ニュースの匠:熱狂の行く先には=鳥越俊太郎(毎日新聞 12月3日)(一部抜粋)私は常々思っていますが、国民の、有権者の熱狂はロクな結果を生まないということです。それは太平洋戦争の末路が私たちに教えてくれる最大の教訓です。そして、この熱狂状態をつくり出すのにメディアのあり方が大きくかかわっているという事実です。 小泉選挙の時はテレビが先導しました。今回も一見大阪市長選は平松・橋下両候補にバランスを取って報道されているように見えましたが、独裁者をアピールする橋下氏がテレビ向きでした。 どちらかといえば今回の大阪市長選で、一番熱狂していたのはアンチ橋下陣営だったと感じるのですが。新聞・週刊誌・テレビ・既成政党・各種利権団体が橋下氏に対して総バッシング状態でも圧勝しちゃったんだから、マスメディアなどによる扇動が失敗した史上初の選挙だったんじゃないでしょうか。 それにしても、橋下氏の圧勝後に鳥越氏が書くような論調を多くの新聞で見ましたが、なぜか小泉選挙だけしか引き合いに出さないんですよね。橋下氏と小泉元首相に共通点があるのは理解できますが、小泉元首相は任期まで勤め上げ公約のいくつかは達成しています。政策によって痛みを受ける人と痛みを受けない人にわかれるのは当然であって、一概に全てが間違っていたとは断言できないように、むしろ国民の熱狂によって失敗したのは、2年前に誕生した民主党政権ではないでしょうか。この2年間ロクな結果が生まれていないのですから。鳥越氏は、マスメディアが煽りに煽り持ち上げたことによる熱狂の中で民主党が政権与党になったときに、熱狂によって生まれ進んでいく政治は危ういと批判はせず、熱狂と国民の判断は正しいと手放しで絶賛していたことを記憶していますし、選挙前から政権交代に向けて煽っていたわけですが、 あのマニフェストに疑問を持たなかったことや、民主党政権は選挙の時には一言も言わなかった大増税政策を今は野田首相の独裁によって推進していますが、独裁が嫌いな鳥越氏は、それには口をつぐむのだから、 もはやジャーナリストとは言えないまでに落ちぶれています。