とてもカワイイ。 私のへらず口にも、乗り良く切り返してくれる。 コータは突っ走るタイプだったけど、 小西君はワクワクしながら、 安心も出来る子だった。
メールのやり取りを頻繁にするようになって、 自分の気持ちも随分高まってきたとき、 小西君が女の子を連れてきた。
最初は、否定した。 彼女じゃ、ないと。
でも、それは間違いだった。
カワイイ彼女。 私とも、とっても仲良し。
小西君のほかに、1日だけデートをした、 カズ。
彼は、そのデートの後、 1度も練習に顔を出すことなく、 就職のため、チームを離れた。
この1年の間に、私がウジウジしている間に、 3人もの子と付き合うチャンスがあったのに・・・。
それも、コータが私を好きだったなんて・・・。
悲しすぎる。
遅すぎる真実。。。
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