昨年の11月にNHKBS『フォークの達人』で、友部正人さんの回がOAされました。 そんな番組があることさえ知らず見逃してしまい、悔しい思いをしていたのですが、1月3日深夜(正確には日付変わって4日)に再放送されました。ビデオ録画して見たのですが、改めて友部正人さんの魅力を知りました。(実は、映像で友部正人さんのライヴを見るのは初めてでもありました。)今は、そのビデオを繰り返しBGMにしながら仕事している状態です。友部正人さんを知るきっかけとなったのが、1992年に、私の中の永遠のアイドルである「たま」との共作で発表された『けらいのひとりもいない王様』というアルバムからで、この作品が、はじめて購入した友部さんのCDでした。といっても、その後に買ったCDは、『ライオンのいる場所』と『遠い国の日時計』だけだったのですが。歌詞は「たま」以上に難解で、イメージが直接的に伝わる絵画的で抽象的な表現。お世辞にも美声とは言えないしゃがれ声、歌もけっしてお上手とは言えないのですが、誠実で真っ直ぐな心で「究極の孤独」を唄う唄い方に心惹かれるものがありました。歌詞も聴くたびに心に残るフレーズが数箇所あり、それがいつも新鮮な感動を与え、友部さんの歌は噛めば噛むほど味の出るスルメのような感じなのです。番組で歌われたのは友部さんの初期の代表曲ともいえるナンバーばかりで、特に「たま」の知久さんと石川さんが参加している17人編成のアコースティックオーケストラ「パスカルズ」との競演での「6月の雨の夜、チルチルミチルは」にとても感動しました。「知らない事でまんまるなのに 知ると欠けてしまうものがある その欠けたままの僕の姿で 雨の舗道にいつまでも立っていた」「6月の雨の夜、チルチルミチルは」よりパスカルズ自体を映像で見たことがなかったので、これが聞けた(見れた)だけでもNHKに感謝です。最近の歌の中では1曲だけ、『Speak Japanese,American』を唄われたのですが、「米軍基地の金網に、英語で何か書いてある。 日本人に対する警告なら、日本語で書くべきでしょう」という歌詞には納得しちょっと笑ってしまいました。 友部さんの歌詞には、日本を含め様々な国や、過去、現在、未来、朝、夜、人、愛、動物、その他の物、地球、季節、一日など、全てが同一線上にあって繋がりを持とうとしても繋がることはなく、全てが孤独なのだと示すその歌詞の世界は奥が深く、まるで一つの物語を読んでいるような普遍的な印象を与えます。半径5メートル以内の小さな世界のことを歌っているJPOPばかり聞いている人には、友部さんの歌詞は心の琴線に響き新鮮な驚きを与えることでしょう。私もこれを機会に、古い作品を買って、もう一度、友部正人という唯一無二の詩人を心行くまで味わおうと思います。一本道 友部正人ある日ぼくらはおいしそうなおかしを見つけた友部正人『ウィキペディア(Wikipedia)』↓エンピツ投票ボタンです。 押してくださると日記を書く励みになります。エンピツ時事/社会ランキング エンピツ総合投票ランキングMyエンピツ追加