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2012年04月21日(土) 横田さんご夫妻の心の叫びが書かれた『めぐみへの遺言』を読んで。

2002年9月に当時の首相だった小泉純一郎氏が北朝鮮へ渡り、

金正日が拉致を認めて蓮池さんら5人の拉致被害者が帰国をしてから、

その後の進展がほとんど見られないまま、この秋で10年目を迎えます。

10年目の節目の年に、もう一度考えるきっかけになればと、

横田めぐみさんのご両親である横田滋・早紀江さんご夫妻が本を出版なされました。

北朝鮮制裁強化に異論も 横田さん夫妻が思いを出版(朝日新聞 4月20日)


『めぐみへの遺言』(幻冬舎)



遺言だなんてショッキングなタイトルです。

13歳の横田めぐみさんが行方不明となり北朝鮮に拉致されていることが判明し、

そして今現在に至るまでを振り返るインタビュー形式の本です。

聞き手は、20年以上前から北朝鮮の国家犯罪を独自に取材し、

横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されていることを突き止めた

朝日放送のジャーナリストで現在はフリーの石高健次さんです。

横田さんご夫妻は、これまで数多くの取材や講演会で自分達の気持ちを語られてきましたが、

政府やマスメディアや国民については批判を語ることは一切してきませんでした。

しかし、このインタビューでは、

今まで溜まりに溜まっていた本音をストレートに吐露しており、

長期にわたる活動のなかで、

本音を言えば反感を買ってしまうのではないかと、

ずっと我慢していたんだということが分かりました。

ただ、批判といっても、恨み節や悪口といった類のものではなく、

私たち日本人すべてに対しての「叱咤激励」に近いと感じました。

これは自戒を込めて書きますが、

政権が代わってからは拉致問題に関して新たな情報など目立ったものが、

自民党政権時代に比べると極端に減ってしまったこともあって、

この日記でも拉致問題について書く回数は極端に減ってしまっています。

民主党自体が、このような党ですから




拉致問題解決に積極的に動かないのも無理はないのかもしれませんが、

この3年間を振り返って本当に申し訳なくなりました。

最近、横田さんご夫妻は講演会やメディアの取材に対して、

「日本人妻の帰国や旧日本兵の遺骨返還など
 いろんなところでパイプを作って解決へ繋いでもらえれば」と述べることが多くなっています。

『ぼやきくっくり』2012年4月12日
「アンカー」拉致を旧日本兵遺骨返還にすり替え!北の新たな仕掛け

北朝鮮との交渉パイプのない民主党政権なので、

こういった別の交渉から拉致問題へ道筋を作って欲しいという話なのですが、

本来であれば、自分達も80代と高齢になっており

残された時間は本当に少なくなっているのですから、

真っ先に拉致問題を解決してほしいと心の底から願うし言いたいのが

本当のところではないでしょうか。

しかし、自分達の希望を後回しにしてでも、

まずは別の問題解決から拉致問題の交渉へ流れてほしいと言っています。

「アンカー」で青山さんも仰っていたように、

旧日本兵の遺骨返還は拉致問題に関して危険な結果に繋がりかねないにも関わらず、

それでも、あえて先にそちらから交渉を進めてはどうかと提言している、

この心情を想うと胸が痛くなります。

人の自由と未来を奪い、残された家族を苦しめる拉致は殺人と同じ重大な犯罪です。

小泉訪朝から10年となる今、もう一度、

他人事と捉えずに拉致問題と向き合う機会や機運に

この本が繋がることを願わずにおられません。

最後に「あとがき」から一部抜粋します。

政治家、マスコミを批判される早紀江さんは、決してそれらを怨み、見放しておられるのではない。
名もない静かな暮らしをしているはずのご夫妻が、
とんでもない事件に巻き込まれ、娘を救出するために何ができるのかとそれだけを考え、動いてきた。
 その結果、好むと好まざるとにかかわりなく、
より広く深く世の中の不条理を見ることになった。
脆弱な政治の姿や国のエゴ、こわれつつある倫理観等々…。
それらを語ることもまた、自分の運命、生きる道と確信されていて、そこに強さを感じる。
 本書は横田滋・早紀江夫妻の「もっと、正しく、しっかりやってよ!」
「世の中こんなことでいいの!」という期待と激励のメッセージなのだ。


4月28日(土)午後2時から日比谷公会堂で国民大集会が行われます。


(バナーは「ぼやきくっくり」さまからお借りしました。)

詳しくは救う会のHP

ぜひ参加をよろしくお願いいたします。










名塚元哉 |←ホームページ