元・ハンセン氏病患者を宿泊拒否したホテルが自主廃業することになったらしい。
巷では「宿泊拒否だなんて飛んでもない」とか「非人道的行動である」とか非難轟々だったようだ。実際のところ非難する側の意見は、まったくもって正論なのだが、あそこまで追い込む必要はなかったんじゃないかと私は思う。
私は大声であの旅館を非難した人々に問いたい。もし電車やバスや銭湯で、酷い皮膚病に侵されているのかも……という人だの、ビジュアル的にギョッとするような人だのと隣り合わせたり、居合わせたりした場合、あなたは席を変わったり、その場を立ち去ったりしないでいるだけの自信があるのですか?……と。
私自身、血液疾患で皮膚に紫斑という赤紫の斑点が派手に出来たり、薬の副作用で顔が丸くなるムーンフェイスという状態を数年に渡って経験したことがある。言っちゃぁなんだが、伝染疾患ではなかったが、世間的にはかなり嫌がられたものだ。(←そうでない人も沢山いたが)あからさまに避けられたりするのは序の口で「本当に伝染しないの?」と念押しされたのも一再ではない。
そういう扱いに対して憤慨しないでもなかったが、むしろ「見た目がこれじゃあ無理はないよね」と私は思っていた。だって普通に不気味だったし。見た目のインパクトが人に与える影響は強烈なのだ。知らなければギョッとするのも無理はない。正直言って、あの旅館がハンセン氏病患者の宿泊を拒否した気持ちはよく分かる。それが正しくないことだと分かっていても……だ。
こういうことが起こってしまった場合、糾弾するのは簡単だ。もちろん許して良いと言っている訳ではない。だが社会的に、あるいは法的に責め続けるよりもむしろ、理解を深めて学んでいく方が大切なのではないかと思う。「こういうことをしたら、酷い目に合うぞ」という見せしめ的なやり方では、本質的なところは変わらないんじゃなかろうか。
あのホテルが廃業に追い込まれてしまったことを心から残念に思う。
私達日本人の大人は、子供の頃の学級会の感覚から抜け出せていないのではないかと思う。失敗を糾弾し、臭い物には蓋をする。理解よりも排除というやり方から、そろそろ卒業しなくてはいけないのではなかろうか……などと珍しく真面目なことを書いてみたところで今日の日記はこれにてオシマイ。
<追記>
帰宅して今度は「ホテルを廃業に追い込んだのは療養所の責任だ」と抗議が殺到したというニュースを知った。これも、これで違うように思う。