対北決議採択10日間の攻防 中国譲歩させた日米の絆北朝鮮をめぐる国連安全保障理事会を舞台にした攻防は、非難決議の採択という形で一応、決着した。10日間にわたる攻防と混迷の過程を振り返る。 「ミサイル発射は日本の安全保障にとり直接の脅威だ」 大島賢三国連大使は制裁決議案を提示した7日、安保理非公式協議でこう明言した。日本にとり妥協の余地がないことを内外に宣言したのだ。国連外交筋は「『直接の脅威』という強い表現を日本の外交官から聞いたのは初めて。日本の覚悟を感じた」と振り返る。 当初、安保理のメッセージとしては最も位置づけが低い報道声明による解決を提案した中国。それがやがて議長声明へと譲歩し、中朝協議が不調に終わるのを見越すや、ロシアと非難決議案の提示に踏み切った。 このとき、中国の王光亜国連大使は「制裁決議案が採決されるなら、(本国から)拒否権行使の指示を受けている」。拒否権行使をちらつかせるのは中国のいわば常套(じょうとう)手段。だが、「ここまで露骨に明言するのは異例だ」(欧州外交筋)と周囲を驚かせた。それは裏を返せば、日本の強い姿勢を目の当たりにした「中国の焦り」(国連外交筋)だともみられた。 ◇ 「これなら全会一致で採択できる。日本の勝利だ」 16日未明、ハドリー米大統領補佐官は、安倍晋三官房長官に電話をかけ、国連憲章7章を削除した非難決議案への賛同を求めた。 「十分に法的拘束力はある。米国は採決の際、拘束力があることを明言する考えだ」。念を押すハドリー氏。非難決議案の「国際平和と安全の維持への安保理の責任」という表現に加え、採択にあたり口頭によって決議の拘束力を確認すると説明した。安倍氏は提案に理解を示したものの、最終的な判断は麻生太郎外相とライス米国務長官の電話会談に委ねることで合意した。 その麻生氏は15日深夜、外務省幹部から妥協案をのむかどうか決断を迫られていた。「日本以外の14カ国はすべて賛成です」と説明する幹部。麻生氏は「7章にかわる表現で本当に制裁が担保されるのか。中国を含めた14カ国が本当に賛成するのか。もう一度確認を取ってから連絡をくれ」と念を押した。 「日本の国家としての意思を問われている。中国の拒否権行使もいとわない」と考える麻生、安倍両氏にとり「制裁」の根拠となる7章の削除は苦渋の決断だった。 ハドリー氏との電話会談を終えた安倍氏は即座に麻生氏に電話をかけた。「厳しい選択ですが、よくここまでこられたとも言えます。最後は麻生さんの判断にお任せします…」。麻生氏は腹を固め、秘書官に言った。「ライス氏と話をする。電話をつないでくれ」 ◇ 政府内が常に一枚岩だったわけではない。早期の妥協を模索する動きもあった。とりわけ12日に中国とロシアが非難決議案を提示して以降、外務官僚は「落としどころ」を探ろうとはやる。 14日、麻生氏の堪忍袋の緒が切れた。大臣室。 「こちらが突っ張ったから、中露は議長声明から非難決議に譲歩したんだろ。あんたらは優秀かもしれないが、けんかの仕方を知らないんじゃないか。成功するまで報告はいらない」 幹部を叱責(しっせき)すると姿を消した。背水の陣を促したのだ。 15日午後、安倍氏の電話が鳴った。国連日本政府代表部の北岡伸一次席大使だった。 「英仏両国が7章を削除した妥協案を提示しています。国際社会に強いメッセージを発する内容で、中国も賛同の意を示しています。むしろ日本がまとめ役として…」 安倍氏は「こちらはすでに第7章を40条(暫定措置)に限定するところまで譲歩しているではないか」と不快感をあらわにした。電話を切ると、ため息まじりにつぶやいた。「日本が降りるにしても最後の最後。ギリギリまで妥協に応じるそぶりすら見せては駄目なのに、なぜ分からない」 この一件は外務省にも伝わった。谷内正太郎事務次官は、即座に外務省飯倉公館に幹部を非常招集し、「最後まで日本政府は基本方針を貫く。最終的に妥協に応じるかどうかは閣僚レベルの政治判断だ」との旨を徹底させるように指示した。 ニューヨークで14日夕(日本時間15日午後)、安保理常任理事国の非公式協議後に、日本が再び態度を硬化させたのはこのためだった。中国の王大使は「一部の国が過剰反応している」と日本を批判した。 ◇■小泉首相「最後まで突っ走れ」 安保理での駆け引きが続く中、小泉純一郎首相が中東へ出発する直前に安倍、麻生両氏に出した指示はただ一つだった。 「最後まで突っ張れ。決して引くな」 ブッシュ米大統領のホワイトハウスへの指示も「小泉を困らせるな」のひと言だったと伝えられる。非難決議採択にこぎつけた最大の要因は、小泉首相とブッシュ大統領が築き上げた「日米の絆(きずな)」だったといえる。