思いつき日記
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2002年02月03日(日) ある人の話(笑)

「こんにちはー。」
「ん?こんにちは。」

世の中の右も左も全くわからく、素直で疑う事を知らなかった男のストーリーが
今ここに始まる。

彼は田舎からはるばる電車に乗ってやってきた。
ところは上野。乗り継ぎの時間に余裕を取ってあったので、新幹線の発車時間
まではまだ余裕があった。

外見はいかにも上京してきたのがもろバレの服装。
さらに、彼は一泊旅行のために、バッグも大きいものを持っていた。
まさに、カモがネギを背負って歩いているのを体現していた!のは今考えると
明らかである。

「パチッ」「カシャカシャ」「もぐもぐ」
駅のホームから出るのも億劫ということで(というか、大きすぎて移動するにも
右も左も分からないわけなので、ベンチに腰掛けて)ここで昼食をとっていた。

そうしている内に見た目40代〜50代のおやじに声を掛けられたって訳である。

「どこから来たの?」
「○○です」

「ええ?奇遇ですね。私も実は○○の××温泉の近くで酒屋をやってるんです。」
「へー。そうなんですか。私は○○○だからそっちはよく分からないです。」

相手のおやじは(終始笑顔で…よく考えるとおかしい)話し掛けた。
田舎者に良くありがちなのですが、同郷を盛んにアピールしていたのだ…。
(でも、標準語を話している。)

「実は…」
おやじは、財布を落としてしまって困っているらしい。
彼はそんな事を言われても…と困り顔。

「電話を掛けるので一緒に来て下さい。」
仕方なくついて行く彼。(何でついて行く必要があるのか?)

おやじは彼から100円借りるとどこかへ電話しだした。
(どうにも怪しい電話だが…)

ここでおやじは頃合いを見計らって言った。
「お金貸して下さい、電車代を」

彼の財布の中には7000円くらい入っていた。
彼は5000円差し出した。

「え?」おやじのほうがなんだか、たじろいでいるような雰囲気。
「これ持っていって下さい。」となにやらお土産みたいなものを手渡される彼。
さらに、「お酒を送るので住所と名前を教えてください」と。

言われるがままに書き込んで、別れた。


…そうです。これは明らかに詐欺です。
ころっと騙された彼とは。一応内緒と言う事で(笑)
家に帰ってきてから皆に笑われたのも内緒と言う事で。
お前は頭いいんだけど抜けているよなとダメを押されるように言われたのも…。

話は違うのですが家訓としてこんなことがあります。

―お金の貸し借りは親友でも出来るだけしないほうがいい。
 なぜなら、人間関係が壊れる原因のうちのひとつは“お金”だから。

―もし、貸す場合は上げてもいいだけにしなさい。


7000円しか財布に無くて5000円貸してしまう彼って…
大物なのか?それとも…。

身を滅ぼす原因になるのはカネ、オンナ、ギャンブル、深酒…
耳にタコが出来るくらい聞かされて育った男。

まあ、騙すより騙された方がいいのかな。

いま現在の彼はと言うと…そんなおろしたてのシーツのような純白の心ってのは
もう淀んでしまっているのかもしれない。人生経験を積んだともいふ。


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