白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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引越し先 白い木蓮の花の下で


2008年03月05日(水) 研ぎ屋へ行く

この月曜日は夫が休みだったので娘を連れて買い物等の用事に出掛けた。夫は夜勤があったり休日に出なければならなかったりする事があるのだけれど、平日に動けるというのはけっこうありがたい。

そんな訳で月曜日は懸案事項をいくつか片付ける日になった。嬉しかったのは包丁を研ぎ屋さんで研いでもらったこと。自宅の近くには研ぎ屋さんが無く、以前は研ぎ屋さんの車が定期的に周ってきたのだけれど、いつ頃からか来なくなってしまっていて、包丁を研ぎに出せず困っていたのだ。

その研ぎ屋さんは、私達が住んでいる駅の1つ向こうの駅にあって夫が通勤中に発見してくれた。事前に電話(検索したらHPがあって電話番号を知った)で問い合わせてみたところ「いつでも受け付けられるが現物を見ないと何も言えない」とのこと。そこそこ年輩の男性の声だった。

張り切って店を訪れたが、しかし店は閉まっていて店主は中に居なかった。店の中にはところ狭しと研ぎの道具と色々な刃物が置いてあって、辛うじて人がすれ違えるかどうか…というくらいの狭い店だった。いしいしんじの小説に登場しそうなお店だなぁ…なんてことを思った。「せっかく包丁を持参したのに困ったな…」と話をしていたら「手洗いに行っていたもので」と店主が帰宅。髪の毛が真っ白い老人で、飄々とした仙人のような人だった。

包丁を渡したら「5分ほど待ってもらえば、その場で返せる」とのこと。私達は彼が包丁を研ぐのを見ながら「近くに研ぎ屋さんが無くて困っていた」との話をしたところ、このお店も1年近く休業していてつい最近、再開したとのことだった。店主は研ぎ以外に、新幹線の部品を作る仕事をしていて、そちらの方が忙しかったのだとか。

持参した包丁は店主の手によって、買った頃の切れ味を取り戻し、ピカピカになって戻ってきた。「いい包丁ですね」と店主。「結婚祝いで戴いたものだ」と答えると、店主は娘の顔を見て「私は曾孫が生まれるのが楽しみでね」なんて話をしてくれた。曾孫が生まれるようなお年でもって、現役で仕事が出来るというのは羨ましいことだ。

お礼を言って店を後にした。研ぎの代金は400円だった。私が子供の頃は家の近くに市場があって、市場の中に研ぎ屋さんがあった。当時はもっと包丁を研いでくれる店があったように思う。もしあの店の店主が店を閉めてしまったら我が家の包丁はどこで研いでもらったら良いのだろう? 便利なようで不便な時代になったものだ。

久しぶりに「プロの職人さんの仕事」を間近に見ることが出来て嬉しかった。娘がもう少し物事を分るようになったら見せてやりたい。物を作る…あるいは物を修理する。「物」が出来る過程やメンテナンスの方法は知らないよりも知っていた方が楽しいものだ。良い研ぎ屋さんを見つけられて良かった。これから、何度となくお世話になるだろうなぁ……って事で今日の日記はこれにてオシマイ。


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【同月同日の過去日記】
2007年03月05日(月) ひょいひょいと
2004年03月05日(金) わん。
2002年03月05日(火) 同じ1年でも、重さは違ったりするし。

白蓮 |MAILHP