(産経新聞 07/17 14:58)●安倍・麻生氏、連携崩さず 安保理決議で蜜月 総裁選に影響も国連安全保障理事会での対北朝鮮決議をめぐって、安倍晋三官房長官と麻生太郎外相の「A・A連合」が果たした役割は大きい。両氏とも9月の総裁選で出馬の意向を固めているライバルだが、最後まで連携を崩さなかった。この“蜜月ぶり”は総裁選の展開にも微妙な影響を与えそうだ。 麻生氏「とにかく2人の足並みが乱れたらダメだ。融和派は必ずそこを突いてくる」 安倍氏「そうですね。密に連絡を取り、きっちり言質を合わせていきましょう」 北朝鮮がミサイルを発射した5日、首相官邸の危機管理センターで、2人はこう申し合わせた。 予感は当たった。米大統領周辺は、日本と同調し、厳しい制裁盛りこみを主張した。しかし、米国務省は、イラン問題などが安保理で議題になることを考慮し、「北朝鮮問題で常任理事国の関係を悪化させたくない」との思いが強く、両氏に微妙に違う情報を入れ、分断しようとした。 失敗もあった。安倍、麻生両氏は10日(米東部時間)の採決を狙ったが、中国の武大偉外務次官が北朝鮮説得のため平壌入りしたこともあり、国務省は採決延期を打診。両氏が難色を示すと、小泉純一郎首相周辺に「採決すればロシアも拒否権行使が確実だ」との情報を入れた。これを受け、首相は「10日中の採決にはこだわらない」と発言。ライス国務長官は麻生氏に採決延期を通告してきた。麻生氏は、受け入れざるを得ず、「一気に進めないと逆バネが働く。まずいことになった」と悔しがった。 結局、中国の説得は不調に終わり、再び日本は攻勢をかけたが、強硬論への抵抗勢力は「内」にもいた。一部の外務官僚を発信源に、安倍、麻生両氏に相互不信が芽生えることを狙ったかのような情報が、官邸−外務省間で飛び交った。これに対し安倍、麻生両氏は互いの情報を包み隠さず連絡し合うことで、なんとかしのいだ。決議では国連憲章7章は削除されたが、「日本の意思を世界に示す」という目的は達成されたといえる。 決議採択後、安倍氏は周囲に「外相が麻生氏で本当によかった」、麻生氏も「安倍氏がブレないから助かった。もしあの人が官房長官だったらと考えるとゾッとするよ」と語ったという。(産経新聞 07/18 05:00)-----------------------------(引用終了)---------------------------->もしあの人が官房長官だったらと考えるとゾッとするよあの人って、朝日新聞とかが必死で応援しているポスト小泉2位のF田さん?上の意向が明確で、かつ揺るぎないものであれば、下も腹を据えて目標にまい進できるというのがよく分かりますね。上がグラついていたらダメ。そういう意味でやはり、今回は小泉安倍麻生この3人で本当によかった。 サミットでは拉致問題も声明にしっかり入れくれたし。 ◆米第7艦隊のイージス艦、鳥取・境港に入港米海軍第7艦隊のイージス駆逐艦ジョン・S・マッケイン(満載排水量8700トン)が18日朝、鳥取県境港市の境港に入港した。北朝鮮によるミサイル発射から約2週間という時期の寄港だが、駐大阪・神戸米国総領事館によると「親善と乗組員の休養」が目的。同市の関係者が歓迎式典を開く一方、地元の平和団体や労組は抗議集会を開き、「軍港化を許すな」などと訴えた。 在日米海軍司令部(神奈川県横須賀市)によると、米イージス艦が国内の民間港に入るのは大阪や和歌山、北海道・小樽などに続いて今年11回目。また、米軍の艦船が境港に寄港するのは99年10月以来2回目。 艦内で記者会見したトーマス・ハルバーソン艦長は、今回の寄港と北朝鮮情勢の関係について「海上での行動についてはコメントできない。ただ、(日本の)海上自衛隊とのパートナーシップは強固であるとはいえる」と述べるにとどまった。 (朝日新聞 2006年07月18日11時40分)-----------------------------(引用終了)----------------------------労組って労働問題には取り組まないで、なんか反戦運動ばっかりしてるイメージがあります。北朝鮮のミサイル発射には沈黙で米軍には狂ったように抗議。北朝鮮のミサイル発射に関して、朝鮮総連の前で抗議集会を開いた平和団体っているのでしょうかね?そんな団体が存在していたら、きっと平和を愛する朝日新聞が報じているはずですが、その件に関してのニュースは一つも見なかったので、存在しないのでしょうねぇ。「平和」を連呼するなら、日本海にミサイルを落とされたんだから、同じように朝鮮総連の前に行って抗議するべきだと思うのですが、所詮、この手の人々は日本やアメリカが嫌いなだけの市民団体なんでしょうね。↑エンピツ投票ボタンです。読んだら押してくださると嬉しいです。エンピツ時事/社会ランキング エンピツ総合投票ランキングMyエンピツ追加