北朝鮮資金、全額返還へ 米朝が凍結解除に合意6者協議の米首席代表のヒル国務次官補は19日、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結されていた北朝鮮関連口座について「できるだけ早く全額を返還することで北朝鮮と合意した」と述べた。北朝鮮の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官は、解除が部分的になれば核放棄に向けた措置も限定的になると主張していたが、19日の6者協議本会議の開幕直前に、米朝間の最大の懸案が解消された形だ。 ただ、北朝鮮メディアは米韓軍事演習を「米国による敵視政策」として中止を要求しており、核放棄に向けた措置が順調に進むかどうかは予断を許さない。 ヒル氏は19日朝、グレーザー米財務次官補代理とともに合意内容を発表した。グレーザー氏によると、凍結資金は全額、北京の中国銀行にある朝鮮貿易銀行の口座に移されるが、もともとの口座保有者に返還されるのではなく、北朝鮮政府が人道、教育など国民の生活改善のために使うことで合意した。この方式は北朝鮮側からの提案で、BDAを「資金洗浄の疑いが強い」金融機関と確定した14日の米財務省決定に変化はないという。 北朝鮮が生活改善に資金を使うとしていることについてグレーザー氏は「その保証はない」と述べ、資産の処分自体は「マカオ当局の決定だ」と語った。ヒル氏は、中国銀行の口座には中国が一定の監督責任を負うことを示唆した。 BDAで凍結されているのは北朝鮮の貿易会社や銀行、北朝鮮と取引のあるマカオの貿易会社、個人などの約50口座。 BDAの凍結口座をもつ中朝貿易関係者は、19日の米側の発表を聞いて「納得いかない。預金者の利益は守られないのか」と不満を示した。 (朝日新聞 2007年03月19日13時09分)朝鮮日報 2007年3月15日対北制裁:北の資金洗浄でBDAが破たん!?(上)「マカオの銀行、バンコ・デルタ・アジア(BDA)事件は国際政治や金融問題を研究する人にとって非常に珍しい研究例となるだろう」(政府当局者) これは、米国が北朝鮮の主要バンク・BDAを「マネーロンダリング(資金洗浄)懸念対象」として名指ししてから約1年6カ月にわたる調査を経て「資金洗浄機関」に正式に指定し、凍結されている北朝鮮の資金2400万ドル(約30億円)の取り扱いについて関与しない方針を決めたことに対する声だ。米国が方針通りにすれば、BDAで資金洗浄した国は北朝鮮であって、BDAはこれに関わっただけなのに、結果的に北朝鮮は資金を回収し、BDAは破たんする羽目になるかもしれないといった状況になるのだ。◆「北朝鮮は“執行猶予”」 昨年12月に行われた6カ国協議で米朝雪解けムードになると、米国はBDAに凍結されている北朝鮮資金2400万ドルの処理について多角的な解決策を模索してきた。これまで米財務省は「北朝鮮はBDAを通じ偽ドル札を資金洗浄した疑いがある」として北朝鮮を「資金洗浄懸念国家」に指定する案を推進した(国策金融機関関係者の話)と言われている。韓国政府関係者もこの可能性については言及していた。 しかし昨年末からブッシュ政権の対北朝鮮政策が変わり、BDAの不法性は指摘するが北朝鮮資金の処理については介入しない方針がまとまった。南北問題専門家の南成旭(ナム・ソンウク)高麗大教授は、こうした米国の方針について「米国は、刑を宣告しながら刑務所には行かせないという、一種の“執行猶予”措置を下した」と解説する。 一方、金融専門家は米国の「新BDA解決策」を過去のケースを参考にした「奇手妙法」だとみている。これは北朝鮮の資金は凍結解除するが、資金洗浄機関の指定は外さないという論理だ。 米国が以前、資金洗浄機関に指定したリトアニアやミャンマーの金融機関は、ほとんどが倒産したり統廃合されたりしている。そして現時点ではBDAも倒産する可能性が高いと言われている。本当に倒産すれば、北朝鮮は資金を全額回収できる可能性が高い。