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2008年05月12日(月) メディアの自殺報道の違和感

松本人志が硫化水素自殺で「放言」 「アホが死んだら別に俺はええねん」

お笑いタレントの松本人志さん(44)が、出演したラジオ番組で、
相次ぐ硫化水素自殺者について「問題発言をした」とネットで騒ぎになっている。
ラジオでの放言、暴言では、歌手の倖田來未さん(25)が
「35歳になるとお母さんの羊水が腐ってくる」と発言したのが記憶に新しい。
倖田さんはその後芸能活動をしばらく自粛している。

■ラジオ番組でマスコミも批判

 松本人志さんが「問題発言」したのは、2008年5月11日未明に放送された
TOKYO FM系(JFN)のラジオ番組「放送室」。
松本さんと放送作家の高須光聖さん(44)がパーソナリティをしている
1時間のトークバラエティで、番組の後半に入ったところで
硫化水素自殺について語る場面が出た。


 まず、松本さんが、「いま自殺もはやっているでしょ」と話題を振った。
そして、「何かよう分からん。なんや、あれ。なんか液体の、
あれやわ、ガスみたいな」と言葉に詰まると、
高須さんが、「硫化水素やね」と助け舟を出した。

 松本さんは、相槌を打つと、マスコミに不満をぶつけた。

  「ニュースが面白がってんねん。今日は何件あったとか、
やっとるわけよ。もうええねん、もう一切そのニュースはなし」

 さらに、「自殺なんてね。報道すればするほど、あいつら寂しいヤツらだから、
俺も死のうって思うヤツがたくさん出てくんねん」と批判した。

 そして、「問題発言」とされたのは、松本さんの次の発言だ。

  「まあ、ある意味ね。ちょうどええ時期に、
そんなアホが死んだら別に俺はええねんけど」

 こうした会話で、2人は盛り上がった。
高須さんが「ええこと言ったね、松本さん」と水を向けると、松本さんは、
「ほんとに間違ってないわ、俺らはね」とうれしそうだった。

■ニコニコ動画にも投稿

 松本人志さんのこの発言は、早速2ちゃんねるで話題になり、
それを紹介するスレッドが立った。
そこでは、次のような批判の書き込みがあった。

  「アホとか何様だよ」
  「これは倖田くみの発言より問題だろ」
  「何がちょうどいい時期なのかわからない 松本は最低だなカスだ」

 発言のあった「放送室」の録音は、ニコニコ動画にも投稿された。
そこでは、すでに1万3000回以上が再生され、1400以上のコメントが付いている。
 一方、松本さんが硫化水素自殺についてマスコミ批判した部分については、
共感する書き込みも多い。

  「その通りだ」
  「まぁ確かに硫化水素とかヒント出すから 皆マネをする」
  「途中までは言いこといってるのにな」

 松本さんは、議論が盛り上がっている途中で脱線して、
うっかり発言をしてしまったということらしい。
倖田來未さんの「羊水腐る」発言のように、ネットでは、
「問題発言」がだれかの手で拾われて一瞬のうちに広まるようになってきている。

 J-CASTニュースでは5月12日、松本さんの所属事務所の
吉本興業東京本社に、この「発言問題」で取材を申し込んでいる。

(J-CASTニュース 5月12日11時25分)


-----------------------------(引用終了)----------------------------

>「まあ、ある意味ね。ちょうどええ時期に、
>そんなアホが死んだら別に俺はええねんけど」

自殺するほど悩んでいた人間をアホだと一蹴し、

あまつさえ「死んでくれてよかった」というようなニュアンスを

感じさせるかのような発言はどうかと思いますが、

松本さんの報道批判の箇所については同意します。

自殺を考えている人というのは、

どんな方法で自殺しようかということも一緒に考えているのですから、

メディアが一つの自殺や自殺方法をセンセーショナルに報道すれば、

過去、練炭自殺、虐めによる自殺が相次いだように、

報道する側が連鎖させるつもりが無くとも、

一つの自殺は次の自殺を呼び込み連鎖してしまいます。

WHOは2000年に「自殺を防ぐために マスコミへの手引き
(PREVENTING SUICIDE A RESOURCE FOR MEDIA PROFESSIONALS)」と題された

群発自殺を防ぐための報道のガイドラインをまとめています。

ガイドラインでは、実際に起きた自殺についての新聞・テレビの報道が、

自殺の増加と十分に結びつくことを示唆する十分な証拠があるとしています。

WHOは自殺報道について次の原則を挙げています。

●写真や遺書を公表しない
●自殺の方法について詳細に報道しない
●原因を単純化して報じない
●自殺を美化したりセンセーショナルに報じない
●宗教的・文化的な固定観念を用いない
●自殺を責めない


自殺報道をどう扱うかについては、

2006年に相次いだ虐めによる子供の自殺の時に、

活発な議論になるほど問題になったのですが、

日本のマスメディアは、今回もガイドラインを守っていないわけです。

確かに、ネットによって簡単に情報が得られる現代、

ネット上には硫化水素での自殺方法が載っていて、

それを元に実行に移して自殺する人が最初に報じられてから、

同じ方法による自殺が相次いだことは事実ですが、

「また!硫化水素自殺」「ネットで調べて」「ネットの情報を元に」と、

センセーショナルに報道し、

自殺を考えている人に、薬品の名前は伏せたとしても、

こんな自殺方法もあって、ネット上に情報があると大々的にアプローチしながら、

相次ぐ自殺は、何でもありのネットが原因だと叩く、

マスメディアの論調には違和感を感じてしまいます。

センセーショナルな報道は、自殺したい気持ちを煽っているようにも感じ、

このような報道を見て、自殺を早めた人も存在するでしょうから、

マスメディアがやっていることは、殺人幇助と同じではないでしょうか。

ネットの情報によって自殺する人も居て、

これは防ぎようも無い部分でもあると思いますが、

マスメディアは、そういったネガティブな部分ばかりだけではなく、

ネットによって自殺を思いとどまった人たちも多く存在するはずなのですから、

むしろ、そういった話題こそ報道するべきではないでしょうか。









名塚元哉 |←ホームページ