8月11日〜23日まで東京松屋銀座で開催されていた「水木しげる米寿記念 ゲゲゲ展」が、本日から31日まで大阪の阪神百貨店に場所を移して開催されます。東京での様子をどんなものかとブログで感想を調べてみたら、『ゲゲゲの女房』効果も相まって、大盛況、大混雑、40分待ちとか入場規制もあったり、ゆったり見れなかったと書かれていたので、これは、少しゆったり見るには、デパートのオープンと同時に入った方がいいと思い、朝一番のオープンで行ってきました。まず、乗ろうとしたエレベーターのドアがゲゲゲ。 展覧会の入り口。入口では、とっとり妖怪観光大使の鬼太郎がお出迎え。朝一番にもかかわらずチケット売り場では早くも長蛇の列が出来ていました。しかし、私は招待券を頂いていましたのでチケット売り場に並ぶことなく入れました。展示内容の構成は、ブックデザイナーで有名な祖父江慎さんが手がけています。境港の水木ロードに設置されているブロンズ像20体や、代表作の『河童の三平』『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』の貴重な原画を年代順に、貴重な貸本や連載漫画が掲載されていた当時のマガジンなどの雑誌、水木先生の執筆道具やスクラップブックなどの所有物、そして妖怪画集用に描いた緻密な妖怪画を加え100点ほど展示されています。やはり、本物の原画は迫力が違いますね。緻密な背景描写も含めて、ただただ圧倒されっぱなしです。偶然にも『河童の三平』で私の好きなページの原稿が展示してあり、これは嬉しかったです。そのページです。注:これはグッズ売り場で買った複製原画ポストカードです。ちょっと縮小されてますので分かりにくいかもしれませんが、どうですか、この緻密さ。水木先生は、一番忙しい時期で、週刊誌・月刊誌の連載と読切作品も含めて、月11本の締め切りを抱えておられたそうで、全ての作品が大きなコマであっても小さなコマであっても緻密な背景描写のあるマンガなのですから、背景を描いていたのは、つげ義春さんらのアシスタントとはいえ、細部にまでわたり葉っぱ一枚一枚まで丁寧に描きこまれた、印刷されると一部分は黒く潰れてしまうほど、まるで写真のような背景を描いていたなと感心します。妖怪画では、モノクロ画と、それを彩色したカラー画の両方を展示していました。またまた偶然にも、見たかった大好きな妖怪「倉ぼっこ」や「海月の火の玉」が展示されていました。画集をスキャンしたものだと分かりませんが、「海月の火の玉」は、ひたすら点を打つ点描のみで描かれているんです。緻密な妖怪画は絵画です。マンガじゃないです。海外の美術館に展示されていても引けを取らないんじゃないでしょうか。妖怪画は、当初カラーにすることを想定して描いていないので、細かい描写で石や木の質感や陰影が黒のみで表現されているのですが、黒のみでも完璧に完成されている絵に色を付けるのですから、妖怪も風景も、さらに活き活きとしたものとなっています。水木さんは自然鉱物顔料で彩色しているので、独特の色合いが出ているのも良いです。文字や民間伝承のみで記録されている実態のない妖怪をビジュアルとして捉え表現する想像力は敬服に値します。しかも、背景を写真のように緻密に描かれているので、なんだか本当にこの姿で存在しているような説得力があり、見ていると不思議な感覚になるんですよね。水木先生は日本のみならず、60年間の画業生活の中で世界中を巡り文字や民間伝承のみで記録されている妖怪と妖精も絵に描き起こして記録(その数約1700体)していますが、実態のないものを具現化し、資料として記録したこの偉業はもっと評価されるべきだと思います。これまでにも、水木しげる展には行ってきましたが、ここまで沢山の原画が展示され一度に見れた事は初めてだったので、終始にやっけっぱなしで非常に「フハッ!ヒーハー!」と興奮しました。ただ、欲を言えば『総員玉砕せよ!』や、そのほかの短編作品の原画も見たかったです。会場を出ると、水木先生のお住まいの東京調布の深大寺にある鬼太郎茶屋出張店が設置されており、ここで興奮を冷ますためにしばしの休憩。まずバナナとチョコの2つの味が一度に楽しめる「ちゃんちゃんこソフトクリーム」トッピングのクッキーは5種類あるらしく、私のは猫娘でした。空に浮かぶ一反もめんをイメージした「かき氷一反もめんハワイ」一反もめんはミルク寒天です。暑い屋外ならまだしも、エアコンの効いた涼しいデパートで、ソフトクリームを食べて、かき氷も食べるのは無謀でした。さすがに体が冷えすぎました。そこで、目玉おやじの抹茶セットも注文。温かいお抹茶に蒸したてのこし餡まんじゅうのセット。注文しなかったけど、ネーミング面白かったので看板を撮影。グッズコーナーでは、マンガ、会場限定グッズを始め、鳥取で売っているお菓子など500点のグッズが販売されていました。レジだけで30分も並びました。買ったものは、原画ポストカードと、祖父江慎さんデザインのゲゲゲ展限定Tシャツ・クリアファイル・シールだけです。シールは暗闇で光る蓄光シール。楽しい楽しい「ゲゲゲ展」でした。もう一度、見に行きたくもなりました。大阪近辺にお住まいの方は、この機会に、肉眼で水木先生の緻密な原画を見に、ぜひ足を運ばれることをお勧めします。きっと、水木しげるという一人の天才を確認できることでしょう。