あるいはBDAが倒産する前に半分に当たる額の凍結を解除する可能性もある。対北制裁:北の資金洗浄でBDAが破たん!?(下)◆北朝鮮はBDA問題を逆利用 「米国のBDA解決策は、どちらかの国の一方的な勝利ではない」というのが関連専門家の見方だ。 米国は長期間に渡る調査を経て10万件を超える北朝鮮金融取引情報を事実上、すべて把握したとしている。韓国政府関係者は「BDAに約50ある北朝鮮の口座を調査することで、米国は北朝鮮の金融取引情報をほとんど把握したと聞いている」と話す。つまりいつでも「第2のBDAカード」を切ることができる材料を確保したというのだ。 だが、米国がこの過程で、情報事項という理由から決定的な証拠を提示しなかったことや、結果的に北朝鮮の凍結口座を解除したのを見ても、「当初から誇張があったのではないか」といった批判は避けられないものとみられる。 北朝鮮から見れば、偽ドル札製造や資金洗浄の事実が表面化し、今後の国際金融取引が困難になったものの、BDA問題を逆手にとって核実験に成功、米国を関係正常化交渉のテーブルにつかせたことは成果だと言えよう。-----------------------------(引用終了)----------------------------日本のメディアを見ていますと、なぜかアメリカが譲歩したという論調ばかりですが、例えば、リンクで紹介した韓国の朝鮮日報を見ていると、資金を戻すことよりもBDAとの取引停止と、偽ドルのマネーロンダリング(資金洗浄)口座潰しが アメリカの最大の目的だったようなので、アメリカは譲歩するどころか、目的を達成しているのではないでしょうか。マカオは中国の1国2政府の政策で、北京政府からの独立性を保っています。でも、今回の件でマカオはアメリカからのドル資金調達が困難になりました。で、今日になって決まった全額解除もアメリカは口座の資金を全額返還するが、結局、 北京政府はマカオ経済が破綻することを懸念して、BDAの件で、北朝鮮の不良ドル口座を担保することになり、資金の使い道は北朝鮮の自由にならずに中国が決めることになりました。それも「教育など人道上の支援にのみ使う」という制限がついて。 北朝鮮自体も「人道支援に使う」と確約してしまったので、中国が管理するといっても、その使い道にはアメリカも目を光らせ、逐一チェックはされることでしょうから、当該口座の資金が条件通りに利用されていない場合は、中国政府に速やかに口座凍結を命令するでしょう。 北朝鮮は短絡的に将軍様のお小遣いが帰ってくると考えているのかもしれませんが、しかしながら、BDAが偽札を本物の米ドルに変える為の舞台になっていた訳で、現在の残高が20〜30億ということは、例えばそれが一ヶ月の残高とすれば、 年間で360億ほどの金額が北朝鮮に流れていた計算になります。中国の銀行に移されたそんな資金も、いつどのように下ろされたのか、何に使われるのか、それが本当にその目的に利用されたのか監視されるでしょうし、また、一番肝心なBDAを経由したマネーロンダリングは二度とできなくなり、BDA取引停止の見せしめで今後は北朝鮮による偽ドル札のマネーロンダリングに加担しようとする銀行もなかなか見つからなくなることが予想され、アメリカは約束を守りながら、北朝鮮が資金的に苦しんでくれる状態を継続できて、中国は一先ずメンツを保つことが出来ましたが、北朝鮮にとっては実は厳しい措置なのではと思います。でも、全額解除での約束事だった核査察も受け入れなくなったわけです。 これで北朝鮮が核関連施設への査察や核廃棄の約束を守らなかった場合は、やはり話ができない信用の置けない国だと世界中が再認識するでしょう。 日本としては、またメディアなどが「孤立」だのと騒ぎ出しますが、北朝鮮が核関連施設への査察の受け入れに関して、ひと悶着あるとことでしょうから、日本はじっと我慢して、制裁を継続すればいいのではないでしょうか。↓エンピツ投票ボタンです。 押してくださると日記を書く励みになります。エンピツ時事/社会ランキング エンピツ総合投票ランキングMyエンピツ追加